2008年11月27日木曜日

一年前の大冒険

先週、フランスはストのシーズン真っただ中でした。。。エールフランスから始まって、SNCF(鉄道)、教員、郵便局員などなど、あっちもこっちもストばかり。ストに関する議論はまた今度にするとして、11月のストシーズンと言えば思い出すのが去年の今頃。

去年の秋、前に話題にも出したけれど、おそろしく修理費のかさむ古い車から他の車に変えようと決心したときのことです。フランスでは普及率の悪いオートマ車を見つけたかったことから、自分でも予定していなかった大冒険をすることになったのでした。

日本でだってしたことないのに、ここフランスで自分で古い車を売って中古車を見つけること自体が大冒険でしたが、とりあえず自分としてはモンペリエで車を探すつもりでした。でも、できるだけ新しくてキロ数も少なくて、さらにオートマ車で、という条件がとても難しいということがわかってきて、「これは新車を覚悟しないとだめか?」と問い始めたとき、友人が「他の街でも、車の条件がいいのがあるのなら、車をとりに行って帰ってくる価値はあるよ。」とアドバイスしてきたのです。最初は、「え~!!電車で遠くの町まで車を探しに行くなんてありえないし!!」とか即却下してたのですが、それで予算の節約になるのなら、、、と考えを改めたのです。

そこで、もっぱらインターネットで車探しをしていた私は、検索条件のエリアを拡大してみたのです。それも半端じゃなく、TGVで3時間半のパリまでOKにしてみました。

そしたら、ちらほらと良さげな物件がいくつかと出てくるではないですか。とくにパリ周辺にはかなりの数の物件がありました。オートマ車ならやっぱり日本車の方が信用できるだろうと決め込み、トヨタ、ニッサン、ホンダなどなど、一連の日本車メーカーのコンパクトカーを次から次へと検索して、数件まで候補をしぼりこみました。

見てみるとやっぱり年数とキロ数と値段って、みんなそれぞれいろいろあるもんです。

で、検討に検討を重ねた結果、私が選んだのはニッサンの新型マーチ。フランスではMICRA(ミクラ)と呼ばれています。1年もので、走行キロ数もたったの5000キロ。その車がある場所はというとマコン。MACONとは、リヨンとパリの間の街です。ブルゴーニュ地方で、ワインの産地として有名ですね。
モンペリエからは400キロほどあります。

幸い、日産のディーラーが取り扱っていたので、連絡はとりやすかったし信用度も高いと判断して、買うことに決定しました。写真をメールで送ってくれたし、前の持ち主のこととかも説明してくれたし、ハンドルに傷があるという欠点も話してくれたし。試乗もすることなく決定です!私がモンペリエからとりに行くといったら、駅まで迎えにきてくれると言ってくれて親切でした。

そんなわけで、決めるまでかなり迷いましたが、決めたらあとは早かった。

TGVのチケットをとり、「11月22日にとりに行きますから、車のチェック万全にお願いしますよ!」と宣言したのでした。

それが当日、運悪くどんぴしゃで重なったのがSNCFのストライキ。。。

このために、ストの時期がきて懐かしく去年のことを思いだしたのです。

こっちとしては、連日オペラjrの本番があるなか、ひとりで車をとりに行くという一大事で買った電車のチケットだというのに、もうがっくりもなにも、腹たっちゃいました。ほんとうにフランスのストだけは納得がいきません。こんな私は日本人。

で、仕事の都合で再度約束をとりなおしたのが11月26日の月曜日でした。私の車を担当してくれてた人はあいにく休みの日なので、代わりに同僚が私の世話をしてくれとのこと。幸いTGVが一日に一本だけ、モンペリエからマコンまで直通一本で行けるんです。二時間半弱の電車の旅。

