2009年4月30日木曜日

Opera junior concert

4月28日火曜日と29日水曜日に、オペラjrのLe Choeur d'enfants  と Le Groupe Vocal の合同コンサートを行いました。




当初、今回のコンサートはLe Groupe Vocalが、イタリア中世の音楽マドリガルを集めたプログラムで行うはずだったのですが、組織内でいろいろあった末、プログラムの変更を決定し、急きょ、子供たち(9歳-15歳)と若者グループ(16歳ー25歳)、そしてソリストたちとでプログラムを構成することになりました。

マドリガルのプログラムでは、私のピアノ伴奏ではなくて、古楽器の小さなアンサンブルによる伴奏が予定されていたので、私自身は6月まで本番はなしだとのんびり構えていたんです。そのためにオペラ座から「Sancta Susanna」と「 Le Château de Barbe-Bleue」の字幕操作を頼まれたときに心よくOKしたわけですが、プログラム変更の結果、音楽学校とオペラ本番とコンサート本番の間で走りっぱなしの数日間となってしまったのでした。

ピアノで個人的に練習する時間もまるでないまま、前日も一日中他の仕事、当日も本番ぎりぎりまで音楽学校でピアノのレッスンなんてしちゃって、これはさすがにやりすぎたと今になって反省。。。一応コンサート本番でピアノを弾くのですから、やっぱり身体的にも精神的にもじっくり準備して本番に挑むべきですね。しかも、今回のプログラムはピアノ的にはかなりハードだったのです。なにが、って肉体的にハードというか、私なんかでは筋肉が足りません。。。。というピアノパートでした。

さて、どんなプログラムだったかというと、子どもたちが ジャン・アブシル作曲(Jean ABSIL 1893-1974) の 「Chansons plaisantes pour voix d'enfants」を歌い、若者たちが ダリウス・ミヨー作曲(Darius MILHAUD 1892-1974)の 「Barba Garibo」を歌いました。そして間にソリストたちがペルゴレージ作曲(Giovanni PERGOLESI 1710-1736)のオペラ「奥さま女中」からのドゥオ「Lo conosco」、ドビュッシーの歌曲(Claude Debussy 1862-1918)「Il pleure dans mon coeur」、フォーレの歌曲(Gabriel FAURE 1845-1924)「Les rose d'Ispahan」、そしてドゥリブ作曲 (Léo DELIBES 1836-1891) のオペラ「ラクメ」からのドゥオを一曲歌いました。

実はアブシルの曲とミヨーの曲に関しては、5月末にモンペリエ・オーケストラとの共演が予定されていて、2日間の地方公演がおこなわれるため、かねてから準備はしていたのです。ただ、本番が一ケ月早まったというわけです。
マドリガルの準備にとりくみつつも、並行して「ディドンとエネ」はまだ地方公演が残っているし、5月のオーケストラとの曲も準備しないといけないわで、今年度のオペラjrはかなりのハードスケジュールでどたばたとしていました。それが、今回のプログラム変更でいっそうどたばたと慌てての準備となったわけです。
さらに内部のトラブルの結果、組織のトップであるディレクターが交代することが決まり、もうすでにそのことはマスコミ、メディアでも通知されていることもあって、今回のコンサートはある意味、オペラjrの生まれ変わりを告げる大事な転換期のコンサートとなったわけです。

そのために「うまくいくか?」とか「お客さんは来るか?」といった不安も多少あったのですが、結果的にはありがたい満員御礼。子供も若者もみんなエネルギーとフレッシュさにあふれる歌をうたい、お客さんは大喜びしてくれたようです。

今回ソリストたちが歌ったのは有名どころですが、アブシルにしろ、ミヨーにしろ、世間に知られていない曲をとりあげるのはいいことだと思います。
私たちは合唱をメインとして活動していますが、世界中にはたくさんの合唱曲があるわけです。レパートリーを広げようと無理に努力をしなくても、どんどんあるある、魅力的な合唱曲が。
フランス、イタリア、ドイツの曲はもちろん、イギリス、スペイン、ノルウェーの曲、そしてチェコ、ハンガリー、果てはメキシコにアルゼンチンに、さらには日本の曲。
私は音楽の要素の中で、ハーモニー(和音、和声)に興味があるというか敏感なのですが、合唱曲に取り組むということはハーモニーを追及する取り組みだといえるでしょう。そこで世界各国の合唱曲と接していると、言葉はもちろんですが、その土地の色がハーモニーにあらわれているからとても楽しいのです。もちろん作曲家の感性も聞く人の感性も人それぞれではありますが、私のハーモニーに対する感性はここ数年でさらに磨きをかけられている感じです。「ハーモニー」という言葉を「響き」という言葉に置き換えちゃってもいいと思うのですが、ある和音の流れの響きを聞くと、ノルウェーの澄んだ空気が肌で感じれそうなイメージがわいたり、ある響きをきいてスペインの夜の空気がふっとあらわれたり。そんなこんなで一人世界旅行をしてる気分にもなれちゃうってお得な話です。

ミヨーは「フランス6人組」のメンバーで、南アメリカやジャズなどの要素を取り入れて独自のスタイルを作り上げ、音楽史の中では知名度はしっかりある人ですが、今回歌った「バルバ・ガリボ」はほとんど無名で、CD録音なども残されていません。でも、遊び心満載の明るい曲は、エネルギーあふれるGroupe Vocalのメンバーにぴったりはまり、持ち味が自然とでた感じでした。ミヨーは南仏プロヴァンス地方出身なのですが、そのことがうかがえるような「おおらかさ」と「明るさ」があふれる作品をたくさん生んだ人です。彼の音楽を聴いていると、広々とした青い空がすぐに目に浮かんできて、明るい気分になってしまうから、音楽の力ってすごいな~と思います。

今回のコンサートは、私個人としては準備不足のうえに自分の身体能力に合わないピアノパートで、あちらこちらにボロやらキズがありましたが、「エネルギッシュに」という面では以前とは比べ物にならないくらいに進歩したなあと感じました。「躊躇しない」といか、「行くっきゃないでしょ」みたいな。
身体的には無理があったので、しばらくの間、手や腕のしびれや、握力減少は残ると思いますが、6月のコンサートピークまで、だら~っといさせてもらおうと思います。

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