モンペリエでもすっかり気温が下がり、夏は終わってしまいました。
毎年この時期になると私を悩ませるもの。それは滞在許可証の更新。
私がフランスに来たのは2002年9月25日。以来、一年期限の滞在許可証を発行してもらい、毎年9月24日が有効期限となるカードをもらっています。そして毎年この時期を過ぎてしまわないように更新をしないといけないのです。
学生ビザでフランス入国をしたわけですが、2003年から仕事をするようになって、2007年にフランス人と同じように働ける権利を得られる「サラリエ」(給与所得者)の身分を与えてもらいました。仕事をする上での制限もなくなり、とってもうれしいのですが、一年期限のカードというのはやっぱり目の上のたんこぶ。仕事を続けているわけだし、法律、規則にそって合法的に仕事をしているので、「普通は来年もらえる。」とは言われても、来年もまた滞在許可証をもらえるかの保証が100%ないというのは落ち着かないものです。年も年だし、人生計画をたてるうえでももうちょっと長期で見通せる環境を手に入れたいという欲求は自然なもの。
というわけで、私はいわゆる「10年カード」の取得を目指しています。
滞在許可証を更新する届け出は、期限の2ヶ月前に提出しないといけないといわれています。そのため私は6月にそのことで質問をしようと県庁に行きました。今日はその時の話です。
エロー県の県庁では、フランス人のパスポート発行、車両登録、運転免許発行など、それぞれの担当窓口があって、各受付時間も違います。中にはすべての人を同時に対象とする時間や、すでに手続き進行中で召喚状をもってる人のみ対象の時間や、何も書類がない人のための時間などが決められていて、それを知らないと二度、三度と足を運ぶはめになります。
今ではモンペリエ市外に住んでいる人は、それぞれの市町村の役所に申請書類を提出できるので、そういう人は召喚状をもらってから受け取りの時にだけこの県庁にこればいいことになっています。
郵送での書類受付も一部認められ、少しずつ改善はされているようですが、郵便もあまりあてにできない国。大事な書類はやっぱり直接提出する人は多く、今だに県庁というのはどんなフランス人にとっても待たされる場所で、何度も足を運ばないといけないところ。皆がうんざりしている場所の代名詞なわけですが、そんな彼らはまだまだ甘い。
だって、フランス人対象の一般業務はまだ我慢ができる範囲だから。待たされるのはフランス人が効率よくてきぱきと仕事をすることを知らない人々だからであって、何も県庁に限ってのことではないと、一日本人の私は思う。
さて、ほんとうにひどいのは「外国人受け入れ担当課」。厳密にはEU諸国以外の国から来た人を担当する課です。だって、今やEU諸国とは国境がないも同然の方向で動いていて、「EU諸国の人受け入れ課」は独立して設けられています。だからEU諸国以外の国から来た人を本当の意味での外国人としましょう。
この「外国人受け入れ担当課」の人は、わりときちんと仕事をしているように思えます。すごい数の外国人がいるという現実を冷静にとらえた方が正しい。そして何がひどいかというと、このすべての外国人をたった一つの窓口で同時に扱おうとしていることから、たくさんの無駄が生じてるんです。
「外国人」と一口にいっても、その実態はさまざま。
この窓口で小分けされているのは以下の4つのグループ。
・ 召喚状を持っている人
・ 召喚状を持っていない人
・ 学生
・ 亡命、避難民申請の人
召喚状を持っている人というのは、もうすでに申請をした後で、発行を待っている人のことです。外国人学生の申請を担当する施設は県庁外に別に設けられています。そして亡命、避難民というのは明らかに社会情勢、政治情勢が難しい国の人対象で、誰でもかんでも受け入れてもらえるものではありません。
というわけで、残りのすべては「召喚状を持っていない人」に分類されます。
この人たちのための受付時間は月曜、火曜、木曜、金曜の8時半から12時まで。8時半というのは県庁の開館時間。でも召喚状を持たない外国人は開館前、早朝から外で列をつくって並び、8時半から配られる100人分の番号札を受け取ります。これで実際の窓口で順番待ちをする権利を頂くようなもの。たとえ8時半より早く来ていても、100人目より遅かった人には「ハイ残念。もう番号札はありません。明日以降に出直してきてください。」と非情な言葉がかけられます。
たった一つ質問をしたいだけでも、この早朝列並びをしないといけないというのがひどい話なのです。例えば経済的に問題がなく、雇い主もちゃんといて、書類は不備なくそろえられている人。私はこれに属しますが、はっきりいって2分あればことは済むんです。なのに早朝から列を作って、さらに数時間待たされる。。。
かたや、本人は以前にフランス国籍を与えられたアルジェリア出身者で、母国に残る家族を呼び寄せたいという人の場合。本人自身、十分な所得はなく、フランスの医療社会保険や住宅手当の恩恵を受けているのに、さらに子だくさんの大家族を呼び寄せたいというのです。そこでもし県庁の人が「無理ですね。」と言って本人が引き下がらない場合、かなり大声でのやり合いに展開することもあります。
またよくあるのが、申請したのに連絡がいっこうにないという問い合わせ+苦情。こういうとき、たいてい本人は現在の許可証の期限が切れてしまっていて、不安とストレスにおそわれているのでとってもピリピリしています。そこで担当者が「そのうち連絡がいきますから待ってもらうほかありません。」などというと本人の怒りが爆発して怒鳴り合い、、、。担当者も「待ってもらうしかないと言ってるでしょう。今どんなに怒鳴ってもらっても私には何もできません!」といって叫ぶのです。
見てて感じのいい光景じゃないですよ。
まあ、こんなの極一部の例ですけど、毎回、私も県庁に行くたびに、日本にいては目にする機会もなかったような「外国人」という実態を目にするわけです。
さて、今回、私の場合は書類をそろえる前に、10年カードの申請についての情報が欲しかったわけですが、インターネットなど何をみても、はっきりと示されていません。問い合わせをしないといけないわけです。でもそのためだけに早朝の列並びはまっぴらごめんです。
だから県庁ロビーにある総合受付で質問してみることにしました。そこには各書類の申請用紙や必要書類の説明などがおいてあるからです。
この日、私があたったのはあるマダム。「あの~、10年カードの申請に必要な条件とか知りたいんですけど、、、。」と聞くと、「10年カードは国籍や人それぞれの状況によって異なるから、窓口で質問してもらわないとだめです。」という。「え~。ちょっとだけでも参考になること教えてもらえませんか。」とくいさがる私にこのマダムは「無理です。とっても複雑だから窓口の担当者に聞いてください。早朝にこないとだめですよ。7時には来ないとたくさんの人がいるから。」とまで言う。
質問をするだけのために7時に来ないといけないのか?
去年ちょっと質問したときは、若いお姉さんが「直筆の嘆願書をそえてください。」と教えてくれたんです。
確かに政治情勢は常に変わっているから、去年の情報をあてにしててはだめ。でもなんでこのマダムは教えてくれないのか。朝が苦手な私にはまるで腑に落ちない話。
これですっかりやる気がなくなりました。外国人のやる気をなくさせるために仕事してたりして?とまで思ったりする。それに仕事だってあるし、午前中まるまるつぶれるというのはいつでもいいわけじゃない。で、結局これから数日間、私はこの話を放棄してました。
同時に、フランスでは人によって言うことが違うというのがお決まりだということを思い出しました。私があたったマダムがたまたまあんなことを言っただけで、去年のお姉さんのようなことをいうこともあるわけです。で、朝の7時から何度も足を運ぶのは嫌なので、いつでも質問できる総合受付にまた改めて行きました。
今度あたったのはムッシュー。しかもかねてから日本人女性好きとして噂のあるムッシュー。私はうっとおしいのは嫌いなので、必要以上にニコニコすることはせずに淡々と「滞在許可証の更新の必要書類を教えてください。」と頼み、必要書類の一覧が書かれた紙をもらいました。見たら去年と全く同じ内容。
