2008年4月11日金曜日

私の行動範囲


これはモンペリエ周辺の地図です。先日の書き込みで伝えた、モンペリエ周辺全体の人口というのは、この地図で色がぬられた市町村を全部合わせた人口ということになります。この地域全体を「Montpellier Agglomeration 」(モンペリエ・アグロメラシオン)といい、いわゆる地域共同体といいますか、行政のいろいろな面で協力しあっているわけです。
今現在、私はモンペリエの中心地のすぐ近くに住んでいます。私のメインとなる仕事は、音楽学校でのピアノの先生と、オペラJrという団体でのピアノ伴奏者です。このオペラJrというのは、モンペリエの市街地にあるCORUM (コローム)という総合文化ホール施設で普段の練習を行っていて、なんと私の家からそこまで徒歩10分という距離です。なんとめぐまれた通勤距離でしょうか!
そして一方の音楽学校はというと、この地図上でモンペリエの西側に広がる村々、Pignan(ピニャン)、St.Georges d'Orques(サンジョルジュドルク)、Laverune(ラヴェルンヌ)、Murviel-les-Montpellier(ミュルヴィエル・レ・モンペリエ)、Sausan(ソーソン)、Fabregues(ファブレグ)に、教室が分散してあります。私の仕事場はサンジョルジュドルクなのですが、今年は水曜日の午後だけピニャンにも行っています。
この学校での仕事は、私にとってフランス生活二年目であった2003年の秋に、産休をとる先生の代理に来てくれないかという依頼をもらったのがはじまりです。その時、もちろん車は持っていませんでしたから、不便なバスを利用して、帰りは同僚の先生に送ってもらうという方法をとっていました。そしてその後、私を正式に雇ってくれるという話になったときに、「それじゃあ車が必要だな」ということになったわけです。日中1時間に一本あるかないかという本数で、さらに夜はモンペリエに戻る最終バスは18時なんていうバスは本当に不便で、さらにはフランス名物のストライキがあって、本当にあてにしてられなかったのです。それに同僚の先生たちに毎回「乗せてって」と頼むのも、私の性格上ちょっと便利ではなかったのです。。。今の私の家からは車で30分弱でいけて、まあ苦にならない距離ですね。
モンペリエを一歩出ると、すぐにワイン畑などのどかな風景がひろがり、それぞれの村には昔のままの古い街並みの中心地があり、その周辺を新しい家々が広がる住宅地となっています。これまでで私が見て理解する限り、フランスでは普通のフランス人家庭はこうした郊外の村に家を持っています。そしてその一軒一軒の土地の広いこと!南仏なだけに、大きなプールがある家がほとんどで、日本人からいったら「なんてリッチな家!」ということになります。まあ、フランス人社会の中で低所得者層の人はこんな家はもてないだろうけれど、だからといってこういった村に住んでる人たちが特別リッチかというとそうでもないのです。ですから中層階級というか、普通のフランス人家庭というまとめにしちゃいます。加えて言えば、「リッチ」という言葉ですが、何をもってリッチというか、リッチであるととらえるかということに関しては、日本とフランスで本当に大きな違いがあります。「豊かさ」を何にもとめているかというのが違うからです。この辺のことはまた次回記事にしたいと思います。
さて、フランスにはコンセルヴァトワールと言われる、国が運営しディプロムを出す音楽学校の他、コンセルヴァトワールに入学する以前のレベルや趣味で楽しむ人のための音楽学校として、市町村が独自で運営する音楽学校、そして私が働く音楽学校のようにアソシエーションとして、基本的には生徒が払う授業料、会費で運営がなりたっている学校があります。私が働く学校はL'Internoteという名前で、生徒人数が350人を超える、ラングドック地方で一番大きなアソシエーションとしての音楽学校です。楽器もピアノ、ヴァイオリン、ギター、フルート、クラリネット、トランペット、ドラム、チェロ、アコーディオンと豊富にそろっていて、ピアノとギターには先生が4人ずついて生徒の数もたいしたものです。ピニャンをはじめとする村々は、施設提供やささやかな援助を共同で行ってくれてはいるのですが、運営をなりたたせてるのはあくまで生徒が払うお金です。フランスは国の文化、教育政策、援助がとても充実しているので、日本人の私から言わせたら、文化、教育に関するものはほとんどタダ同然なのですが、それが当然と思っているフランス人にとったら、この音楽学校の会費は高く、これ以上値上げをするというのは理解を得られないということで、運営、存続をかけたかなりの問題や不安をかかえた団体であることも事実です。それでも先生たちの熱心さや、とくに生徒、生徒の親、そして先生と学校のみんなで手作りといったアットホームな雰囲気のよさはとても評判がよく、誰もが存続を願っています。何かと行事も多いので、これから時々音楽学校ネタをお伝えしていきます。

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