2008年3月31日月曜日

予定通り?それとも予想外?

今日の18時、私の車の広告に興味をもったカップルがやってきました。出迎えてびっくり。このカップルの奥さんの方は、私も顔見知りで、オペラ座メイク・スタイリストの責任者でした。まあオペラ座で働いていると旦那さんの方も電話で言ってたから、この出会いもまた、同じ業界つながりというご縁ですね。
二人は学校を終えたばかりの息子も連れて家族3人総出で車を見に来たのです。この時点で、あちらもかなり真剣に興味を持って見に来たことが見てとれました。
さて、こんな交渉なんてしたことない私ですが、まず私は二人目の所有者であったことを説明し、私がこの車のために行った全てのメンテナンスをリストアップして説明しました。費用トータル2720ユーロ!!これを見たら誰もが納得いくはず。「私はすべきことはすべてしてきた!」ことを。タイヤは4本交換済み、ブレーキ回りも交換済み、ラジエーターもオルタネーターも交換済み!さらには、この車のことを放ったらかしにしてたために先日バッテリーも交換したんです。(泣) このリストを前に、この夫婦も「費用かさんだんだねー。。。」と同情の一言。そこから私は中古車市場の標準価格を調べたので、それを提示。日本人には信じられないかもしれないけれど、この車もまだ1950ユーロの価値が認められているのです。他の人もいい値段で売ってますが、私はすでに900まで下げたんです!とアピール。私の広告には「きちんと整備してきました。証明書、領収書見せます」と載せておいたので、この点については異論の余地はなかったと思います。
さて、試運転をしたいということになりました。実はこのカップル、オートマ車は運転したこともないし、旦那さんの方はどういう仕組みなのかもしらないということで、「何も操作することはない」ということを説明するところから始まりました。「マンションの駐車場内だけでいい」と言って動かし始めた彼は、操作が簡単なことに驚きつつも、この車に好感触を覚えたようでした。結局「少し外を一周してもいいか?」ということになり、息子君も私も一緒に4人で近所を一周。旦那さんの方は運転しながら「安定してて静かだね~」と評価。息子君は後部座席がとてもひろいし、ひじかけもあるし、上機嫌。
自分でいうのもなんだけど、この車はフランスの中古車の中ではとてもきれいなものでした。でも満足してもらうにはどれくらいきれいだったらいいのかがわからなかった。だって日本だったら、みんなちょっとしたキズでも嫌がるし、ワックスでピカピカだし。そもそも日本では14年もする車に乗ってる人なんてほんと何人くらいいるのやら。ただ、この車はきれいだとしても、壊れたサイドミラーをガムテープで固定しただけというのはさすがのフランス人も文句を言うかな~と気にしていたら、二人ともたいして気にとめないみたいで、一応私が一度修理したときの話を聞いてきたけど、結論は「on s'en fous」(どうでもいい、大したことじゃない)と。このときばかりは私も心の中で「ああこれぞフランス人のおおらかさ、寛容さ!」と褒め称えました。もちろんこの良し悪しも場合によるわけだけど。。。
さて、このサイドミラー以外に、この車の欠点として私が気にしていたブレ―キを踏んだ時のキーッ!という音。しかしなんと今日はとてもひかえめなきしむ音くらいしかしなかったのです。まあ以前から日によって音の強さが違ったので天候によるのかな?とは思ってましたが、今日の音の小ささには正直びっくりです。簡単に言ったら運がよかったのですが、同時に後になってびっくりされても困るなーとも思ってしまう。どっちがいいんだ?善良な小市民よ。ほんと困った私です。
さて、一周を終えてご家族一同大満足された様子。早速、予約をしたいと言ってもらえました。しかも900ユーロから値切る気はないようです。ばんざーい!こんなにうまくいくなんて思ってなかった!と心の中で小踊りしながら、今後の手続き上の具体的な話に移りました。正直言ってここまで予想以上の好展開です。
