2010年6月30日水曜日

Les samourais bleus et le coup de nostalgie

5月、6月と変な気候が続いて、寒かったり雨だったりでずっと長袖をきていた私。
それがここ一週間で真夏日に早変わりをして、今日のモンペリエは34度まで気温が上がったとの発表がありました。こうなると長袖はもちろん半袖の服だってもう着ていられない。長袖からノースリーブへ突然の衣替えです。

今日からフランス全土の夏のセールSolde(ソルド)が始まり、私も今日をもって今年度の仕事が無事終了しました。後は7月の間、単発の仕事をこなすだけ。
そんなわけでがぜんバカンスモードになってきました。

さて、このところアンチ・フランス週間どころかアンチ・フランス月間のような日々を送っていた私ですが、Les samurais bleus (青いサムライ達)のおかげで、アンチ・フランスではなくって、純粋に日本ノスタルジーにかかってしまいました。

先日のブログでもちょっと書きましたが、Les blues(レ・ブルー)の名で親しまれてきたサッカーフランス代表は内部分裂の醜いドタバタ劇を演じ、フランス国民から大ブーイングを浴びています。そこへ同じく青いユニフォームの日本チームもこれまたLes blues であったことに気がつき、しかも日ごろからの日本やサムライ文化への憧れが加わり、さらにはデンマーク戦での戦いぶりがフランスサッカーファンたちをあっと驚かせたために、またたくまに日本チームはLes samurai bleus と呼ばれるようになったのでした。

私自身は小学校のころからマンガ「キャプテン翼」をシリーズ全巻そろえて、「キャプテン翼」とともにそだった世代のサッカーファン。
デンマーク戦は仕事から帰ってから家で興奮して応援していましたが、その直後にひょんなことからモンペリエのどこかで皆が集まって日本チームを応援している場所があることを知りました。
そこでつかさず連絡。「私もまぜてもらってもいいですか?」

先月知り合いになったばかりのYさんに連れて行ってもらった場所は、凱旋門や裁判所の近くにあるバー。雰囲気がよくって人気のある店ですが、店内に入るのはこれが初めて。

するとそこには大型テレビがあるではないですか。

フランスと南アフリカの間には時差がないので、日本VSパラグアイは現地と同じ16時がキックオフ。一番前で見たいから、と張り切っていたYさんと一緒にいった私は一番乗り。
平日の午後だし、みんな来るのかな?と思っていたら、来ました来ました。

語学留学生や研究生の日本人はもちろん、その友達のフランス人や日本大好きフランス人やらなにやら結構集まってくるものです。中には純粋にサッカーの日本代表チームが好きだというフランス人も。

驚いたのは日本ファンの男の子がありとあらゆるサッカー応援グッズをもっていたこと!

彼のおかげで私も初めて日本代表チームのユニフォームを着せてもらいました。
それからみんな顔にペイントもしはじめて、、、。
私は試合が終わってから仕事にいくことになっていたので、さすがに顔にペイントするのは控えましたが、腕にしっかりと日の丸!ペイントしたのも初めてです。




みんなビールやら飲み物を手に、店の一角を日の丸や応援グッズで飾り立て、応援戦闘スタンバイOK。

皆で一緒に絶叫して応援して120分が過ぎました。

私があんなに叫んだのはすごく久しぶりのこと。すごい発散になりました。

結果は本当に本当に残念だったわけですが、今回の日本チームは本当に最高でしたね。
サッカーの技術的なことはもちろんですが、光っていたのが日本人の心意気。
世界中で神話のように崇められているサムライ・スピリッツに通じるものを感じましたもんね。
日本から離れてフランスでこうして見ていて、日本人のよいところが光っていたのが本当にうれしかったです。

とくに試合が終わってから、フランスのテレビではもう映してくれないような選手たちの表情やコメントをインターネットで見ていて、さらに思いは深まる。

そのために丸一日たってからでも、まだ日本チームの話をし続ける私でした。

なんせ、このところのアンチ・フランス人月間。
今回のフランスチームと日本チームの違いは極端なほどにそれぞれのメンタリティーの違いを見せていました。日本人の集団主義がチームプレイ、チームワークと一体になって、その姿はフランス人の目にまぶしく映ったのです。
この代表チームを得意げに、日本人のサムライスピリッツを、彼らの友情や規律のよさを誇らしげに語る私に、周囲のフランス人はあきれることなく、心からの感嘆の声と称賛の声をくれました。

