2009年7月28日火曜日

Des tubes... rien que des tubes

ラジオフランスのフェスティバルのレポートが続いています。

24日金曜日の夜には、22時からモンペリエの新市街地アンチゴーンにある半円形の芝生の広場「Place de l'Europe」でモンペリエ・オーケストラによるコンサートが行われました。
夜の野外コンサート、しかも無料です。

ここはギリシャ建築を意識した建物で統一されている地域で、この広場をギリシャの石造りの建物を思わせるきれいなマンションが囲んでいます。外観からではとてもマンションには思えない建物。
この広場の先には川が流れていて、川沿いにレストランが何件かあります。
その手間に設けられた大きな特設ステージが舞台。フルオーケストラがのるステージですから大きいものです。そして広場の芝生一面に音楽好きの市民が座って、星のしたでのクラシック野外コンサートを楽しみました。

22時ぎりぎりに会場に向かった私ですが、たくさんの人が会場に向かっていることに気が付き、やっぱりみんな音楽が好きなんだなとわかりました。
そして会場についたらびっくり。思っていた以上のたくさんの人が芝生一面を覆っていたのですから。




おかげでステージはご覧のように遠く。。。

でも老若男女問わずに集まった人々をみていると私もうれしくなりました。


この日、モンペリエ・オーケストラを指揮するのはアラン・アルティノグル Alain Altinoglu 。モンペリエ・オーケストラの首席客演指揮者です。私も一緒に仕事をしたことが何度かありますが、彼は33歳。ちょっぴりちっちゃくて黒いウェーブのかかった髪がトレードマークのかわいい人です。「僕、アラン。」とでもいいそうなキュートな人で、とてもフレンドリーだし、男性女性を問わず、皆から好かれる人ですが、その年齢にして、そのキャリアはすでにすごい人。また改めて彼のことを記事にしたいと思います。

彼の指揮と曲紹介をもって、ソプラノ歌手とテノール歌手も招いての超有名曲オンパレードのプログラムでした。

コンサートのタイトルは「 des tubes... rien que des tubes」。 つまり「ヒット曲。ヒット曲ばっかり」です。
入場無料の星空の下でのコンサートですから、対象は「一般市民」なのです。その一般市民にクラシック音楽に触れてもらおう、クラシック音楽を楽しんでもらおうという意志と目的がはっきりした行いです。




オペラからはビゼーの「カルメン」、プッチーニの「ラ・ボエーム」、ヴェルディの「椿姫」、オーケストラ曲からはヨハン・シュトラウスの「ラデツキー行進曲」、チャイコフスキーの「眠れる森の美女」、ハチャトリアンの「剣の舞」といった誰もが耳にしたことがある曲が続きました。

微笑ましいことに、お客さんは知っている曲が流れだすとメロディーを口ずさんだりします。



それからなかなかいい選曲だなと思ったのには、カタラーニのオペラやショスタコヴィッチによる曲がオリジナルの「tea for two」など。みんな作曲家や曲名は知らないけど、映画の中で使われたりしていて耳にしたことがある曲を演奏してくれました。

はっきり言って私にとったら「有名曲過ぎてベタベタすぎるんじゃないの?」と思ってしまいそうなプログラムでしたが、一般市民のためのコンサートということで、周りにいるお客さんの反応をみていたら、みんなが本当に楽しんでいるのがわかり、本当に私もうれしくなりました。そして彼らが普段はクラシックのコンサートには足を運んでいない人たちであることも見てとれて、お決まり中のお決まりのような有名曲なわけですが、それぞれの曲が流れだすと、誰かれともなく「あ~、これ知ってる!」といった反応で、体を揺らしたりメロディーを口ずさんだりしていました。

一般市民はこういうのを待っているんですね。みんなやっぱり音楽が好きなんだ。

なんらかの形でこの日にこういうコンサートがあるという情報を得た人が皆集まってきていたという感じです。

5000人は軽く集まっていたんじゃないでしょうか。

こういうことを計画するアイディアをもち、実行するフェスティバルのディレクター、ルネ・クリング氏はやっぱりすごいと思います。

指揮者のアランもお客さんに言っていましたが、ナショナルオーケストラがこういう形で野外で無料コンサートをするのはとてもめずらしいことです。でも同時にミュージシャンの側にとっても、普段コンサートホールやオペラ座に足を運ばない人とも音楽を共有したいという願いがあるので、こういう形でこのコンサートが実現するのがうれしいといっていました。

On a la chance ! 私たちはついている!の言葉どおり。

そして私からみて本当の意味でのラッキーぶりは、ここモンペリエでは雨天の心配をせずに、この季節に毎晩のように野外コンサートができているということ。実際に、ジャズのコンサートにしろ、この人のコンサートにしろ、「雨天の場合は、、、、」といったことは一切予定されていません。もし最悪雨が降ってしまった場合には中止ということになるのでしょうが、ほとんど雨のために中止になったということを聞いたことはありません。

ラッキーですね。モンペリエ市民。

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