フランス語で「春」は「Le printemps」。
「ル・プラントン」と発音します。
日本人にとっては日本文化そのものでもある四季の彩りですが、その感覚で述べると、日本人にとっての春とフランス人にとっての春は少し違うように思います。
日本人にとって、春は一年の始まり。新しい出発の時。別れの時。出会いの時。
そういった季節柄の感じ方は、日本社会のカレンダー、四季の暦と一体化しているわけで、日本における日本人の季節感を一層強めていると思います。だからフランスに暮らす日本人は、フランスにおける春を、人それぞれの感覚で味わったり、新しい発見や感覚に気が付いたりしていることと思います。
私個人で言えば、フランスでの春には、別れの時や出会いの時というイメージが全くないことに、寂しさを感じたりもします。あくまで、冬から夏に向かう過渡期の時期だったり、一年の年度がもうすぐ終わりに向かうと感じる時期、あと少しでバカンスだ!といった、わりと単純に一過性のものだったりするのです。フランス社会のカレンダーが9月スタートの年度カレンダーに沿っているので、そうなって当然です。
四月と言えば、フランスには「Avril, ne te découvre pas d'un fil. 」という諺があって、「四月には、糸一本たりとも脱ぐな。」という感じでよく訳されますが、これは四月になって春めいた気候になって、すぐに薄着になったりしたくなるけれど、気温の上がり下がりが激しくて、四月の天気は変わりやすく、すぐに風邪をひいたり体調を崩したりしてしまうことへの教訓なのです。
その通りに、四月になったからといって日本人がイメージする春日和が続くことはあまりなく、雨が降ったり、風が強かったり、あまり穏やかな気候ではありません。
実際、今年もこのことわざの通りで、「春がやってきた!」と思える日が来たかと思えば、雨が続いたり、曇り空ばかりが続きました。
日本からは、見事な桜の映像があちこちから流れてきて、春とは言えど、その春の違いに改めて感じ入ったりしていました。
そんなこんなで、「冬は終わったようだけれど、夏にはまだなっていない」と言った感じの気候がなんとなく続き、やっぱりこれがフランスの、いやとにかくモンペリエの春かなあと思って過ごしていました。
そしてようやく数日前に気温が25度近くまでにあがり、瞬く間に人々の服装が初夏のような服装に変わりました。すぐに半袖Tシャツや下手したらノースリーブで極端に薄手の女の子を見ると、今ここで真夏の服装になって、これから45度とかに上がるまでどうやって過ごすのかとこっちが勝手に心配しています。
ともあれ、どうやら気温はこれからはしばらく25度前後で落ち着くようです。
このように、社会的には日本と同じような春を感じられない生活ですが、自然の世界は春を感じさせてくれています。
つい最近、町内の通りを歩いていたら、ご近所さんの壁やアパートの壁を彩る花々に目がとまりました。
ガーデニングといったような手入れが施されている感じがしない花々。
かなり大胆に、大雑把に成長しているようにも見えますが、彩りも香りも素晴らしい花々が咲いています。
やっぱりこうした彩りがあってこその春ですね。
皆さんもそれぞれの場所での春をお楽しみください。
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