ああ、にっぽん。サムライ・スピリッツは永遠に。

2010年6月27日日曜日

日本人とフランス人

フランスに憧れを抱いている日本人はけっこういますよね。
それがフランス語を習い始めるきっかけになったという人や、憧れを抱いてそのままフランスにやってきたという日本人はたくさんいます。

でも実際にフランスに来てからどうなるかというと、フランスが好きなのにフランス人という人々の実態を見てびっくり!というのがよくある話。
街中やお店やお役所でのフランス人の態度が、あまりにも日本で慣れてきた人々の態度と違って、まるで無視されたり邪険にされたような扱いを受けたり、きつい物腰で冷たい言葉を投げられてびっくりショックを受けるというものです。
そのままひどくなると、今やフランス人の間でも有名な「日本人のパリ症候群」という状態に陥ってしまうケースが多いようです。
「パリ症候群」とはパリに住む日本人精神科医が名付けた症状で、つまり、夢やあこがれを抱いてパリまでやってきた日本人が陥る、カルチャーショックに伴う引きこもりやうつ状態のことをいいます。

一方、漠然とした憧れとは別に、はっきりとした自分の道を持っている人、例えばフランス料理やお菓子作りの道、あるいは音楽やダンスの道、といった志を持っている日本人の場合、こちらにきて特にショックで落ち込むなんてところまではいかなくて、「フランス人」という人々の行動、習性に対し、「彼らはああだから。」とわりきった見方ができて、特別興味も示さず、、、といった感じがあると思います。

いずれにせよ、フランスに住む日本人で、一般的にフランス人の習性やメンタリティーを高く評価している人はほとんどいないんではないでしょうか。(笑)
「教育がなってないよね。」とか「モラルが低いよね。」といったコメントが在仏日本人の口からよくもれます。

なぜかって、彼らの文化、彼らの考え方、行動の仕方というのは、日本人が身につけてきた教育観、道徳観からいって、よしとされないものだから。

日本とフランス、どちらもサミットに参加する世界先進国の一国であるのだから、経済レベル、生活レベルはだいたい同じのはず。なのにメンタリティーはまるで違うのです。

組織を第一に考える日本。個人を第一に考えるフランス。
個人的な主張を控えるのがよしと考える日本。誰もが個人的な主張をするのが当然なフランス。
謙遜を美徳とする日本。アピールをすることが大事な能力の一つとみなすフランス。
必要以上に非を認めて謝る日本人。自分に非があったとしても絶対に謝らないフランス人。

この4点だけを見ても、まるで正反対です。。。

私はもともとフランスという国に対して特別な憧れや期待をもっていなかったし、フランス人がどういう人たちかということは前知識としてわかっていたから、こちらに来てからびっくり、ショックといったことはありませんでした。しいていえば、「ああ、ここまでか、、、、、。」というガックリ感とかはありましたけどね。
そんなまま7年間が過ぎた今年、実は「ああ、ここまでか、、、。」というのがさらに深まり、正直言って、フランス人嫌いモードというか、ちょっとうんざりきて、周りのフランス人たちに、「最近、私アンチ・フランス人モードに入ってるから、、、、、。」と冗談半分でこぼしたりするようになってきました。

フランス人に囲まれて仕事をしている中で、「彼らはこうだから。」と理解しようと努力してきた半面、やっぱり私の中にしみ込んでいる道徳観、教育観と食い違うために、たくさんの小さな不一致がつもりつもってきてたんでしょうね。
そこへ、ここ数ヶ月間、フランス人同士のぶつかり合いに直面し、その間に身を置くこととなり、私なりの方法で話し合いを持ったり、意思表明をしたりしましたが、やっぱり痛感したのが根本的な文化の違いです。

前にも話ましたが、二国を比較するのは一口では済ませることができないことで、社会のいろんな要素を考慮に入れなければいけません。

でも組織優先主義と個人優先主義というだけで、十分大きな違いでしょう。

組織優先、全体優先が行きすぎて「出る杭は打たれる」となってしまう日本社会も悲しいですが、いつでもどこでも個人がそれぞれ主張して衝突してばかりのフランス社会というのはとても疲れるものです。

苦しい状況にいても弱音をはかない、文句を言わないことを美徳とするサムライスピリッツの国、日本。立場や上下関係のために思ってることが言えずに、全部お腹の中にためてお酒の席でうっぷんを晴らす人、または泥酔状態になる人。日本ではどこでも見られる姿ですが、フランスではこんな人を見かけることはありません。
意思表示をしない文化で、なんでも自分の心に押し込めて、ストレスをためて、果てはそのせいで病気になったり死んでしまう人が多い国、日本。

