2008年7月20日日曜日

音楽三昧 4

オペラに続いて私が行ったのは、17日木曜日の夜に行われたスペクタクル「Les Cahiers de Nijinsky」でした。ロシアバレエで一世を風靡したダンサー、ニジンスキーの日記に基づき、ジャン=ポール・スカルピタという人が演出した舞台です。登場するのは語り手である俳優、そしてニジンスキーの空想に出てくる男女のダンサー二人、そしてピアニストが舞台上のグランドピアノで演奏します。この4人だけによって行われる舞台。脚本とかが存在するわけではなく、ニジンスキーの日記から着想を得たスカルピタの想像力で組み立てられた舞台。

このスペクタクルが行われたのは街の中心地にあるLes Ursulinesという古い建物の中庭。現在この建物はダンスの世界では有名なモンペリエダンスというダンスのフェスティバルの本拠地として使われていて、内部にはスタジオや練習室があいます。でも実はここ、はるか昔は女受刑者の牢屋だったんです。そのせいもあって、外観はがっしりとしています。しかも私、4年前にはすぐとなりに住んでたんです。それなのに、当時は一回もこの建物内部に入ったことがありませんでした。
今回このスペクタクルを見に行ったわけは、まずこのスカルピタという人がする演出が好きだということ。そしてもう一つは、オペラjrの一員のクレモンティーヌがダンサー役に大抜擢されて出演するからです。彼女はこの夏をもってオペラjrを去り、パリに引っ越すことが決まっているので、これが最後と思って、彼女の晴れ舞台を見ることにしたわけです。
スカルピタはモンペリエオペラでも何度も演出を担当していて、いつも独創的で、照明や舞台セットが本当にきれいなんです。なんとオペラjrの来年の目玉企画は、この彼とする「ディドンとエネ」!スカルピタはこれまでにも「カルメン」や「火刑台のジャンヌ・ダルク」などでオペラjrの子供たちと共演してきているので慣れているし、彼自身がオペラjrの子供たちの大ファンなんです。いつもすごい気配りを子供たちにしていて、そんな意味からも共演はうまくいくこと間違いないし、彼がどんな舞台を作ってくれるのかすごく楽しみです。

スペクタクル開始は22時。私たちが会場に入る時はまだ明るかった空も、開演を待つと同時に暗くなっていき、22時にはこんな具合に。




薄暗いけど見えますか?舞台セットはなにもなく、ピアノがあるだけ。ここから照明と、布や煙といったものを使いながらとてもきれいな演出が行われるのです。
スペクタクル中、ドキッとするほどきれいなシーンとかあって写真が撮りたくてしかたがなかったけど、フラッシュなしでも写真は禁止だと言われたので残念。

さて、演出は「美しい」の一言に尽き、スカルピタという人のアイディア、発想のすべてに脱帽ですが、この舞台、いろいろな意味で、日本ではとても上演できるものではありませんでした。まあまずニジンスキーの日記の中身からして過激だし、そのテーマも過激なわけで、しかもフランス人演出家がフランスらしく演出したので、表現もドカーンと超一級のストレートというか過激というか、、、。途中で立ち去った観客もちらほらといました。

私個人的には、正直、微妙に余分なシーンもあったと思うけれど、でも一つの日記から、この何もない殺風景な舞台を使って、こんなに美しいスペクタクルができあがるというのが驚きで、すごいと思います。普段、「美しい」って言葉を日本語では使いませんが、フランス語で口から出るのは「C'est beau !」しかありえません。これを訳すと「美しい」なんだけど、ほかにもっとぴったりくる日本語はないかな。。。「きれい」というのもピンとこないし。。。言葉って不思議ですね。




火曜日と木曜日の二回公演だったので、この日が最終。舞台裏のクレモンティーヌに会いに行くと、俳優さんも演出家もいて、「すごくきれいでした。」って言って握手してきました。

とてもフランス的なスペクタクルの夜でした。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

食事をしながらの野外コンサートは最高ですね、日本だと5月か10月くらいかな.
(POALO)