以前、友達のNちゃんが訪れたこともあるこの街。まさか、自分がこんな形で訪れることになろうとは思ってもいませんでした。

日産の人との約束では、私の電車の到着時刻に迎えに来てくれるということだったけど、電車の中で電話がかかってきて、ちょっと遅れるとのこと。

それならばということで、私はTGVを降りてから地図ももたずにてくてくと町にお散歩にでました。

昔からそうなんですが、私は超男脳の持ち主。つまり、方向感覚がとってもさえていて、まるで頭の中にナビが入ってるかのよう。しかもインターナショナル!だって、モンペリエだってどこだって、行ったことがない土地でも道に迷ったことがないのです。行きたいところに必ず行けるんです。ちょっと得意げ。


だからこの日もまったく迷うことなく街の中心地にたどり着きました。





平日の昼間で、がら~んとした町でしたが、きちんとした清潔な感じの街でした。やっぱりモンペリエとは全然違う。きっとこういうのが一番オーソドックスな伝統的なフランスらしい町と言えるのでしょう。
車購入のお祝いにワインでも買いたかったけど、どの店もお昼休憩でしまってました。。。

無事に日産の人とも会えて、郊外のお店まで車で楽々。コーヒーをいれてくれて、さらにはガソリンを満タンしにわざわざ出かけてくれて、フランスにしてはかなり気持のいいサービスをしてくれました。私が遠くから来たからってのもあったのかな?それに日産なだけに日本人の客は大事でしょう!って関係ない?
支払いを済まし、車の登録手続きのことやら、車両の保証のこととか事務的な説明を受けて、さあ完了。
車は私のものとなったのです。モンペリエ目指して出発です。高速道路の入り口の方角だけ教えてもらって店を後にしました。

なんかこんな大胆な大冒険をしてる自分がおかしくって、一人でくすくすと笑っちゃいましたよ。
だって、他にもこんなことしてる人ってなかなかいないでしょう。
私はもともと車をかなり乗り回す人で、日本ではそれこそかなりの距離を動いてましたが、フランスに来てからはボロイ車がおっかなくて、高速道路にものったことがなかったのです。
それがこの日はいきなり400キロを一人で走るんですからね。

日本の親は娘の大冒険を心配したのか、私の携帯に電話をしてきましたが、運転してる人に電話してくる方がよっぽど危ないって(笑)

フランスの高速道路は道幅もゆったりとしていて、カーブも少なく、これはスピードが楽に出てしまう。景色も穏やかなもので、目の前の視野がずっと開けているからスピードを感じることがないんですね。周囲の車なんて150キロはざらにだしてるものだから、自分が110キロでも遅くゆっくりに感じてしまうんです。
こんな感じ。


こんな感じって、この写真、運転してる私が撮ったので、危ないもなにもないですね(笑)

気持のよい秋晴れの日だったので、ついつい写真を撮ってしまいました。上の風景は、リヨンの北部にあった風力電力の巨大風車です。

この高速道路はパリと南フランスを結ぶもので、フランスで一番の主要道路です。マコンからリヨンへと下り、その先アビニョンのあたりまでずっと一直線。



マルセイユを目指す人もニースに向かう人も、モンペリエの人も、さらにはスペインのバルセロナに向かう人も、みんながこの道路で南下します。

平日だったので大した渋滞もなく、モンペリエまで休憩もせずに一直線。4時間もかからずにモンペリエに無事辿りつけました。


いや~、やればほんとになんでもできちゃうもんですね。
この車をかったおかげで、新車を買うのよりも3000ユーロは節約できたわけだし。もちろん、日本で買うのよりはずっとか高いけど、それは仕方がない。フランスの車市場、中古車市場のなかでは、かなりいいお買い物ができたと思います。うれしいことにラジオもCDも装備。ってあたりまえのことですよね。でも前の古い車にはついてなかったんです、というか取り外されていたんです。。。あたりまえのことをありがたく感じるのは新鮮でいいことですね。
無事に帰れたし、新しい車の乗り心地もよく、大満足の大冒険でした。

翌日、アパートの駐車場の私の定位置にきちんとおさまったミクラちゃんをパチリと記念撮影しました。



これが私の新しい愛車です。

祝一周年。

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