フランス人社会では、不満を内にためるということは基本的にしません。
文句を言うのが悪いことなんていう概念も存在しないに等しいのです。
だからフランス人はとにかく文句を言い、不満を口にし、苦しい状況でも耐えるのではなくて、苦しい状況を生み出している害そのものを相手に取り除くように強く要求するのです。
そのため、ぶつかり合いは日常茶飯事。
でも、ぶつかりあいって、当の本人にも、周りで見てるだけの人にとっても、とても疲れるものです。
ぶつかってぶつかって、、、、。消耗されるエネルギーは相当なものです。

ふと、この状況について、「疲れる、、、」と愚痴をこぼした私に、とあるフランス人の友人は、「でも、我慢して我慢して、なんでも内にためてストレスで死んでしまうよりはましなんじゃないか?」と言いました。

何がよくて、何がましなのか、、、。

完璧な人がいないように、完璧な国、完璧にバランスのとれた社会なんて存在しないわけですけど、こうした日本とフランスの違いを見ていると、もうちょっと真ん中をとってうまい具合にいかないものかな、、、と歯がゆさを感じるものです。

そこへふってわいたのがサッカー・ワールドカップで明るみになった、フランス代表チームの内部分裂崩壊劇。

日本でもメディアが話題にしていたようなので、耳にした人は多いのではないですか?

関係者それぞれに言い分があるだろうし、メディアのせいで話がおかしく大きくなったというのは事実でしょうが、私からみたら「これだからフランス人は、、、、。」と言いたくなるような、フランス人のメンタリティーの負の部分が一気に噴き出した出来事でした。

理由はどうであれ、大事な試合を控えておきながら練習をボイコットするなんて。
責任感もへったくれもありません。

どの観点から見ても、日本ではおこりえない出来事ですよね。

もちろんフランス人にとっても、今回の出来事は見てられないものだったので、フランス代表チーム全体が国民からの大ひんしゅくを買い、政治家も入り込んでの大非難がわきおこりました。

この後で、先日の日本対デンマーク戦の中継放送が行われたんですが、我らが日本チームはフランス人の目に眩しく映ったのです。
岡田監督自身もチームプレイを見せれたと評価していましたが、フランス人は日本チームをチームが一丸となっている、団結してフォローしあって勝利を得たチームと称えました。
テレビのコメンテーターも「こんな代表チームが見たかった。」とか「見ていて気持ちがいい。」と連発していました。

日本社会の組織優先主義が素敵な形で表れて、それが個人主義者のフランス人に称えられて、私もうれしかったです。

フランスの有名な歴史小説に「三銃士」がありますが、そこでの有名なセリフは「一人はみんなのために。みんなは一人のために。」です。
でも残念ながら、このキャッチフレーズは、当のフランス人に限って言えば幻想でしかありません。。。
「俺が、俺が」、「私が、私が」の国ですからね。

ま、それはそうと、今回の代表チームのできごとで悲しいことだと思ったのは、フランス人の中でもさらに「フランス人」を区別する動き。

つまり、多民族国家フランスがかかえる移民問題のことです。

サッカーのフランス代表チームのほとんどが、アルジェリアなどの北アフリカ系かセネガルなどの中央アフリカ系の移民の家庭に生まれた人達ということは、周知の事実です。

そのために、「今回問題を起こした代表チームのメンバーは本当のフランス人じゃない!」とでもいわんばかりの主張をする人たちは少なくなくて、「やつらがフランスの顔に泥をぬる。」とか、「奴らを教育しなおさないといけない。」とか言いだしたんですね。

フランスの移民問題、民族問題は本当に根の深い深刻な問題となってきています。

きっとこのことは、憧れを抱いてフランスにやってくる日本人にとっても最初のショックの一つでしょう。
今日、実際のフランスという国、フランス社会というのは、ヨーロッパのさまざまな国の白人はもちろん、アフリカ系、中東系、そしてアジア系といったあらゆる民族が混ざって暮らす場所なのです。

このことだけでも、また改めて話題として取り上げたいと思います。

今日のところ、何が言いたかったのか、、、。

移民うんぬんを別にしても、とにかくフランス人という人々にお腹いっぱいになってしまって、しばらくお休みが欲しいなあ、なんて思ってたこのごろなのでした。
フランス人に囲まれながら「アンチ・フランス人週間」とか言っても、みんなから怒られるだけですけどね。(笑)

あげくのはてに最近よく言われるのが、「leonardoはすっかりフランス人になっちゃって!」というセリフ。つい3日前には「leonardoまでもがやっかいなフランス人みたいにならなくていいんだよ!」と言われました。もちろん言ってるのはフランス人。(笑)

言われるがままとか、相手からの要求や頼みをいつも100%受け入れていてはやっていけないことがわかったから、少しずつ適した対応をするようになってきた私ですけど、それでも本当のフランス人の足元にも及びませんよ。
彼らは相手の要求を受け入れるとかうんぬんじゃなくって、自分の要求をいかにして100%受け入れさせるかですからね。(笑)

彼らって、一応自分たちが世界的に見て尊敬を集める集団ではないということを認識してるみたいなところがちょっとおもしろい。
「日本人は勤勉。フランス人はなまけもの。」
「日本人は規律があって集団行動ができる。フランス人はみんな勝手なことして無茶苦茶。」
「日本人は文句を言わない。フランス人は文句言ってばっかり。」
なんてことはフランス人が私に言うことです。

世界中のホテルでアンケートを行った結果、ホテル側にとっていつでも歓迎したいのは日本人で断トツの一位だったと発表されています。一方、来てほしくない、めんどうな招かれざる客と言うのがフランス人で一位。

ぷぷぷ、って感じですね、ここまでくると。

概して、フランス人は自分が当事者でないときは、客観的に物事が見えて良し悪しがわかるみたいなんですよね。
それが自分のこととなると、まるで相手のことはお構いなしで、自分の主張の一点張りになってしまうから恐ろしい。

フランス人って。。。

最後にフォローというのもなんですが、フランス人の中にももちろん心根の優しい、相手への気遣いにあふれる人もいますよ。(時と場合によりますが。)

あしからず。

2010年6月19日土曜日

新しい職業?

気がついたらもう6月も下旬。

なんてことでしょう。昨年末に日本に帰省してからというもの、あれよあれよと仕事をこなしているうちに6カ月が過ぎてしまいました。あっという間でした。。。

フランスでは学校やスペクタクルの世界は9月始まり6月終わりのサイクルなので、ただいま年度末なわけです。高校3年生は今週バカロレア(高校卒業資格のような全国統一試験)を受け、中学生3年生にはまもなくブルベといわれる高校入学資格のような全国統一試験があり、さらにあらゆる方面で年度末の行事が行われます。その他の子たちはもう半ばバカンス気分。大学生はすでにバカンス。
みんなが「vivement les vacanaces !」(バカンスが待ち遠しい!早く来い来いバカンス!)と叫んでます。

私も例にもれず恐ろしいスケジュールの5月と6月をくぐりぬけ、「あと少し!」と言い聞かせてるところです。

そんなわけですっかりブログが停滞していましたが、お伝えしたい話はたまる一方。
もともと日本にいる家族や友人に近況報告をするつもりで始めたこのブログですが、今やあちらこちらでこのブログをのぞいてくれてる方がいるんだということがわかりました。いろんなキーワードでインターネット検索してたら何気にここにたどりついた、って方の声をちらほらと聞きます。
そんな方の中からこんな突っ込みをいただきました。
「leonardoのブログで『続きはまた今度!』というのがよくあるけど、その続きを楽しみに待ってるのに続きがない!!(by Yさん)」と。(笑)
確かにそのパターンが多いような、というかそのパターンでブログが停滞することばかりのような気が。。。
でもたまってる話は時間ができたら必ず、話の続きも含めてお伝えしますからね!

さて、今から一カ月ほど前のことでしょうか、7月にモンペリエで開催されるラジオフランスのフェスティバルの事務長さんからメールが来ました。

「元気ですかleonardo?今年も4つのコンサートで字幕操作を担当してもらうことで了解ずみというのを確認しました。が、実はそのうちの二つのコンサートのために、leonardoご自身で字幕のファイルを制作してもらうことは可能でしょうか?楽譜上で字幕のキュー出しのわりふりをし、文字数、バランスなどを考慮しながらパワーポイントでファイルを作成してもらう作業です。」との依頼でした。

