2008年4月21日月曜日

フランス人の日本認識

フランスではここ数年、「日本ブーム」のようなものがあります。お寿司をはじめとし、日本レストランはどこの街でもおおはやり。マンガも今の若者の間では避けてはとおれないほどの大人気。ニンテンドーなどのゲームもファンは多し。日本車や日本のパソコン、テレビなどへの信頼度は高いし、フランス人も「**は日本生まれ、**は日本製」といったことはよくわかっています。


でも、私がフランスに来て理解したことの中で、日本とフランスについて「へえ~、そんなものか、、、」と思ったこととして、「フランス人が日本を知らない」という実態があげられます。このことをフランス人に言うと、「日本人だって、フランス人と言えばバゲットにベレー帽にワインと思ってるんだろう?」と言い返してきますが、そこで私の反論は、「でもそれ間違いじゃないじゃん!」つまり、なにも「フランス人みんながベレー帽をかぶって、バゲットパンを持って街を歩き、ワインを飲んでる」わけじゃないけれど、事実、食事時にはみんなバゲットパンを小脇にはさんで歩いてるし、ベレー帽かぶった年配の人たちは多いし、ワインはみんな大好き!それに対して、日本について彼らはいまだに「芸者、腹切り、サムライ、相撲」といった知識しかもっていない。つまり、現代の超ハイテク日本と、サムライの時代の日本とがどう関係してるのかわかっていない感じなのです。


まあ、意地悪なつっこみはさておき、フランスという国は、自国語を愛し、自国語を守る政策を実際にとっている国です。日本のように外来語大好きで、アルファベット表記をしたりカタカナにおきかえて使いまくるという国に住んでいると想像しにくいことですが、外来語の使用について規制があるのです。まあさすがに最近は日本と同様、「外国語をつかうとちょっとカッコいい~」という考えが若者の間では主流になっています。もちろん年配の人たちの間では自国語を愛する精神も強く、変な外来語の浸透を嘆くこともよくあることです。そしてフランス政府もフランス語を守る方針は緩めていないので、広告のキャッチコピーに外国語を使ったら、その広告のはしっこにはフランス語訳を表示するとか、まあ規制は規制として徹底しています。


そんな中、フランス人の間で日本語がそのまま使われている単語がいくつかあります。代表例をあげてみると、HARAKIRI (腹切り)。日本語を知らない外国人の口からまず出る日本語がこれだと、こっちは相当へこみます。。。KAROUSHI (過労死)も、バカンス天国のフランス人からは想像もできないことばなので、日本語をそのまま使うというのはわかりますが、悲しい。。。さらに特にニュースでよくきく日本語単語として KAMIKAZE (神風) がありますが、日本人であれば戦争時の神風特攻隊のことを指しているとわかるものですが、フランス人は「自爆テロ」という意味で使っているのです。だから中東で絶えない自爆テロがあるたびに、ニュースからは「KAMIKAZE がまたおきて、、、、」、「さらに新しいKAMIKAZEがどこそこで、、、」と聞こえてくるのです。ちなみにフランス人は「カミカゼ」とは発音せず「カミカズ」と発音しています。
結局、日本語の単語とはいっても、こんな風にちょっと意味が変化したまま使われている言葉が多いですね。
空手とか柔道といったスポーツがそのまま呼ばれているのは正しいですが、相撲に関しては、SUMOU がスポーツの名前としてではなくて、お相撲さんのことを呼ぶのに使っていますね。そういえば、テレビコマーシャルなどで、お相撲さんをネタに使ったCMいくつかあって、日本人としては笑えませんね。 シラク前大統領が日本好きだということはフランス人の間でも知られていて、彼の愛犬は「SUMOU」だそうです。

日本の着物が美しいということは世界中で認められていると思うし、フランス人も大好きですが、着物姿の女性のことを「GEISYA」と呼んでいるという事実を理解するのには私も時間がかかりました。。。もともと、「GEISYA」という言葉は西洋で使われる、間違った認識から出る日本語であることは私もわかっていたので、当初はただ単に「芸者、芸者、、ってまだ言ってるの?」くらいにしか思ってませんでしたが、着物姿が芸者って、これもちょっと間違いを訂正せずにはいられません。でも問題は少しやっかいで、というのも、彼らも「KIMONO」という単語はすでに使ってるんですよね。さて何にを指しているかというと、柔道着、空手着などをKIMONOと呼んでるんです。だから、まずKIMONOがなんなのかということから説明しないといけない始末。。。


一方、完全にフランス語として定着し、ここ数年好んで使われる言葉に「ZEN」という言葉があります。「禅」からきているのにかわりはありませんが、禅宗や坐禅を指しているのではなく、「落ち着いた様子」を表すのに使われます。フランスでもここ数年、社会が変化してきて、ストレスが多くなったり、イライラしてる人が増えたことから、心の健康、心の落着き、穏やかさを求めるようになったのか、ZENであることを良しとするようになった感じで、何かとZENを求めています。インテリアとかでもZENなスタイルとか、まあつっこんでみれば、日本風なスタイルをZENと呼んでるだけだったりもするので、要は、伝統的な和風のもの=ZENなイメージと思ってるんでしょうね。
例えば、インテリア系の店の広告にはこんな写真で、和風っぽいものがならんでました。



私の家では私が小さい頃から、父のチョイスだったのか、和紙でできたぼんぼりのようなランプがありましたが、あれは日本で流行ったものだったんでしょうか?私はあまり流行ったものという認識はなくて、家にあったな~というものなんですが、実はフランスでははやっています。


そういえば、和紙のことを「Papier de riz」、つまり 「お米の紙」と訳しているとは知りませんでした。

まあ、ZENブームはここ5年、6年、おさまる様子はないですね。

個人的に、私は日本にいるときからなにかと「leonardoちゃんは落ち着いてるよね~!」とか、「leonardoちゃん、ちょっと落ち着きすぎじゃない?」とまで言われてきました。そんな私のキャラは今も変わらず、というか、フランス人の中にいればさらにその傾向は強まり、フランス人から見た私は「スーパーZEN」だそうです。(笑)

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