
2週間にわたって、クラシックの国際的大物ミュージシャンによるコンサートを中心に、若手演奏家のコンサートやジャズのコンサート、さらにはレゲエやテクノ、民族音楽などの無料コンサートがあちこちで行われます。
サイトはこちら。 http://www.festivalradiofrancemontpellier.com/index.php
南仏の一地方都市にすぎないモンペリエでこの大規模なフェステイバルが1985年に創設されたのは、ひとえにルネ・クリングRené Koering氏とジョルジュ・フレッシュGeorges Frêche氏の力のおかげ。クリング氏というのは、現在、モンペリエのオーケストラとオペラ座の音楽総監督を務め、私たちが王様、または帝王と呼ぶ人ですが、この人、ただ単に権力があるというのではなくて、それなりにすごい経験と実績がある人なのです。
彼は作曲家ですが、1974年からラジオフランスの音楽専門チャンネルFrance Music フランス・ミュージックのプロデューサを務め、1981年にはこのチャンネルのディレクターとなりました。
そんななかでモンペリエの超超大物社会党政治家であるジョルジュ・フレッシュ氏とタイアップするきっかげが生まれ、1985年にフェスティバルが誕生しました。
このジョルジュ・フレッシュという人がまたすごい人で、賛否の論議はともかく、モンペリエという街が発展できたのはこの人のおかげです。社会党の大物でありながら地方政治にすべてをささげた感じの人。1977年から2004年までの27年間にもわたって、モンペリエの市長を務め、現在はラングドッグ・ルシオン地方のトップの座におさまっています。この人の場合、王様とか帝王という範囲を超えて、「モンペリエのルイ14世」なんて陰で呼ばれています。
この二人のタイアップのおかげで、フェスティバルとモンペリエ、そしてモンペリエの音楽界は共に急成長をしました。クリング氏は1990年にモンペリエのオーケストラのディレクターになって、彼の力のおかげでこのオーケストラはナショナル(国立)のタイトルをかかげることができるようになりました。2001年からはクリング氏はオペラ座のディレクターも兼任するようになり、オペラ座もナショナルの称号を得ているのはいうまでもありません。彼のラジオフランスでのポストもさらに上がり、1チャンネルのディレクターから、ラジオフランス全体の音楽ディレクターとなられました。
そんな背景もあって、彼個人が持つアーティスト・ネットワークはすごいものです。指揮者、ピアニスト、ヴァイオリニスト、歌手、オーケストラ、何に関したって世界中の一流アーティストと個人的にコンタクトがあるわけです。そのおかげで、このフェスティバルでは立ち上げ当初から贅沢な顔ぶれがそろうことになったのです。
フェスティバルが始まったのが1985年。モンペリエは少しずつ成長をとげ、1995年から2005年の間の10年間で人口は爆発的に急増。モンペリエの街にトラムなどが開通し、TGVがパリから3時間で乗り入れるようになったことも全部ジョルジュ・フレッシュのおかげ。さらには、CORUMやシャトー・ドーなどのたくさんの充実したコンサートホール施設が建設されたのも、クリング氏とフレッシュ氏二人のおかげ。
あっぱれですね。
ラジオフランスと言うのはパリに本部がある元公共ラジオ放送局(今では半民半官状態といえるのかな?)で、主なラジオチャンネルだけで7つあり、二つのオーケストラ Orchestre national de France(フランス国立管弦楽団)とOrchestre philharmonique de radio france(フランス放送フィルハーモニー管弦楽団)をかかえていて、合唱団Le Choeur de radio france、さらには児童合唱団の学校la maîtrise de radio franceまであります。まさにフランスの音楽界をリードする大きな組織なのです。
私は家ではラジオを聴く習慣がありませんが、フランス人は結構聞いています。ニュースなんかはラジオで聞いている人がかなり多いくらい。知識人を招いての討論形式の番組とかもかなり根強い人気があります。私がラジオを聴くのは車を運転するとき。そしてその時は必ずラジオフランスのチャンネルの一つであるFIPを聞いています。ジャズとクラシックを中心にいろんな音楽が聞けて、しかも無駄なDJのおしゃべりがないのです。ほんとにお気に入りのラジオ局。フランスに住んでる人、おススメですよ!
ラジオフランスのサイトはこちら http://www.radiofrance.fr/
今年のフェスティバルのサイトでは、王様クリング氏自らが合成映像の中、プログラムの紹介をしています。さらに今年の目玉作品「C'était Marie-Antoinette」企画・演出したジャン=ポール・スカルピタ氏も、この作品の紹介をしています。
実は、まもなく70歳を迎えるクリング氏は2年後に引退することを決め、2ヶ月前に自分の後継者にスカルピタ氏を選んだということを公式に発表しました。ですからこのページでは新旧二人のディレクターがしゃべっているのでおもしろいかも。
http://www.festivalradiofrancemontpellier.com/2009/videos-festival.php
またギャラリーフォト Galerie Photos をクリックすると、25年間の軌跡が写真で見れるようになっています。たくさんの大物演奏家が参加してきたことがよくわかりますが、1985年にはタンゴの王様ピアソラが来てたことがわかり私もびっくり。25年という時間の歴史を感じますね。
http://www.festivalradiofrancemontpellier.com/2009/galerie-1985-2008.php
この2週間にわたるフェスティバルのために、ラジオフランスのチームがまるごとモンペリエにやってきて、すべてのコンサートをラジオで放送します。中には中継生放送もあります。
毎日あちらこちらで何かしらしているので、舞台裏は大変。CORUMだけでも大ホールSalle Berlioz と 中ホールSalle Pasteur、そして講演会や映画上映をする Salle Einstein があり、リハーサル室などを含め、複数の場所で練習、ゲネプロ(最終通しけいこ)、本番が同時に行われます。ここにさらに Chateau d'O なんかの野外コンサート施設や広場でのコンサートなんかもあるわけですから、動員しているスタッフの数はかなりのもの。ラジオフランスのチームとモンペリエのCORUMなどのチーム、そして臨時のスタッフが総動員で運営しています。
ハイレベルのコンサートが家の近くでたくさん行われるわけだから、私も仕事の合間をぬって、熱心にコンサート通いをしようと思います。
これから二週間の間、フェスティバルのレポートをお楽しみに。
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