場所は前にも紹介したことのある、セートの劇場Le Thèâtre Molière。劇場の内部は前にお見せしたので、今回はセートの街をちょっぴりご案内します。
セートSèteはモンペリエから35キロほど西にいったところにある港町。日本語では「セート」と表記するか「セットゥ」と表記するか迷うところ。
フランスの港の中では11番目の規模で、漁獲高に関して言えば、フランスにとって地中海沿岸での最も重要な基地となっています。
海からすぐに丘というか小さな山があって、それがサン・クレール山 Le mont Saint-Clair。陸地の裏手には大きな入り江の湖 トー( l'étang de Thau)があるので、セートの街は海とこの湖の間、サン・クレールのふもと、そしてサン・クレールの丘陵部分のエリアに分かれます。
セートに向かうとき、まずサン・クレールの山が見えてきます。
セートは港町といっても、マルセイユや横浜港、神戸港のような大きさではないし、工業的な雰囲気はなく、「漁港」を感じさせてくれる雰囲気があって、私は好きです。
街の中に入れば、こうして水と山が間近に楽しめる景色なのです。
「ヴェネツィア見たい~!」とまでは言い切れないけれど、なかなか素敵な感じでしょう?
6年前に初めてこの街に来た時は夕方だったこともあって、水と暖かい色の照明がなんとも言えず、これがロマンチックなヨーロピアンかとも思ったりしたものです。
でも実際は、、、。
私のつぼにはまっているのはセートの人々のなまり。
フランス語でそれぞれの地方特有の発音のなまりを Accent アクソンと言いますが、セートのなまりはかなり強烈なのです。パリの人は南フランス全体のなまりを田舎者扱いしてからかいますが、セートこそすごいなまりなのです。
「元気?」とたずねる挨拶で「tu vas bien ?」と言い、「チュ・ヴァ・ビアン?」的な発音がノーマルですが、これがセートになると「チュ・ヴァ・ビエン?」となり、この「ビエン」がみそなのです。これだけで強烈な田舎臭さを出すから愛嬌たっぷり。
私は初めてここのなまりを聞いた時に、まるで日本のどこかの方言を聞いているようなさっかくに陥り、フランス語だとは感じられずにいました。まるで日本語の方言をしゃべる外国の人としゃべってるような感じ。
方言、なまりというものは本当に「素」から出るものだから、気取ったところがなくて自然体である証拠。私も外国人のくせに、セート周辺のなまりはよくからかわせてもらいます。「ちゅ・ヴぁ・びえん~?」って。
さて、この日は時間に余裕をもってセートについたので、こうしてカメラを片手にセートの街をふらっと散歩した私でした。テアトル・モリエールは、駅から一直線の大通りに面してあります。プラタナスが並ぶこの通り。
私はこの日、本番の字幕操作のためだけに行ったので、かなりお気楽気分。自分が実際に練習・準備に参加したオペラだと、音楽もよくわかっているから気楽なのです。字幕だけに駆り出されるときは、オペラの音楽をよく知らないわけだし、現代オペラなんてことになると、楽譜に向かって集中しっぱなしになるのでかなり疲れるのです。
テアトル・モリエールは、モンペリエのオペラ座コメディよりもだいぶ小さいので、演出の面でもオーケストラと歌のバランスの面でもいくらか修正・再適合して本番を迎えましたが、このホールの素敵な音響効果も手伝って、「ディドンとエネ」のセート公演は大成功に終わりました。
本来、これでオペラjrの「ディドンとエネ」は終了する予定だったのですが、皆さんの期待をさらに上回る結果だったことから、来年度もいくつか地方公演に出ることが決定されました。そのため、このメンバー、このスタッフでの冒険はまだ続く。。。
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