今回のコンサートのテーマは「Musique au feminin」。
文法の女性形のことをau femininといいますから、言葉遊びの入ったタイトルで、女性作曲家に焦点をあてたわけです。
場所はオペラ座の小ホールsalle Molièreで、火曜日が午後2時半で学校向け。水曜日は19時一般客で満員御礼。
去年、アメリカ演奏旅行をしたメンバーからかなりの入れ替えがあっての新メンバー。中にはアメリカ人、ニュージーランド人も交えて、インターナショナルになってきました(笑)。グループの年齢制限上16歳から25歳ですが、現メンバーはほとんどが16歳から21歳、まだまだ若い。グループとしてまだまとまりもなく、安定してない状態でのコンサートだったので、どうなることやらと思いましたが、まあやるしかなかったし、本番はライブの本領発揮で、若者のエネルギーが噴き出た感じでした。ちょっとアクシデントもありましたが、これも「生」ならではのもの。
今日は本番の録音の抜粋も加えて、プログラムを紹介したいと思います。といってもこの録音、きちんとしたマイクで正式に録音したものではなく、私がピアノの片隅でこっそり(?)とったものなので、ピアノがキンキン聞こえるわ、質はよくないのであしからず、、、。1.「L'eau vive」 Claude ARRIEU (1903-1990)
まずは混声4部合唱のアカペラ曲で始まりました。きらきらとした水がテーマで、とっても爽やかな曲です。
2.「Madorigal」 Mel BONIS (1858-1937)
続いてソロパートと女声2部のコーラス。
3. 「L'oiseau bleu」
同じ作曲家による女声デュオ。「青い鳥」です。
4. Trois Rondeaux de Clément Marot
プログラム1曲目のL'eau viveと同じ作曲家による、女声3部のアカペラ3曲からなる小組曲です。ちゃめっけのある作品で、私はとても気に入りました。早口言葉のような歌詞とテンポに加え、ハーモニーも半端じゃありません。
- 「aux damoyselles paresseuses d'ecrire à leur amys」友達にこまめに手紙を書かない筆不精なお嬢さん。
-de trois couleurs, gris, tanné et noir
-Rondeau du guay
このあとウラジミールによる女性詩人の紹介、言葉遊びの説明などをはさんでから現代作曲家へと移行しました。
5.「La société」 Isabelle ABOULKER (1938- )
もともとはソロ用の曲ですが、男の子全員で歌いました。歌詞は、「社会は二つにグループでできている。一つは食欲よりもディナーの方がたくさんある者たち。そして一方は、ディナーよりも食欲の方がある者たち。」シンプルでかつシビアな内容ですね。拍子のない楽譜なので、最初は苦労した彼らだけど、覚えてしまえば楽でしたね。
6.「la plus perdue de toutes les journées」
同じ作曲家による曲です。
ちなみにですが、いつもオペラjrではプログラムは全曲暗譜で歌うことにしています。
7.「Misogynie」
「女嫌い」さらには「女性蔑視」を意味する「misogynie」。もちろんおふざけを意図して作られた曲ですが、歌詞もかなりきわどく、本当にこれをコンサートで歌うか?とちょっと迷ったけれど、歌詞も女性である作曲家が書いたものだしOKでしょう、ということでエントリー。やっぱり歌詞が観客に受けて、もりあがりました。
興味をもった方のために、ちょっぴり歌詞を、、、。
Les castelognes, les houppes, les plumes et les étoupes, les oreillers de velours, les heures et les mitaines, les peaux de voutours, les laines sont bien plus fermes que vous !Une chienne, une tigresse, une chatte, une singesse, la femelle entre les loups, un maquereau passé maître, les novices hors du cloître, sont bien plus chastes que vous !
etc.
あえて日本語訳は省略。。。
8.「Horloge, tais-toi !」 Kaija Saariaho(1952- )
続いては、本格的現代作品。フィンランド人で、早くからパリで活躍をするカイジャ・サアリアホの「Horloge, tais-toi !」(時計、だまれ!)という曲です。カラン、コロン、のように聞こえる音は、楽譜に書かれた指示で、舌をつかって「A」と「O」の母音をならしているんです。
9.「Hymme au soleil」 Lili Boulanger (1893-1918)
24歳で亡くなってしまったリリー・ブーランジェの作品。女声ソロつきの混成四部合唱です。太陽への讃歌なので、迫力あるエネルギッシュな曲。抜粋は曲の中間部分です。10.「Reflets」
こちらもリリー・ブーランジェの作品。歌っているのは15歳の女の子です。彼女は2月公演予定のパーセル「ディドとエネ」で主役をします。15歳でこの声は驚きでしょう?
11. 「Tota pulchra es」 Maurice DURUFLÉ (1902-1986)
ここで唯一の例外として、男性作曲家の作品を入れました。聖母マリアの美しさを歌う曲なので、女性の美しさを讃えるということで、、、?
12.「sonohitoga utautoki」 つまり、「そのひとがうたうとき」です。
木下牧子さん作曲。今回のプログラムでは唯一の外国語曲となりました。それが日本語だとは、彼らにとってはつらいですよね。私がアルファベット表記をして、なんとか発音にはこぎつけれますが、西洋人にとってちんぷんかんぷんの言語で歌うというのはあまりないこと。よくこれを暗譜したもんだと思います。ちょっと音楽的にもボーカル的にも完成度がいまいちだし、多少発音が変でも、ちょっとうれしくないですか?フランス人が私たちの言葉で歌っているのを聞くと。以上が今回のコンサート「Musique au feminin」のプログラムでした。
さて、音の画面に映っているのは今回のコンサートのポスターなんです。この女性の目、メイク、そして扇のような楽譜。完全にアジアティック(東洋的)ですよね。なんで今回このデザインなのかは知りませんが、インパクトのあるポスターでした。

世間で知られていない作曲家や作品を紹介するのは、したくてもなかなか実行するのは難しいもの。そのためプログラム選びはとても大事。今回のプログラムでは、フランス語の歌にかたよってしまったことだけが私的には残念だけど、とても有意義な内容だったのではないかと思います。
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