2008年5月8日木曜日

Groupe Vocal アメリカ演奏旅行 1

今年の二月、オペラjrの若者グループGroupe Vocalは、大それた計画「アメリカ演奏ツアー」を実現させ、私もピアニストとして同行してきました。中世から今日に至るまでのフランス人作曲家による作品を集めたプログラムで、フランスの若者がアメリカの若者にフランス音楽を紹介、広めるという目的をもった文化交流活動としての旅行です。そして財政難の中での無理を押し切っての実行。かなり直前まで実現可能か危ぶまれた計画だったので、前々からアメリカ行きを楽しみにしていて実現かなった若者たちはおおはしゃぎ。もちろん私も、アメリカ行きは初めてだったことと、行き先がジャズ発祥のニューオリンズだったことから、仕事として旅費をうけもってもらって行けるのならそれはラッキーと楽しみにしてましたが、同時にちょっぴり不安や不満材料もあって複雑な心境で出発。 2月15日から25日までの10日間の旅行の様子を日を追って報告します。

2月15日金曜日。朝10時のTGVでモンペリエを出発。電車の中の若者たちはまさに修学旅行ノリのおおはしゃぎ。トランプゲームしたり大笑いしたり。それもそのはず。彼らは14歳から25歳までの青春真っ盛りの集団。
私はというと、このとき深刻に風邪をひいていたため、電車の中でも一人コートにうずくまって風邪の菌と闘ってました。しかも実はこの旅行のための仕事の契約内容に不満があったことや(ちょっと強気になってきた?!)、スケジュールが超過密だったから、「これはえらいことになるぞ、、、」という心配もあって、ちょっとご機嫌もななめだったのです。これには世話係として同行のサビンヌも同じ。若者たちと違って、私たちは単純に修学旅行気分にはなれてなかったんです。

この日の問題は、飛行機は翌日でパリで前泊をするにもかかわらず、資金節約のために電車のチケットが安い朝に出発したため、一同パリで一日を過ごさなくてはいけなかったこと。しかもこの日のパリはめちゃくちゃ寒かった。夕食まで自由行動ということにしたけど、みんな寒くて結局時間をもてあましただけ。幸い私は友人ロランスに会いに、彼女の家にいってお茶したけど、やっぱり風邪は悪化する気配。
夜19時にパリ中心地のレ・アール周辺で再び集合。食事をしてからRERでシャルル・ド・ゴール空港駅まで移動。電車の中ではおなじみのアコーディオン弾きのお兄ちゃんがやってきて、Groupe Vocalの若者ののりのりで聞いてたら、最後は結局グループ最年長のジュリが歌いだし、アコーディオンのお兄ちゃんもびっくりして喜んで伴奏にまわりました。



空港駅に着いたら、ここからはホテルのお迎えバスがやってきえ、スムーズにお眠りだ!と誰もが思ってたのに、その迎えバスがいっこうにこない。寒さと疲れでみんなダウンしてるところに、さらにイライラが。1時間は待たされたと思います。
次の写真、この人だれ?「赤ずきんちゃん」ならず「黒ずきん?」って感じですが、こちらが我らのボス、ウラジミール。73歳にして、二十数名のグループをひきつれてアメリカに行こうというのだから、ただものじゃありません。そんなタフな彼もさすがに疲れとイライラでこのなんとも言えない表情。。。



このあと、やっとバスが来て、8人ずつわかれて3台のワゴン車に乗り込みホテルに移動。空港そばのホテルだと誰もが思っていたら、「どこまでいくの~?」状態で遠いのなんの。資金節約のためとは言ってもこれっていったい。。。しかもよくある格安ドライブインホテル。各部屋、設備も大きさも最小限のホテル。若者はまた新たにはしゃいでいたけど、私はもう風邪でダウン。私はサビンヌと同室で、風邪がうつっちゃうかを気にしながら眠る。彼女もこの大仕事初日で心身ともに疲れ果ててすっかりダウン。会話もほぼ交わさずおねむ直行。

翌日、ホテルで朝食をとってからまたワゴン車で出発。空港には8時過ぎには着いていないといけないということで早起き。それでも「いよいよアメリカ!」ということで、みんな元気。車も小さいのに8人ずつぎっしり乗り込む。こちら中央は、歌の先生として同行のイザベル。


年々厳しくなる空港のセキュリティ。海外旅行初心者もいたわけだし、みんな結構気にしてたけど、結局は集団旅行用の受付カウンターを通ったから、案外すんなりいった。ただし例外は私。フランス人グループといいながら、一人日本パスポートの人物がまざってたから、私だけはいろいろ質問攻めにあっちゃって、みんなが心配そうに見守ってた。まあ、私は外国人だから当然だけどね。


