フランス大統領選挙の決選投票を前にして、昨夜4月20日に二候補者によるテレビ討論会が行われました。
決選投票はこの日曜日にせまっています。
一回目の投票で過半数を占める人がいない場合に、最得票数上位二人による決選投票が二週間後に行われるというのがルールです。1965年以来、すべての大統領選が決選投票にもちこまれています。
4月10日の投票で最上位となったのが、現職のマクロン大統領と「国民連合」の党首ルペン議員です。
5年前の決選投票も同じ顔合わせだったので、「またか」と落胆して、みる気を失っている国民が多いのも事実です。
フランスのメイン局であるTF1とFrance2を代表する二人のキャスターによる司会で、討論会は二時間半を超えました。
弁のたつ二人ですから、互いに遠慮なしでの言い合いというか、相手の落ち度を容赦なくたたいていくという感じでしょうか。
購買力、物価高といった経済政策、コロナ禍で露呈した疲弊しきった医療機関対策、テロ対策、エネルギー政策、環境対策、などのテーマに加え、フランスで政治と言えば、フランス国内のことだけでなく、ユーロ圏/ヨーロッパのメンバーとしての立場、態度についても重要なテーマとなります。ウクライナ情勢のことがあるので、なおさらヨーロッパの共同体としてのあり方、またNATOのメンバーとしての在り方など、難しい問題が山積みです。
直接対決、台本やせりふの下準備はないライブでのガチンコ対決ということで、やっぱりこの討論会を見て、自らの最終投票への考えを固めるという人も少なくありません。
昨夜も1560万人が討論会を見たという数字が出ています。歴代の討論会でいうと過去最悪の視聴率とはいいますが、今はテレビで討論会を生で見なくとも、ツイッターなどで詳しい情報が随時配信されていますから、この数字が出たからと言って有権者が興味を失っていると言い切る必要もないかなと、個人的には思いますがどうなんでしょう。
討論会終了後、視聴者の6割が「説得力があるのはマクロン」と評価したという数字もでています。それでも「国民の懸念を理解しているのはルペン」との評価も同時に出ています。
次の日曜日、もしルペン氏が勝利したら、初めての女性大統領ということになりますが、同時に、フランス共和国にとって極右の政治家が大統領になるということにもなり、大激震がはしるのは間違いありません。
政治に興味を持たない人はフランスにもいますし、二週間前の投票結果に不満があってボイコットしようという人たちもいますし、 政治への不信感を白票で示そうと訴える人たちもいます。けれど現状システムでは、二人の対決で、より票をとった人が大統領に選出されるという極シンプルなルールがあるのみ。完璧な候補者などどこの国にも滅多といないし、マニフェストを見れば、応援しようと思っても、一つや二つは同意できない点があったりするもの。しかもたった二人の中からなんて選べない、という気持ちもよくわかります。でもボイコットや白票は自分の意に反した結果を生みかねません。選挙では、「ここは許せない」とか「ここは譲れない」という点をはっきりさせるのも大事だと自分では思っています。
私はフランスで投票権をもちません。
次の日曜日、一人でも多くの人が投票所に足を運ぶことを祈って、26代目フランス共和国大統領の選出結果を待ちたいと思います。
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