2010年7月19日月曜日

ラジオ生出演

私には日本ではしたことがなくてフランスで初めて体験したことがけっこうあります。

今回のラジオ番組生出演生演奏もそうでした。

これはラジオフランスのフェスティバルの一環でのことなのですが、今年のフェスティバルのプログラムを紹介する番組に、オペラjrの若者グループ Le Groupe Vocal とともに出演してきたのです。と言っても、私はピアノ伴奏をしただけですけどね。

フランス最大のラジオ局、Radio Franceにはいくつもチャンネルがあるわけですが、フェスティバルのプログラムの大半をどれかのチャンネルで中継生放送、もしくは録音放送を行っています。

フェスティバル一週目の今週は、クラシック音楽を主に扱っているチャンネルFrance Musique がLe magazine de l'été de France Musique と題した番組をもうけて、火曜日から土曜日の5日間、毎日18時から、モンペリエの美術館 Musée Fabreにて、フェスティバルに登場するミュージシャンを招いて、トークと演奏を交えた番組を放送したのです。

その第一日目である7月13日火曜日に招かれたのが、チェロとコラという民族楽器によるユニークなドゥオ Sissoko&Segalというグループ、オペラ「Andromaque」の演出家と音楽学者、ピアニストGiulio Biddau氏、そして14日の水曜日に本番のバーナード・ハーマンのオペラのコンサートバージョンに出演する指揮者アラン・アルティノグル氏(Alain Altinoglu)と歌手二人、そして同じくそのオペラの中で唯一の合唱パートで出演するオペラjrのLe Groupe Vocal だったのです。

番組は18時から20時の二時間の生放送。
公開生放送なのでお客さんも聞きにこれます。しかも無料。

アーティストはみんな勢ぞろいするわけではなくて、前もって割り当てられた時間帯に来て、美術館の中庭にセットされた特設ブースのステージに上がって、トークと演奏をするのです。

会場はこんな雰囲気。



真ん中の木がとっても邪魔ですが、ラジオ放送なのでまあよしとしましょう。

Le Groupe Vocal は19時すぎに登場。
6月のコンサートで歌ったチェコの作曲家マルティヌの曲を演奏しました。
民謡に根差した音楽なだけあって拍子は常に変化するくせものの曲ばかり。いつもは原語で歌うのが原則のオペラjrですが、今年の6月はいろいろとあって時間が足りなかったことから、チェコ語で歌のは断念して英語で歌いました。

まずはアカペラ4声の5曲だったので私はお気楽。




続いてソリストと私で4曲演奏。
とっても短くて素朴な唄ばかりなのですが、拍子・リズム的にも難しい曲。
私はソリストたちが、ラジオ生放送ということでもっと緊張したりするのかな、と思ってましたが、さすがはフランス人。そういうところは強いですね。あっぱれ。みんなとてものびのびと歌えました。

最後は全員とピアノで4曲。
この作品はもともとピアノとヴァイオリンによる伴奏なのですが、いろいろな都合からコンサートでもヴァイオリニストなしで演奏しました。私が勝手にピアノパートとヴァイオリンパートをまぜて適当アレンジをしていたのです。
この「適当」というのが本当の話で、6月のコンサートですら、私は厳密に自分が何を弾くかはっきりと決めないままに本番を迎えてしまっていました。変拍子であちこちとびかうヴァイオリンのパートを適当に取り入れていたわけですが、このラジオ出演の前日になって、ようやく私も重い腰をあげ、「それなりに自分が弾く音ぐらいきちんと決めておかないと、、、、。」と楽譜をじっくり眺めたわけです。
もうかれこれ数年、モンペリエで演奏するとき、もうまるで緊張することがなくなっている私ですが、リラックスはよしとしても、全国生放送ですしね、やっぱりきちんとしておかないと、、、と思ったのです。
無事に終わってやれやれでしたけど。

さて、トークと演奏を交えた公開生放送ということだけあって、Le Groupe Vocal もしっかりとインタビューを受けました。

まずは合唱指揮のヴァレリー。
いつも華やかな彼女は、インタビューにも上手に応えていました。




そして若者たち。
リハーサルの時に「誰にインタビューしたらいいですか?」とアナウンサーに聞かれた時には、「私は嫌だ。」とかはっきりと拒否した子たちもいたのですが、結局前もって選ばれていた2人プラスアナウンサーがフェイントで指名した1人の計3人がインタビューを受けました。
彼らがリハーサルで「受ける質問は前もって教えてもらえるものなんですか?」と質問して、「いや、前もって教えませんよ。」と言われていたように、インタビューは完全生なわけです。
そのわりにはみんな自然体で上手に応えていたなあと思います。こんなところもさすがフランス人。変に声が高くなるとかかっこつけるとか、まるでないんですよね。彼らには。笑いもまじえながら和やかなインタビュータイムでした。




アナウンサーも、こうして普通の若者たちをゲストとして招くのはめずらしいことなので楽しく感じてたみたいで、時間を気にせず結構おしゃべりが続いていました。

その横で、実は次の出演のためにスタンバイしていたのがピアニスト。
彼は結構ピリピリとシリアスな雰囲気だったので、私もさっさとイスから立ち上がって彼にピアノをゆずりましたが、、、。




ちょっとイライラしてましたね、彼は。(笑)

キューが出たらすぐさま演奏するわけですから、、、。

ま、こんな感じで楽しくラジオ生放送出演が終わりました。

テクノロジーはすごいなあと改めて思ったのが、今回の放送はインターネット上でも生で聞けたということです。そのおかげで私の両親は日本にいながらにして、同時生放送を聞けたようです。私はインタビューを受けませんでしたけど、私の名前を2回ほど呼んで紹介してもらい、フランス流の発音がウケたようでした。

生で聴けたのはもちろん、さらに1ヶ月の間はサイト上で自由に番組が繰り返し聞けるようになっています。

おかげで私も放送を家に帰ってからすぐに聞けたのですが、ちょっと不満に残ったのが音響の処理の仕方。

私たちにとっては野外のステージでの演奏で、スピーカーから音が聞こえてくるわけでもなく、あたり一面にマイクはありましたが、リハーサル中に音のチェックなんて気にもしてなかった私たち。でも音響がなんだか特殊で変だね、、、なんて思ってたんです。

それが放送を聞いて納得。かなりのエコーやらなんやらがかかっていたんですね。だから私のピアノなんてなんだか別のところで弾いている電気ピアノみたいな感じで、みんなはカラオケで歌ってるみたいな印象を受けました。私は若者の自然な声が好きなので、このエコーはちょっと残念でした。。。ま、天下のラジオフランスに文句言っても仕方がないですが。

ともあれ、興味のある方はFrance Musiqueのこちらのサイトから聞いてみてください。le mardi 13 juillet の番組です。1時間18分くらい経過したころに私たちが登場します。

http://sites.radiofrance.fr/francemusique/em/magazine-des-festivals/emission.php?e_id=80000047&d_id=410001364&arch=1

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