こちらはその容姿とキャラと素敵な歌声のアンバランスさで、誰からも好かれるポール・アントワーヌ。彼はモンペリを出て以来、とにかく電話でしゃべってる。これが彼女だったら話は別だけど、実は電話の主はお母さん。フランス語ではお母さんのことを「ママン」と言いますが、彼は電話口で「Oui, Mamann, Je t'aime aussi maman」とかもう日本人が聞くと驚くような仲睦まじいやりとりをしています。

それもそのはずですね。まだ高校生の息子が外国に初めて旅行に行くのだし、なんといっても彼のママは自分の息子の大ファンなわけです。幸い彼の方も「ママ、ママ」と言ってる感じではなく、ただ息子を想う母親の気持ちをくんで、きちんと電話に毎回出てる感じかな?この時も、ママとの長い別れの言葉でこれで電話を切るかと思ったら次はパパが出てきて、横で聞いていた私は大笑い。ごめん。でもかわいすぎるんだもん。もちろんパパとも「Je t'aime aussi」ですからね。やっぱり日仏文化は違いますね。

11時半のデルタ航空でアトランタに向けて出発。海外旅行初心者はいるわ、飛行機初体験者もいて、グループ内は大盛り上がり。写真中央のポール・アントワーヌは、飛行機がちょっと揺れるたびに、「うわっ。やっべえ~」の繰り返し。もともとジェット・コースター大好き人間の私はもちろん冷かし隊。




この日は前日の恐ろしい寒さとはうって変わって、太陽がでて青空の中出発。パリを離れて間もなくして海が見えてきました。さあこれから大西洋です。きれいな海岸線がフランスを離れる印ですね。


行きの飛行機では各席にスクリーンがついていて、ゲーム機能も満載。私は飛行機でゲームをしたことはなかったけど、どうやら乗客者同士で対戦とかできるようになってるようで、みんなすっかり夢中。

あの子もこの子もみんなゲーム。

こちらのセドリックは「あなたハワイに行くの?」って誰もが思う花飾りで搭乗するもんだから笑えた。




私はいつものように映画を見て時間を過ごしました。このときはエリザベス女王の映画をやっていて、見てみたかったから得した気分。パリ―アトランタを8時間半ほどで移動したのかな。無事アトランタ空港到着。グループ内の飛行機初心者達は着陸態勢にむけて緊張しまくりだったけど、無事に着陸したとたんみんなで拍手喝采。これには周囲の乗客もみんな笑ってましたね。なんだか私たちの一行は「超お上りさん軍団」みたいで微笑ましかったかも。

さて、みんなが心配してたのが入国管理カウンター。あのテロ以来、すごく厳しくなっていると聞いていたうえに、今回の旅行が演奏目的だというとややこしくなるから、あくまで米仏の文化交流のためだと説明しろと言われてたから、よけいにみんな気を引き締めて列に並んだ。しかもみんな英語力がチェックされるしね。私はソフトな係官にあたったみたいで、日本人だけどフランスに住んでるということで、「フランスでは何してるんですか?」と聞かれて思わず「ミュージシャンです」なんて答えたら、「ああ、いいですね~」なんて笑顔で一発OK。でも他にはしつこい係官にあたった子たちもいて、みんながそろうまでかなり待たされました。

ここでのナイスハプニングはポール・アントワーヌ。荷物をチェックする犬が、チャーミングなお姉さんとコンビを組んで仕事をしていたのだけど、この犬くんがポール・アントワーヌを怪しんで、離れなくなったんです。私たちがのんきそうな若者グループだから、係りのお姉さんもまあ彼が麻薬とかもってるとかは思わず、緊迫感はなかったのだけど、犬くんが主張するからお姉さんも「じゃあ、ちょっとだけ点検させてください。」といって取調開始。ポール・アントワーヌは一人何かまずいものを自分がもってたのかと思ってあせってましたが結果を見てみんな大笑い。実は彼のお母さんが彼を気遣い前日に持たせたリンゴが犯人だったんです。このオチには係りのお姉さんも微笑んで、「生の食べ物はだめなんですよ~。でも没収させてもらいすね」で一件落着。犬くんがしっかり仕事をしているからみんなで犬を称えてすっかり和みムード。この時、写真を撮りたかったけど、入国管理のエリアで禁止されてたから残念。

アトランタ空港はアメリカで一番乗り降りする旅行者の数が多い空港というだけあって、飛行機の数がはんぱじゃなかった。ここで乗り継ぎのために5時間待ち。現地時間16日土曜日の夜20時の便でニューオリンズに向けて夜のフライト。
写真中央のカミーユも飛行機初体験で緊張しまくってたけれど、目的地が近づいてきてリラックスし始めたところをパチリ。




いよいよニューオリンズ。
続きはまた次回。

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