しかしそこからもまた予想外。この夫婦は街の中心地に住んでいて、今まで車を所有していなかったとはいえ、車の購入、ナンバー登録などについて、この私にどうしたらいいか聞くのです!私は独り身の外国人なのに~。だから私はこの車を購入したときのこと、それから新しい二台目の車を購入したときのこと、そして自分が調べたことをもとに説明しました。さらには自動車保険のことも私が説明。ほんまかいな。。。
さて、すべてが順調に行き、お互い明日明後日ですべきことをし、木曜日にはご購入のために車を取りに来てもらう約束をしたところで、旦那さんが「じゃあもう一度、ちょっと車をぐるっと見回して。。」と言いました。そこで何を思ったのか私が一言。「よかったらエンジンルームとかも見ておきたいですか?」と。彼は「ああ、僕は全然メカのこと知らないけど、、、じゃあ一応」てな感じで、エンジンルームを開きました。
さて、予想外というのはこれからのこと。彼が何やら地面に黄色い液体が一滴たれてるのに気がついたのです。「あれ?これは何か漏れてるの?」と。「ええっ!?」と思った私は「あー、これは何だろう?どこからだろう?」としか言えませんよね。。。そして続いて彼が何やら一本のゴムパイプのようなものが切れていると指摘しました。見てみるとたしかにパイプみたいなものが切れてかかってる。私は一瞬パソコンがブロックするときみたいに頭の中が「つーっ」て音がしそうな感じで、「・・・・これはなんのパイプだろう。。。」と一言。
そこで私の頭にはある友人の一言がよぎりました。彼は私が交渉に向かうとき、「leonardoがまた馬鹿正直でミスをしないか心配だ」と言ったのです。仕事の都合がついたら一緒に行くのにって心配してたんです。私にとって、この「正直でいたい」という気持ちと、時折、「そこまで正直にしてていいのか」という疑問、つまりは「馬鹿正直」となってちょっと痛い目にあったりすることですが、これらの加減がよくわからなくなってどつぼに陥るのですが、この車を売るに当たっては本当に不安だらけでした。私が行った修理などを含め、この車がもつ価値をアピールすべきなのか、もうこの際、もらって行ってください~というスタンスになった方がいいのか、、、。自分の日本人精神や習慣、価値観があるために、フランスの中古車市場に強気で参戦する心の準備はできていなかったわけです。
私が「エンジンルームを見たいですか?」と聞いたのも、後になってから不満を私にぶつけてきてもらっても困るし、という考えがあったからなわけですが、そういえば、私が4年前にこの車を買ったときはエンジンルームなんて見なかったな。。。と思いだしてももう遅い。もちろん私も今ここで何か異常がみつかるものだとは思ってもいなかったので、どうしたらいいのかがわからない。正直でいたい精神から出た一言が「じゃあ明日、私のかかりつけの車整備士に見せてきましょうか?」でした。むこうはもちろん「あ、そうしてくれる?だってやっぱり家族が乗るわけだし、安全上しっかりしておきたいもの」と。もちろんですよね。私も欠点のある車をいい値では売れません。正直言って、あとあと私も安心していられるためには、ここで心配ごとを解決するしかないのです。ただ私が抱いた不安は、「これがまたすさまじい修理ということになるとしたらどうしたらいいの~」ということです。バッテリーも79ユーロ、新品を提供したばかり。ああ、私のこの車のための出費はまだ終わっていなかったのか~?!
この夫婦にとっても、交渉の最後で思いがけないマイナス点がでたことで調子が狂ったことでしょう。でも、表だって態度を変えることなく、「じゃあ、きちんとすべきことをして木曜日にね!」といって帰って行きました。
こうしてこの初めて挑んだ交渉、ウソみたいにうまく行ったのか、大きな失敗をしたのかは、修理工に見せて何を言われるかによってわかるということになりました。明日を待たないと。。。
彼らが買う気になってくれたことは素晴らしいし、明日また修理となったらまた落ち込むだろうし。こうしてものごとの決着を先延ばされるのが一番歯がゆいですね。ああ、大事になりませんように!

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