「聖スザンナ」は30分弱、「青髭公の城」は1時間弱の長さなので、休憩をはさんで、二つのオペラを同時公演したのです。
場所はオペラ・コメディではなくて、ホールや会議場がいくつかある総合文化施設のCORUM。その中でも2010席ある一番大きなホール。モンペリエのオペラ座の公演では、現代オペラなどがよくこちらのホールで行われます。
私は字幕操作担当で参加したので、本番3回と練習2回、合わせて5回同じ舞台を見たわけですが、感想は一言。
一瞬、「映画みたい!」なんて言いそうにもなりましたが、映画みたいどころか「映画以上」のものなわけです。やっぱり生のダイレクトのスペクタクルというのは、特別ですね。特に今回のこの音楽、この演出、そして歌手、と三拍子そろってインパクト大の舞台だったのです。最終日はぶるっとくるほど感動してしまいました。
演出を担当したのは、これまでにこのブログでも何度か名前が出ているジャン=ポール・スカルピタ氏。ついこの間、オペラjrの「ディドンとエネ」の演出をした人です。
私はこれまでに7本くらい彼による演出のオペラを見ていますが、この人はやっぱりすごいです。ミニマリストでシンプルな舞台をベースに、光と暗闇を巧みに使って本当に「美しい」舞台を作り上げてしまうんですね。
実は、「聖スザンナ」は2003年にモンペリエで初演を行っていて、今回はそのリバイバルだったのです。私にとったらモンペリエに来て初めて見たオペラであり、記念すべきオペラなのです。そして、私が初めて見た現代オペラであり、初めて見たスカルピタ氏の演出によるオペラとして、そのインパクトはいまでも 鮮明に残っています。
今回はスカルピタ氏によるコンセプトで、「聖スザンナ」のスザンナと「青髭公の城」ユディットとという二人の女性像にスポットをあてて二つのオペラに統一性をもたせての同時公演でした。
どちらのオペラも20世紀前半に作曲されていて、ぎりぎり調性音楽の枠の中には残りつつも、モーツァルト、ヴェルディ、プッチーニといった古典派、ロマン派の有名どころのオペラに慣れている人にとったら、衝撃的な現代オペラと言えるでしょう。まあ、そもそもいつものことで音楽史における作品の時代区分は、観点によって人それぞれの主張があるのではっきりはできませんが、この二本のオペラは間違いなく「20世紀の音楽」です。
今回の公演はこれまた歌手が世界一流で、観客は魅了、圧倒されてました。
このところめちゃくちゃ忙しくしていたのでブログでの報告が遅れてますが、まずはこのオペラに関して「すごかった!」と一言お伝えしたかったんです。
百聞は一見にしかずで、この公演はホールで生で聞かないと、良さは十分に伝えられないと思いますが、またゆっくり報告したいと思います。
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