2009年5月19日火曜日

夜ピクニック

土曜日の午後17時から、私が働く音楽学校でアンサンブルを中心にしたコンサートがありました。

場所はミュヴィエル・レ・モンプリエ Murviel lès Montpellier。モンペリエから西側に18キロほどのところ。私が普段レッスンをしているサン・ジョルジュ・ドルク St. Georges d'Orques よりもさらに山がわになります。この音楽学校は、いくらかの援助金を出資してくれている6つの村にまたがって教室があり、それぞれの村の行事や活動にも関わるようにして、村とのつながりを深める努力をしています。まあ、生徒もこの6つの村の住人がほとんどなんですけどね。

さて、このコンサート。普段から常時アンサンブルのクラスとして練習しているグループに加えて、フルートのクラスのアンサンブル、トランペットのクラスのアンサンブル、そしてギターのクラスのアンサンブルも曲を発表しました。

さらにプログラムの目玉作品は、ほぼ全楽器を集めての大アンサンブル。ヴァイオリンの先生であるMが指揮をとって、オーケストラと呼んでもいいくらいの大人数で、ロドリーゴの「ギターとオーケストラのためのファンタジー」を演奏しました。参加楽器はヴィアオリン、チェロ、ギター、フルート、トランペット、サックス、パーカッション、そしてピアノ。総勢40人くらい。このメンバーは常時アンサンブルをしているのではなくて、各クラスがそれぞれのレッスン内でパートの準備をし、2ヶ月前からはパート練習やセクション練習をし、最後には全体練習を行ってまとめてきたのです。この日のコンサートが第一段で、このあと6月頭にはピニャン Pignan でのコンサートでも演奏予定。そして、毎年年度末にしている音楽学校の合同大発表会とでもいうようなFête de l'école が6月半ばにラヴェリュンヌ Laverune でありますが、ここで第三段発表の予定となっています。


このコンサートには私の生徒も3人がトランペットと共演。そして二人がロドリーゴに参加。5人も生徒がでるのなら、普通は私も現場に行ってみんなと一緒に取り組むところです。でも、この日は18時までよそで仕事あったし。コンサートは1時間半くらいで終わる予定だったし、もう顔を出さないで不参加にするつもりでした。

が、3日目にヴァイオリンの先生Mから電話があって、前々から仲のいい先生で集まって食事しようね、と言ってた話をこのコンサート後にしようとということになったから、とのお誘いがきました。他の先生はもちろんコンサートの会場準備から生徒の指導、サポートで働くわけですが、私は17時には行けないどころか、コンサート終了前に行けるかどうかももあやしい状態。でも「leonardoは打ち上げだけにでも来てよ!」と言われてしまったので、それを断る理由もなかったから、「わかった。仕事が終わり次第いくよ。」と返事。
でも正直、電話を切ってから、「午前中はサン・ジョルジュで仕事して、午後はモンペリエで仕事して、18時に終わったらまたあっちの方向に行く気あるのか私?」と自問自答しました。だって最近忙しくて疲れてるし。。。

そして当日。18時になるまで「ほんとに行くのか私?」と問いつつ、「ま、ここで『疲れてるから今日はパス』と電話するか、行くか」という判断を自分にせまり、結局、仕事から出てすぐにそのまま車をとってミュヴィエルに向かいました。

私が到着したのは18時50分。

一時間半くらいと言っていたコンサートも、多少はのびたり遅れたりして、ちょうど今頃終わるくらいだろうな、、、と思って着いてみたら、トランペットの音が聞こえてきました。
まだまだコンサートの真っ最中のよう。
しかもトランペットの曲が聞こえるということは、トリをつとめるロドリーゴの演奏はまだだということ。
これはラッキー。お目当ての曲が聴ける。

会場はミュヴィエルの村役場の多目的ホールだったのですが、どうやら音楽学校関係者じゃない人も聞きに来てくれたようで、大盛況。立ち見はもちろん、入口から入れないまま外で聞いている人もいました。

