昨日フランスでは大統領選挙の決選投票が行われました。
全国の有権者による直接投票です。
二週間前に行われた一回戦の上位二人による対決ですが、一回戦の得票数が「La France insoumise / 不服従のフランス」党のリーダーであるメランションを含めた、マクロン、ルペンの三人に集中していたため、大いに善戦したメランション支持者の間では、マクロンにもルペンにも票をいれてたまるか、という考えが広がって、必ずしもマクロンが安定で勝利とは断言できない選挙戦でした。
(資料 : フランス内務省発表)
大統領就任から5年がたって、マクロンはお金持ちのための大統領という認識が一般的となっていました。低所得者の間ではマクロン不信が強く、さらに先ほどのメランションの大躍進を背景もあって、マクロンの政治にはNOを突きつけたいと思う人が多かったのは事実です。
けれど、それでもやっぱり極右勢力に政権をとらせてはいけないという意識はやはり根強く、結果、58.5%を獲得したマクロンが再選となりました。
20時の発表と同時にマクロン支持者たちは歓声を上げていましたが、同時にルペン陣営もこれまでにないスコアを獲得したことで、次は自分達だと盛り上がりを見せています。
政治不信、マクロン不信が相まって、有権者の28%が投票しにいかなかったという過去最低の数字がでました。さらに皆を印象付けたのは、わざわざ投票所に足を運びながらも、白紙票を投じたり、二人の候補者以外の名前を書くなどして無効になった票の数が300万票を超えたことです。これはなかなかの数です。
そのため、今回の結果はなにもマクロン支持の意志が示されたものではない、極右はダメだという判断で仕方なく投票した結果だとする声も大きく、マクロンは再選を果たしたものの、6月に行われる全国一斉選挙でマクロン打倒を叫ぶ野党相手に、難しい出発となります。
ともあれ、彼が勝利宣言の場に選んだのはエッフェル塔前のChamp-de-Mars。歴史的に見ても軍隊が勝利パレードをする場所であり、勝利を祝う場。
子供や若者を引き連れて、次世代のことを考えるリーダーとしてのアピール戦略で登場しました。
ヨーロッパ賛歌である歓喜の歌をバックに登場したマクロン。支持者は歓喜の声をあげていますが、支持者以外から見ればツッコミどころ満載。SNS上では映像が出ると同時に辛辣なコメントで賑わっていました。
日ごろ、上から目線の態度が批判されるマクロンですが、スピーチでは、「今日、自分の考えに共感して投票してくれたわけではない人達がいることをわかっている。」と謙虚さをアピールするかのようなくだりもありました。
現職大統領の再選は、2002年のシラク大統領以来のことです。1977年生まれのマクロンは現在44歳。次の任期を終える時には49歳になるわけですが、日本の政治の世界のことを考えると、やっぱり若い。大統領として再び選ばれた以上は、この先5年も一生懸命に仕事をしてもらいたいと、選挙権はなくともこの国で生活する身の者として思ったところです。
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