2022年11月10日木曜日

工事だらけの街

フランスで新年度が始まるのは9月。大人も子供も長いバカンスを終えて、すべての活動が通常運転に戻るので、活気がある季節なのですが、なんだかみんな慌ただしく、少しストレスフルな時期でもあります。

今年の9月、大事な年度始めという時に、モンペリエに住む人みんなが驚いて呆れることがありました。

それは、モンペリエでは重要交通手段であるトラムの工事です。しかも一番大事な路線の一番大事な区間での完全工事、すなわち、完全不通の発表です。

モンペリエには現在4本のトラムの路線が通っていて、それぞれがうまい具合にモンペリエ市の中心地を通って交差しあいながら、モンペリエの東側、西側、南側へと交通網を広げています。

だいぶ前から待たれていた第5番線の工事も始まり、モンペリエの北側にもトラムが通る予定となっています。この工事のために、モンペリエの街では、あちこちで工事が行われて、車の主要幹線道路は軒並み一車線になったり閉鎖したりで、車で移動する人達は悲鳴を上げていました。

ここ数年のエコロジー推進運動によって、自転車レーンが設置されて、車は一車線撤廃されたりして、その関係の工事もあちこちで行われていました。

 


もともと対向それぞれ二車線ずつだったところが、一車線ずつに減らされる工事のために、工事中は下手したら対向順番子の制限つきになったりして、どこもかしこも渋滞だらけ。

ここへトラムの本格的な工事が始まったものだから、モンペリエの街への車での出入りは、迂回と渋滞必死のやっかいなものとなっていました。エコロジー気運との相乗効果で、もうこうなっては車通勤なんてやってられないと、自転車通勤に切り替える人が増えたことはエコロジー観点からで言えば不幸中の幸い。だって、数年前までは早くいけば車で20分だった距離が、軽く一時間、いや一時間20分とかかかるようになってしまったので、もううんざりという人が増えて当然です。

でも、この9月にみんなが悲鳴をあげたのはそれだけではなかったからなんです。

誰が何を思って決めたのか、この同じ時期に、現在あるトラムの4路線の改修工事まで始めたのです。「どうせなら一緒にやっちゃえ!」とでも思ったのか?

夏のバカンスの間は駅の周辺区域で、猛暑の中、レールの交換作業や、路面の補修工事などが行われていました。せっかくはるばるモンペリエにやってきた観光客に、「ようこそ!」といわんばかりのひどい始末。駅からどこにでも行けるようにつながっていたトラムの路線が、駅からは何一つ機能しないに近い状態になっていたのだから、観光客の受け入れの観点からすればひどいものです。

そして、みんなが活動を再開する9月を迎えて同時に始まったのが、一番大事な区間の完全閉鎖をしての徹底工事でした。

 


大掛かりな補修工事によって、皆さんの移動が安全なものになりますと、胸を張って告知をしてくれていますが、よりによって8月29日から11日25日という日程をあててきたのです。不通になった区間はコメディー広場からCORUMあたり、つまりは街の中心地のメイン駅となる二つの駅を完全にストップさせての工事を始めたのです。周りには中学校や高校もあり、まさに大人も子供もみんなを巻き込んでの工事。

 


 

不通区間をフォローするために、バスの代行やトラムの路線の変更など、いろいろ対策はとられていますが、他の路線の道順が変わってしまったり、普段とはほとんど逆方向に向かう区間もできたりして、トラムに乗って道に迷うという新パターンも多々発生しました。時間表だってこれまでの通常運転とはまったく関係ないものになっているし、歩ける距離の移動は、さっさと歩いた者が勝ちという感じです。

エコロジー対策も大事だし、交通の安全も大事。それはそうだけど、どうしてこの時期を選んだのか?誰にも理解できない決定がなされて、今、モンペリエの街はどこを見ても、工事、工事、工事の街となっています。

工事が終わった暁には、モンペリエ市民全員の運賃無料化という発表もされていて、無料はいいことだけど、「ところでこの工事、本当にいつか終わるの?」 と、みんながボヤく今日この頃。

この工事のせいで、何かと遅刻する人が続出したわけで、「工事のせいだよね。」「仕方ないよ。」とはよく言いあいますが、落ち着いて考えてみれば、工事がない通常時にも、普通に遅刻する人が多い街だった、というのは、モンペリエ人のご愛敬というところでしょうか。


0 件のコメント: