2008年6月1日日曜日

Spectacle de l'école de musique


私が働く音楽学校では、それぞれのクラスの発表会の他に、毎年年度末に学校全体でFête (お祭り)をします。アンサンブルを中心にして、6月ごろに野外でコンサートをするわけです。しかし、今年は特別にスペクタクルということで、演出家を招いて照明や衣装もありで、一つの舞台として関連性のあるまとまったものをしようということになりました。11月に先生同士の会議を開き、音楽の歴史というテーマをもとに、それぞれのクラスが一つの時代を選んで、それぞれのスタイルなどを紹介するということに決めました。立派なオリジナルポスターもできて、昨日土曜日に本番を迎えました。

この学校にはピアノの先生が4人いて、生徒数もギターと並んで一番多い楽器なのですが、ピアノを使ってアンサンブルといっても参加させることができるピアニストの数が限られるために、いつも大きな計画がたてられないままで、自他共に不満が残ってしまう課題でした。特に年度末はオペラjrでもいろいろと本番がたてこむために、私自身の時間もあまりなく、今年も泣く泣く軽い参加どまりになってしまったんです。
私のクラスからは、シャルロットとニコラの二人を選び、それぞれ別のグループに送り込む形になったので、もちろん私もその曲の準備は一緒に取り組んできましたが、スペクタクルとしての全体像をまったく知らないまま本番を迎えたんです。前夜と当日午後にも現地での合同練習があったけれど、私はオペラjrでの仕事も本番前で大事なために、まったく参加せずに、仕事が終わってから20時に到着しました。場所はSt.Georges d'Orques の多目的スポーツ施設のホール。




中に入るとすでにかなりの人が。出演する子供達はそれぞれの衣装で来てました。


あまりきれいに写真が撮れなかったけど、この夜の報告をしますね。
まずはプレジデントのスピーチで開幕。ギター、弦楽器、管楽器が参加しての大アンサンブルではじまりました。



今回のスペクタクルの演出を担当したのはクリストフという私と同じ世代の人。私はほぼ接点をもたずに終わってしまったけれど、低予算の中、本当にじょうずにまとめてくれました。彼は地元の中学校の演劇部の子たちと、時代やスタイルを説明するビデオクリップを前もって撮影し、それを各グループの演奏前後にビデオプロジェクターで映しだしたんです。この照明も落ちて観客がビデオに集中している間に舞台の変換を行うというアイデア。


このアイディアがほんとにうまくいって、楽器やマイクの移動には生徒のお父さんたちが協力してくれてぱぱっと舞台セッティング。



トランペットのニコールのクラスはルネッサンス担当。

ギターのマルクは中世、フルートのリザはクラシック。本番前にそれぞれの衣装でパチリ。

こちらは私の生徒であるシャルロットとそのママ。そして同じく生徒のニコラ。シャルロットはバロック時代に参加。ニコラもヘンデルの作品に参加。


私もシャルロットの譜めくりのために舞台にあがるだけでも、衣装を着なくてはだめだと言われて、この日きてたジーンズなど全部隠すためにこの大きなガウンを着ることに。フルートの先生で友達でもあるリザとパチリ。



舞台に上がって横を見ると、チェロの先生のマリーも同じく譜めくりと生徒のサポートのために舞台にあがってたけど、その姿を見て私は大笑い!だってかつらまでしてたんだもん。暗いけど写真見えるかな?


この学校では楽器を習い始める場合、最初の5年間はソルフェージュを義務的に同時に習わせることにしていますが、ソルフェージュのクラス全体はルネッサンスの時代に参加して歌を歌いました。みんな親の協力によって手作りの衣装を身につけてうれしそう。


クラシックだけにとどまらないのがこの学校のいいところ。アコーディオンのクラスはベルエポックとしてシャンソンを演奏しました。ベレー帽とタートルネックのセーターもはまってました。彼らが舞台裏で練習してるところをパチリ。


ギタリストを中心にロックのグループもあります。彼らはそのまま60年代のロックを紹介。



小さな子供を対象にリトミックのようなクラスもあるのですが、彼らは「未来」として、宇宙的な衣装とともに、打楽器をつかって即興演奏をしました。すごくかわいかったです。



それぞれのグループ演奏中には、この時代名が書かれたプラカードが上がり、照明に照らされるというのもいいアイディアでした。



20時半に始まり22時過ぎには終了したかな?みんな大喜びの大成功でした。私は準備にかかわらなかったため、ふたを開けてびっくり状態。いつも予算がなくて運営が大変な学校だけど、親の協力と先生やその友人の協力などで、みごとなスペクタクルができました。こういうアットホームなことができるのも、こちらの写真の左にいるのがジャッキーのおかげ。


彼女はこの学校ができた当初から、生徒の親としてボランティア的に学校の行事に参加。事務的なことから運営まで、実質的に学校のすべてをまとめてくれてた人。数年間はお給料をもらいながらの時期もあったけど、去年それも引退すると決めてしまったのだけど、結局またボランティアとしてなにかと関わってくれて、今回のスペクタクルはジャッキーパワー炸裂!衣装のことから運営のことまで、全面的にしてくれた。古き良き時代の感覚を持っている人で、生徒の親の協力などをとりつけれるのは彼女のおかげ。楽器の運送、衣装作成、休憩の間の軽食販売、こういったいろんなことが、生徒の親のボランティア的な協力で行われました。

舞台の技術的な面では、ヴァイオリンの先生であるマチアスがいつもみんなの頼り。彼は音響のプロでもあるので、自分の機材を持ち込み、マイクの設置、配線を受け持ってくれます。そして彼の友人のファビエンヌはデザイナーで、今回のポスターも作ってくれましたが、この二人が舞台の音響、照明などをとりしきってくれます。

この手作り感覚、アットホームなムード。そして同時にきちんとした仕上がり。この二つが私の想像をはるかに超えていて、大したもんだな~と感心しました。フランスの音楽教育の中心であるコンセルヴァトワールとは全く違うこの学校。コンセルヴァトワールではディプロムが出たり、もっとプロフェッショナルな教育が受けられますが、やっぱりムードはアカデミックで紋切型なのが現実。今夜のスペクタクル後には、生徒の親も先生もみんなが、この学校のレベルも大したもんだと確認。日本と比べてみても、ヤマハとか規模も大きいし資本もあるから立派な運営だけど、こんなアットホームな手作り感覚はないよな~と思って、今回はお金がないことって逆にいいことかも!と思いました。

もちろん後片付けも自分たちで行うわけで、準備に参加しなかった私はせめてと思って参加。これが思ったより大変な作業。マイクと照明のために張り巡らされた配線を分解するだけでも大仕事。以前はただコードを巻いていくだけと思っていたけど、最近マチアスにコードの巻き方を伝授してもらう機会があって、その教えを守ってやってたら、マチアスが「leonardo! 完璧にプロフェッショナルになったね!」と言ってきました。マイクのコードは、コードが向きたい向きにそって巻いていかないといけないんですよ。知ってた?


後片付けを進めつつも、打ち上げムードも同時に始まり、みんなアルコールとたばこ片手におしゃべり開始。こうなったらもう止まりません。時間もすでに夜中の1時を過ぎていて、私はこの日朝9時からずっと働きずめだったから、疲れがピークになってきて、しかも翌日の日曜日は午前も午後も仕事。片付けの途中で立ち去るのは気が引けたけど、みんなに申し訳ないとあやまりつつ家に帰りました。

学年度末の大行事も無事に終わり、いよいよ夏の大バカンスを待つばかり?!

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