で、後になって大事な質問をし忘れたことに気がついて、また総合受付に引き返しました。するとさっきのムッシューがとなりから「おや、またあなたですか!県庁が好きなんですね~!」と声をかけてくる。そこはさらっと流して、私は目の前の若いお姉さんにあたった。去年とは違う人だけれど、その人に「10年カードの申請をしたいんですけど、普通の更新申請と何が違いますか?」と聞いた。そしたらまさに去年のお姉さんと同じく、「直筆で嘆願書を書いてください。」という。
要するに、一年カードの更新と同じ書類に手紙を添えたらいいだけのこと。
やっぱりこの質問をするためだけに7時から並ぶ必要はなかったってこと。
私はすぐさま必要書類をそろえ、7月23日に朝から県庁に向かいました。
私がついたのは7時半すぎ。なにやら例年より人が多くて、県庁の前から横手の広場まで列は続き、「もしかして来るの遅すぎた?もう100人越してる?」と私はドキドキ。でも一人だから列から離れて人数数えにいくわけも行かず、8時半までぼさ~っと列に並んで待機。そして8時半に担当の警察官が門を開いて、外国人に番号札を渡し、数人ずつ館内に入れ始めました。私は「はい、今日はここまでです!」と言われるかと思ってドキドキしてましたが、私も無事に番号札をもらえました。が、そこには97の数字が!7時半に来た私ですでに97人目だったのです。私の後ろにいた人たちには例の「また出直して来てください。」の声がかけられて、私はすぐ後ろにいた人と、「よかったね~。うちらギリギリ。」と顔を見合わせました。私もあと3人分遅かったらアウトだったんだから。
こうして私が入館できたのは8時45分ごろ。外国人担当課の様子をちょっと見てから、いったん家に帰ることにしました。徒歩15分のところに住んでるのもラッキーな話。11時ごろに県庁に再び戻って待機。やっと私の番が呼ばれたのはもう12時のこと。
ごねたり激しい言葉を交わしたりする他の人とは違って私の場合はいたってシンプル。
書類を出して、サインをするように言われて、「はい、これでいいです。」で終わり。あまりに順調だから担当マダムもにっこり笑顔。
ほんとに1分もかからないことなんですよ!
あとは召喚状なり、何かの連絡が県庁から来るのを待つばかり。
以来、待ちました。待ってます。でもあれから2ヶ月となりますが、今のところ一向に連絡はない。あと数日で私の許可証の期限が切れます。落ち着かないですけど、申請も8年目となると、「私は私のすべきことをしたのだから、待つしかない。」と言い聞かすことができるようになりました。まあ、書類を申請済みというのを証明するものも何もないんですけどね。。。
さて、私は10年カードをもらえるんでしょうか?
2 件のコメント:
お久しぶりです。みみです。時々お邪魔させていただいていましたが、コメントは随分御無沙汰してしまいました。
北フランスからモンペリエに来て7か月。早いです。私もそろそろ滞在許可証の申請をしなければなりません。先日県庁に行ってきました。のんきに午後行きました。表の掲示で時間外だということを確認して帰ってきました。申請はそんなに早く並ばなければならにんですね!!!その前に必要書類について私も質問に行こうかと・・・そのムッシューはどんな方ですか?私もその人にあたったらいいな~。妊娠1カ月の私が活発な二歳児を連れて早朝から並べるとは想像できなくて;)
本文を読んでいて「そうそう」とたくさん共感する部分があり、楽しく読ませていただきました。またおじゃまさせていただきますね。
追伸;モンペリエで評判の産科などご存じですか?
みみさん
共感してもらえるというのはうれしいです。
モンペリエには慣れてきましたか?
モンペリエには日本人ママさんの会のようなものがありますが、もうご存知ですか?
子育てのことなどで情報交換をしているようです。
今となってはかなりの数の日本人がいるので驚かされます。
もし興味があったら連絡先など聞いておきますが。
産科については、以前しゃべったことがある産婦人科のドクターが、「私には日本人の患者さんが何人かいる」と言ってました。centre ville にキャビネをもってるかたですが、名前を忘れました。。。また思いだしたらお伝えします。評判のことなんかも聞いておきますね。
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