普段、私がオペラ座やフェスティバルのために字幕操作の仕事をするときは、すでに翻訳の作業とパワーポイントの制作の作業が完了済みで、私はただキュー出しの指示にしたがって音楽を実際に聞きながらパワーポイントのページを変えていくという仕事をしているだけです。今年のフェスティバルでもこの仕事をすることは、1月末の段階で決まっていました。
どのオペラ座でも字幕操作を担当するピアニストがしている作業はこれのこと。誰もその字幕のファイル作りには関わっていないはずです。

しかし今回、なぜか私にそれをやってくれないか?という話なわけです。
もちろん翻訳の作業は別の人がするか、すでに存在しているものを使うので、私の仕事は楽譜と訳詞が材料。
正直、やったことがない作業だし、フランス語の文章のバランスを字幕という観点からそれなりに修正したりもしなきゃいけないということで、私の母国語じゃないし、、、とためらいはみせながらも、「どうするべきなのか、何がもとめられているのか、というのはだいたいわかりますので、十分な時間を与えてもらえるのならやってみたいと思います。」と答えました。

この仕事をするにあたって、パワーポイントが扱えて、楽譜が読めて音楽がわかって、そして必要なときにはフランス語をコンパクトにまとめることができる、というのが条件なわけですが、はっきりいってそんな人、他にも見つけられるだろうというのが私の正直な感想です。なんせ依頼主はラジオフランスのフェスティバルですからね。彼らはフランス最大のラジオ局「Radio France」なのですから、そういった人材や人脈には困らないはず。 お金だってあるだろうし。
そこがなぜかモンペリエの外国人の私に話が来た。
私がコンサート当日に字幕の操作をするということが、彼らにとって何か都合がよかったのだろうか、、、?それともモンペリエにいるということが有利なことだったのだろうか、、、?

いずれにせよ、「私は未経験者で外国人ですから!」と改めて言っておいたので、「やっぱり別の人にしてもらうことになりました。」という連絡がきて当然と思っていました。

そしたら数日後、「お返事ありがとう!」と言ってきて、報酬や提出期日に関する具体的な仕事契約内容についてのやりとりに進みました。

そんな中で「ギャラは著作権として支払うということでいいですか?」と聞かれたのです。

7年前の私なら、仕事上で相手が言ってくることになんでもOKしてしまっていたでしょうが、フランスで仕事をしているなかで学んだことは数知れず。「著作権?ちょっとまてよ、、、」と思い、周辺の人たちにアドバイスを求めました。
するとやっぱりいろいろなからくりが潜んでいることがわかりました。報酬の額面の値段と手取りで残る値段と、さらには社会保障のパーセンテージなどなど。雇い主側の損得と雇われ側の損得とがいろいろとあるようです。
まあ、私の身分、私の労働環境がけっこう特殊なために、厳密なところまでは把握できてないんですけど、今回のところはとりあえず「著作権ではなくて給料として報酬をいただきたいです。」とお願いすることにしました。

それから提出期日についても、6月いっぱいまでといわれたのですが「今、コンサートとかいろんな仕事を抱えているし、初めての仕事ということで、もう少しだけ日数をもらえたら落ち着いてきちんと取り組めるので助かりますが、、、。1週間プラスしてもらえますか?」とお願いしました。

結果的に両方ともOK。
期日については「わかりました。ただもし何かあったら直ちに知らせてくださいね。フェスティバルの開始直前になってトラブルが判明ということだけはごめんなので。」と言われました。

これには「もちろんです!」と応えて気持ち良く交渉成立。

おもしろいのは、今回のやり取りの中で、私が「やったことありません。」というスタンスを出して、「私にはこの仕事は楽々できます!おまかせください!」という姿勢ではなかったことから、相手方にいろいろと気遣いをしてもらったこと。というか、単に心配させてしまってるということなんだろうけど。
例えば、私が念のためにと思って、打ち込む文字のポリスの種類や文字の大きさについて質問をしたら、「あなたの方が普段から現場にいるわけだから、あなたの方がいろいろとご存じでしょう。」と言ってきて、「誰かアドバイスを頼める人はいないかしら?モンペリエのオペラ座の人たちとはどうかしら?」と心配され、「昨年の字幕ファイルを送ったら参考になるかしら?」と気遣いをしてもらいました。
「ちょっと待って、、、、、あ、私の手元に○○と△△と□□と、、、、があるけれど、、、、、、。」と言うので、「いえいえ、一つだけでも送っていただけたら参考になって助かります!」と言いました。

しかも私にとったら、この仕事に関してアドバイスを求められる人というのは、モンペリエのオペラ座でいつもこの仕事をしているJ=M。
早速会いにいって、「実はね、フェスティバルのために私が字幕のファイルを作ることになったのだけど、2、3、質問してもいい?」とお願いしました。
そしたら彼は「パワーポイントの使い方は知ってるの?」というから、「まあ、だいたい。」と応える私に、「全然ってことか。」というんです。(笑)

みなさん、わかってもらえるでしょうか?ここに日本とフランスの違いがあるんです。自分の能力についてしゃべるとき、日本人なら確実なこととか自信があること以外は、見栄をはることは避けて正直に、さらにはちょっと控えめに謙遜も含めて話すと思うんです。
でもフランス人はアピールがすべてです。自分にはこれができるあれもできる、というのを見せるのです。まあ、それならいいことなんですけど、実は落とし穴があります。

例えばよくある例で、英会話力について比較してみます。
日本人に「あなたは英語をよくしゃべれますか?」と聞くと、「少しは。」とか「基本的なことは。」とかいう返事が多くて、そこに「発音下手ですけどね。」とか「旅行で困らない程度。」とか付け加えられます。
どんなにペラペラでネイティブ並みに話す人でも、「英語を上手にしゃべれるか?」という問いに、「はい。」とシンプルかつ100%肯定の返事をする日本人はあまり見かけないと思います。

ところが一方フランス人に同じ質問をすると、「まあ結構やりくりできるかな。」とか「まあ、結構できるかな。」という返事が結構多いのです。

でも実際は、「少しは」と答えた日本人のほうが、「まあ結構やりくりできてる。」と答えたフランス人よりもずっとか上手に英語を話す、ってことがほとんどなんです。(笑)

おもしろいですよね。

そんなことがあるので、私がパワーポイントを扱えるかという質問に関して、私はパワーポイントで実際にファイルを作成したことはないし、パワーポイントを使って発表とかしたこともないし、ただ一度だけパワーポイントの翻訳をしたことがあるから、どういうものかというのは知っているので、「だいたいはわかってる。」と答えたのは事実なのです。

でもそしたらJ=Mは「全然てことか。」なんていうから笑えちゃいました。

まあ、意地悪でもなんでもなくって、「おいで。」と言って彼のパソコンで実際の字幕ファイルを見せながら説明してくれたのです。

ただ彼も「leonardoがファイルを作るの?!」と驚いてましたけどね。

その数日後、例の事務長さんからまたメールが来て、パリに住むこの仕事のプロの連絡先をくれたのです。「先日あなたに送った過去の字幕ファイルはこの人が作ったものです。彼女は私たちのために何年も前から字幕ファイルを作成している人です。もし質問や困ったことがあったら彼女に電話してください。あなたから連絡が来るかもしれないということは彼女も了承ずみです。」とのこと。

私はJ=Mの他にも一人、あちこちのオペラ座のためにこの仕事をしているRを知っています。彼はイギリス人なんですけど、ハンガリー語のオペラやチェコ語のオペラ、ロシア語のオペラの字幕とかも担当しています。
で、私はすでに数人の人が作った字幕ファイルを見てきたのですが、それぞれの人によって多少違う点とかあるわけです。だから私は自分も一番慣れていて仕事がしやすいJ=Mのバージョンにのっとってファイルを作成することにしました。

でもそれにしても、事務長さんの気遣いは親切ですよね。
逆に私が未経験者ということで心配させちゃったのかな?

ま、そんなこんなで怒涛のスケジュールに新たな仕事が加わったのでした。
しかも初めての仕事。

今回私が作成するのは、ダンディ作曲(Vincent d'Indy)のオペラ「L'Etranger」、レーガー作曲(Max Reger)のアルトと合唱のための「レクイエム」、そしてバーンシュタイン作曲の(Leonard Bernstein)交響曲第三番「Kaddish」の字幕ファイルです。
「カディッシュ」はかろうじてCD録音が存在しますが、いずれもメジャーな曲ではありませんね。「L'Etranger」に至っては完全に無名の作品。演奏会で耳にすることもない作品ですから、誰も知りません。あるのは楽譜だけ。

仕事を引き受けたのは3週間前ですが、作業に取り掛かりだしたのは三日前!(笑)
だって忙しかったんだもん。。。
今も忙しいけどさすがに閉め切りが近づいてきますからね。
それにフランス語に関しては、提出する前に誰か友人に一応チェックを入れてもらわないと。。。

日本語での仕事ならやっぱり勝手が全然違うなーと感じながら、土壇場で作業に取り掛かっている私でした。