一週間のイタリア旅行+プチ同窓会を満喫して帰ってきました。その報告の前に、今日は今フランスで一番のニュースについてちょっとお伝えしたいと思います。
私が留守している間に、フランスではめずらしい速報ニュースがかけめぐりました。それはIngrid Betancourtの解放。日本でもニュースで伝えられたんじゃないかと思うけれど、以前から日本では彼女のことはあまり詳細が伝えられていなかったような印象がありました。今回はどうだったのかな?
イングリッド・ベタンクールさんはコロンビアの政治家。両親ともに政治家で、彼女は2002年のコロンビア大統領選挙に出馬していたけれど、その選挙活動の最中、2月23日に過激ゲリラグループFARCに誘拐され、以来ずっとジャングルの奥で監禁捕虜生活を強いられていたのです。その彼女がついに先週の7月2日に開放されたのでした。捕らえられてから過ぎ去った日々は2321日!6年半近い年月の間、コロンビアのジャングルの奥で、ほとんど常時くさりにつながれていたそうです。彼女が解放されたという知らせを受けてから、報道関係もお祝いムード一色。連日彼女が家族と再会するシーンの映像があちこちで流されました。
日本ではあまり伝わっていないニュースだったけれど、フランスでは知らない人はいないというくらい、人々の注目と関心を集めていた事件でした。というのも、彼女の父親がユネスコの大使としてパリに派遣されたこともあって、彼女もフランス生活は長く、高等教育もフランスでおさめていて、フランスにゆかりのある人なんです。しかも後にフランス人男性と結婚したことによってフランス国籍も得ていたので、彼女はコロンビア―フランス人なわけです。政界に知人、友人も多く、彼女の解放を求める運動はフランスで積極的に行われていました。中でも中心となっていたのがイングリッド・ベタンクールの子供であるメラニエとロレンゾでした。ベタンクールは彼らの父親とは離婚していて、すでに別の人と再婚しているけれど、この子供達はフランス国籍をもち、母親が誘拐されてから積極的に母親の解放の支援を求める運動をしてきました。2002年と言えば、私がフランスに来た年。今日でこそメラニーは22歳、ロレンゾは19歳と立派に成長して大人の面持ちになっているけれど、当初はまだ中学生と高校生だった彼ら。私もフランスに来た当初は、テレビでこの二人や解放運動のニュースを見ても、全体像があまりつかめずにいました。それでも少しずつ事情がわかってきて、いつも気になっていたニュースでした。解放がまたれつつ時間は過ぎるばかりで、次第に彼女の健康や精神面の状態の限界が心配され、去年は「クリスマスに家族のもとに返して!」と、大がかりな訴え運動が行われました。その一環で11月末に流された映像は衝撃的でした。望遠レンズに望遠を重ねて撮ったような映像が流され、そこにはジャングルの奥で鎖につながれ、髪がのびっぱなしでやせほそったイングリッド・ベタンクールの姿が移ってたんです。そして「Elle est vivante !!」(彼女はまだ生きている!!)のメッセージ。それまでにもフランス軍が解放作戦を試みたり、交渉を行ってきたけど、残念ながらいずれも失敗に終わっていました。このころに日本ではどんな感じで報道されているのかな?と気になって見てみたけれど、詳細までは伝えられてない様子でした。
フランスのサルコジ大統領は公約の一つに彼女の解放を掲げていて、解放を求める運動を支援してきた人物の一人です。この度、彼女が解放された知らせを受けて、フランス政府専用機がコロンビアまで彼女の母親と子供たちを乗せて彼女を迎えに行き、パリに到着した飛行機にはサルコジ大統領と奥さんのカーラ・ブルーニがトラップしたまで出迎えるというもてなしをしました。このサルコジ氏の行動、態度(レジオン・ドヌールという勲章を与えることにした話など)には、反対意見もたくさんありますが、ともかく彼女が解放された知らせを受けて、きっとフランス中の人が「ああ、よかったね。」とホッとしていることだと思います。
彼女と一緒に数人の捕虜が解放されていますが、この解放はコロンビア国軍によるだまし作戦によって行われて、銃は一発も発砲されないまま無事に作戦が成功したそうです。
世の中には小説のような話、映画のような話ってあるけれど、映画以上の話もありますね。
フランスのサイトのあちこちに彼女の写真、この事件に関する特集記事が載っています。興味のある人はちょっと覗いてみてください。
http://news.fr.msn.com/monde/galerie.aspx?cp-documentid=8777281&imageindex=1
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