今から3週間前のこと。
オペラjrで一日中、4月頭に公演予定のメノッティのオペラ「アマルと夜の訪問者たち」(Amahl and the nignt visitors)に向けての集中練習に参加していた私は、18時に仕事が終わってから携帯電話の電源を入れました。
するとそこにはモンペリエ・オーケストラのマネージャーさんからの留守録メッセージが残っていました。
留守録の時刻は14時。
彼は「3月頭のコンサートでチェレスタ奏者が必要なんですが、あなた興味ありますか?招待ということで我々がお迎えするカタルーニャ・オーケストラの演奏なんですが、チェレスタのパッセージがあるんです。興味あったらどうぞ至急お電話ください。詳しい説明をしますから。」と言って、携帯電話の番号まで残してくれてました。
みなさんはチェレスタって何か知ってますか?
見た目は小さなアップライトピアノもしくはオルガンみたいな形をしている鍵盤楽器なんですが、オルゴールのような音がする楽器です。たまにオーケストラの作品で使用される楽器。
私はもちろん!今までに弾いたことがありません。(笑)
これは初めてチェレスタを弾く機会=コンサートで弾く機会=オーケストラに混ざって弾く機会!
これはまた大きな話がきたもんです。
それにしても3月頭のカタルーニャ・オーケストラのコンサートって何か聞き覚えが、、、、。
そうです。イギリス人指揮者ベンジャミンくんが指揮するコンサートではないですか。
去年のラジオフランスのフェスティバルに続いて、彼にとって二回目のモンペリエでのコンサートに関わる仕事の話がくるというのも何かのご縁。
このメッセージを聞いたとき、私は仕事を終えて仲間とカフェで一杯飲んでいました。
すかさず自分のスケジュールを確認すると、3月頭は連日オペラjrとの仕事が入ってる。
でも、チェレスタを演奏する機会!オーケストラに入って演奏する機会!しかもあのベンジャミンのコンサート。はっきり言ってやるべき理由がそろってる。
そこで、目の前にいたヴァレリーにお伺いをたてました。
「あのね、3月頭の金曜日、土曜日あたり、ちょっと不参加さえてもらってもいい?」
するとヴァレリーは、「え、leonardo どこ行くの?どっか行くの?」と尋ねられて事情を説明。
私のオペラjrとの契約内容はちょっと特殊なもの。私は一応彼らのベースとなるスケジュールには沿って参加することにはなってるんですが、同時に後から足されたり加わったりする日時がいっぱいあって、そのたびに私はオペラjrのためにスケジュールを調整する。そのため、私はちょっとお互いさまのつもりで臨時でやってみたい仕事の話が入ると、ヴァレリーたちの了解を得てからその仕事を引き受けるという方法でやってきていました。
「オーケストラでチェレスタを弾く。」という話にヴァレリーはとっても理解を示してくれて、「誰もがねらってるような仕事なんだから、やるべきよ!」とまで言ってくれました。
やっぱりそういう仕事に声をかけてもらえるということだけでもラッキーで貴重なこと。
私自身は、毎回オペラjrのスケジュールとの兼ね合いに頭を悩まし、あまりよそで仕事たくさんしてもひんしゅくを買うだろうし、、、と、臨時で仕事の話が来るたびに、ヴァレリーにお伺いするか、もう今回はやめとくか、、、と迷うものでした。
でも、この日のヴァレリーのはっきりした後押しにすっきりして、早速オーケストラのマネージャーさんの携帯に電話をしました。
この時18時半。
私が「leonardo です。さっきのメッセージ聴いて電話させてもらいました。チェレスタの話で、、、。」と言いだすと、彼は「あ~、ごめんなさい!実はね、我々すごく急いでいたものだから、次の人に電話してOKとのことだったから、もうその人に決まってしまいました。」と言う。
「え==!!ほんとですか?!もう後遅しなんですね?!ああ残念!」とついつい本音で叫んでしまいました。
すると彼は「でもね、実は正直言ってあなたに電話するか迷ったんですよ。だってあなたかなり忙しくしてるでしょう。特にオペラjrと。どんなリズムで仕事されてるんですか?」と聞かれてしまいました。「特にオペラjrは金曜日とかでしょう?我々のコンサートはたいてい金曜の夜ですからね。」と。
確かに。
最近、コンサートの譜めくりの仕事とか何度か頼まれたけど、全部「仕事で空いてません。」と返事をしてしまってました。
彼もすでによく把握してらっしゃる。。。
しかし!今回の話はスケジュール調整をする覚悟でチェレスタは弾きたかった!
そこで私は彼に説明をしました。「自分に興味のあるお話をいただいたときには、音楽学校の仕事は自分でなんとか調整しますし、オペラjrにはお伺いをたてて了承を得たらするようにしてるんです。私はフルタイムの契約というわけではないですし、たいてい彼らも理解を示してくれるし、、、。もちろんコンサートとかスペクタクルの直前とかだったら、私もお伺いすらたてませんけど。」と。
そしたら彼は「あ~、そうやって時々は身柄を自由にさせてもらえるのだったらいいですね!これからは迷わずにあなたに電話します。」と言ってくれたのです。
オペラ座のスタッフとはもう気心が知れた仲になってますが、オーケストラの事務とはまだつきあいも浅く、仕事上のやりとりが始まったばかりの関係。そんななか、今回彼にこうやって自分の状況を説明できたのはいい機会でした。
ただただ逃した話が今回はとっても残念!!
思わず指揮者ベンジャミンくんにも「ちょっと聞いてよ~~~!」とメールしてしまいました。
彼も「うそ~!なんて残念な話だ!」とびっくり。
14時のメッセージに18時半にかけなおしたのが遅すぎたんです!
ということは、今後、携帯電話を切らずにピアノの袖において仕事をするか?!
ああ。悔やまれるできごとでした。
まあ、確かに彼らがチェレスタ奏者を見つけるのに急いでいたというのももっとも。コンサートまで2週間ちょっとだったわけですから。
今回のことでこういう仕事はやりたがってる人は山ほどいるという現実が改めて見え、自分の中での優先順位のつけかたにちょっと方向が見えてきました。
やっぱり人生、いつもどこでも選択をしなくてはいけないもんですよね。
あれもこれもとかかえこんでいては結局いつかはラチがあかなくなってくる。
今後の仕事の仕方、仕事の選択、スケジュールの調整方法に悩む中、自分のスタンスははっきりとさせていかないとな~と学んだのでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