私はいつものように、お昼までサン・ジョルジュ・ドルク St. Georges d'Orques でピアノのレッスンをしていました。
すると何やら外が騒がしくなってきて、街のあちこちにバリケードがはりめぐらされ、私が仕事をしている古い家の門も外から勝手に閉められて、さらには道路にバリケードがはられました。びっくりした私は生徒と一緒に下に降りて行って、バリケードをはっているムッシューたちに尋ねました。
「あの~。私たち中にいるんですけど。。。私14時までここで仕事してるんですけど。。。」と。
そしたらムッシュー達は「le taureau が来るんだよ!数分で終わるから!」といたずらっぽく笑う。
le taureau とは牡牛のこと。
牡牛と言えば、白い馬とならんで南フランスの風景特有の動物です。特に白い馬はカマルグの馬。モンペリエとマルセイユの間の海岸線のエリアは、大湿地帯で、特殊な自然環境が整っています。フランスで唯一お米を作っている土地でもあり、塩の名産地でもあり、自然保有地区に指定されています。カマルグ地方では、白い馬にまたがって牡牛の群れを管理する、カーボーイ風の人たちの革靴や革の帽子が特産品として有名です。
で、土着文化というか、今でもCours camarguaise といって、群れから隔離された一頭の牡牛を、数頭の白い馬で囲みながら一緒に走り、アレーナ(闘牛場)まで誘導したり、人が牡牛を追いかけて、牡牛のしっぽ(確かしっぽ)にくくりつけられたリボンをとったら勝ち!みたいなレースが行われています。
そんなことは知っていたけど、あくまでもカマルグでの話だと思っていました。
しかしここ、サン・ジョルジュでも「牡牛?」
何がおきるのかと思ってレッスンもよそに気をとられていると、外で空砲が鳴り響き、まもなく歓声が聞こえてきました。
で、私も生徒といっしょに窓辺によって外をみると、、、
いきなりこんな景色がおがめたのです。
サン・ジョルジュ・ドルクというのは、村の中心地にこそ古い集落跡のような昔ながらの家がならんでいますが、あたり一遍は普通の住宅地。大きな家がならんでいる、中級階層以上のフランス人が住んでいるところの典型的な村なんです。この路地だって、普通に車がとおる通りなんですよ。
それがこの白い馬と牡牛の出現とともに、農民的な土着的な、昔ながらの農業大国フランスを目の当たりにさせられたから私は目からウロコ。。。
いつの時代のどこにいるのやら。。。
昔からの文化、風習をこうやってお祭りとして守るのはいいことだけど、日常空間に突然ふってわいたようなこのささやかなお祭りは、インパクト大でした。
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