私が到着してから、ちょうどトランペットが終わり、最後のロドリーゴの大演奏。なかなかいい演奏でした。

「こんなちっぽけな(組織として)音楽学校でも、こんなことができるんだぞ~!」とみんなが感じているのが顔に表れているような、すてきなコンサートとなりました。参加した生徒も、先生も、生徒の親も、みんなうれしそうで誇らしげ。資金面、運営面で問題だらけの学校ですが、なんとか存続していかないとだめですね。だって誰もが口にするけど、「素敵なチーム!」と言われる先生陣(もちろん全員じゃないけど)と生徒の親代表のメンバーがそろってる。やる気とチームワークと行動力さえそろえばいろんなことができる。とくに「この学校をもりたてよう!」とさえ思っていれば。

結局、生徒の側にしてみれば、刺激を与えてくれるできごとがあれば、「上手になりたい!」という意欲は自然に湧くし、練習なんてどんどん自発的にするようになるもの。

とにかくロドリーゴの曲に関しては、まだこの先2回演奏のチャンスがあるから、まだまだ改良されていくはず。


そんなこんなでコンサートが終わったのは結局19時半。それから会場の後片付けなどをしていたら、あっという間に20時もまわりました。マイクやスピーカーなど音響の機材も使ってしているから、かなり大がかりな会場になるんですよね。

片づけが終わって会場から外に出た時、ふと見上げて目に入った景色が気に入ったのでパチリ。












ミュヴィエルの村と言えば、今から5年前に初めて行った時に、私はそのかわいらしさに魅了されてしまったのでした。ピニャンとサン・ジョルジュからどんどん山側に上がっていったところにあるのだけど、日本の都会暮らしに慣れてる私にとったら、周囲から断絶されたような感じが新鮮で、しかもまるで山の中の避暑地のようなたたずまいが素敵。こんなところで日常生活をしている人々がいるものなのかと目からウロコを感じたものです。写真に写ってる教会が一番高いところにあります。





モンペリエの街からしたら、村全体が高台にあるので、実は晴れた日には遠くに海岸線が見えるのだとか。高いところから見渡すのって、リッチな話ですよね。





「どこで食べる~?」という話になって、Mが「となりの公園で食べよう!」と決定。





どんなところかと思って行ってみると、村役場のすぐ横には緑あふれる広場がありました。さくらんぼの木も真ん中に。













鳥の声も聞こえ、なんとも心地よい空間。





早速、ワインとおつまみが出てきてみんなで乾杯。





私は「へへ、今日はこのためだけに(食べるため)来たんだ~。」と白状。





この日はさすがに私は何も準備できなくて手ぶらで行ってしまったけど、他のメンバーがサラダ、ライスサラダ、チーズ、パン、ワインなど、準備してくれていました。しかもこの公園には誰もがバーベキューをできるように暖炉があって、それを知っていたMはソーセージを準備してきていました。しかもどこやらで木を集めてきて火の準備。そして実際にバーベキューです。





徐々に日が暮れていって、ろうそくを並べたり暖炉の火がパチパチする音なんて聞いてたら、まるでもうバカンスに入ったかのような錯覚に陥りました。キャンプファイヤ~を思い出す。





「行くのめんどうくさいな。。。」と思っていた私ですが、やっぱりたまにはみんなでワイワイとしゃべって食べて飲むのはいいものですね。しかも、夜ピクニック。ろうそくを並べていると「どこのセクト(カルト集団)だ?」って話になりますが、セクトごっこなんかしながらおしゃべりもはずみ、食事はとてもおいしくいただきました。





22時ともなるとさすがにもう暗くて、しかも気温が下がって寒くなり、冷えに弱い私はそこらへんで失礼させてもらって帰ってきました。「明日も朝9時からだから、、、」と言いながら。。。するとみんな「ええ==!?明日も朝から仕事?」と驚くとともに拒絶反応。やっぱりフランス人には日曜日に仕事なんて普通はありえない。私だってこうして夜ワイワイした次に日にはやっぱり昼ごろまで寝ていたいけど、まあ今のところ仕方ないや。世間と時間がずれた「スペクタクルの世界は楽しい」と思って、「お仕事がくるのはありがたい」と思っているうちはね。

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