明日は38度まで気温が上がるとか言ってる。。。
さて、もう7月も一週間が過ぎてしまいました。
毎年恒例のラジオフランスのフェスティバルの話題に入る前に、少しでもたまっている記事をアップしておけたらなあと思っています。
もう2カ月も前の話ですが、優れた演劇の舞台作品や出演俳優に贈られるMolière モリエールという賞の話をしていたのを覚えていますか?その中のカテゴリーで子供や若者を対象とした作品を「Jeune Public」と言うのですが、私はそのセレモニーに参加したのでした。
セレモニーに前日に会場へ足を運び、ホスト役のディレクターさんたちと顔合わせをしたときのことはお伝えしたので、今日はセレモニー当日の様子です。
前日には普段通りの姿だった会場が、当日の夕方にはいろいろと飾りが施されて、小さな劇場ながらもセレモニームードが高まっていました。中でも「おお!」と思ったのが赤いカーペット!
別に誰がここを歩いてどうのこうのというわけではないけれど、一応正門から正面玄関まで、赤いカーペットがしかれていたんです。
ホール内部に入ってみると、今度はこの季節の花である「ココリコ」で飾られていました。フランスでは春になるとどこでも見かけることができる赤いシンプルなかわいい花ココリコ。これはケシの花なんですね。私は日本で見たことがありませんでしたが、こっちにきてからのお気に入りの花の一つです。
白いブランコにも、黒いピアノにも、意外と赤いココリコが似合っていて、シンプルでささやかながら、まずまずのデコレーションかなと思いました。
ホールに内には何やら関係者の方たちがいて、みなさん大事な役職や役目がある人っぽいですけど、こっちからいちいちと「どなたですか?」とも聞けず、「こんにちは~、私、今日のセレモニーでピアノを弾く者です。。。」と自己紹介させてもらい、みなさんが温かく迎え入れてくれました。
どうやらマグロンの市長さんや、パリからやってきたモリエールの組織のえらいさん、そしてスペシャルゲストの俳優さんたちのようでした。
みなさんはセレモニーを目前に控えて大事な打ち合わせを続行中。
それをわきめに私は今更ピアノを触ったところでどうにかなるものでもないし、、、というタイプなので、ひたすら観光者ぶっていました。
そしてテーブルの上に置かれた金色に光るものに注目した私。
皆が準備にせわしく走り回っている中、一人カメラを手にして舞台に上がって至近距離から撮影。
そうです。これがモリエールのトロフィーです。
ハリウッドのアカデミー賞ならオスカーのトロフィーといったところですよ。
もちろん、サイズはどのカテゴリーにも同じものですから、これまでにフランス演劇界を代表するそうそうたるメンバーがこのトロフィーをもらってきたのか~、と感慨深く、まじまじと見ていました。
入賞作品を紹介する子供代表や、ブランコにのって揺られるおちびちゃんたちも、最終チェック。
そんなこんなで、セレモニー開始の15分間になりました。
言われていた通り、私がスタンバイすると舞台のカーテンが閉じられ、お客さんたちの入場開始。そして私のピアノ演奏開始。
セレモニーに開始までの15分間くらいと言っていた演奏時間ですが、遅れてくる人がいるのはいつものことで、誰ももうすぐ終わりと言いに来てくれないから、私は一人ひたすらと用意してきた曲を弾き続けていました。
軽く倍の30分にはなったかと思います。式の開始をドキドキして待っていたのはホスト役のディレクターさん。私の横でそわそわと落ち着かない様子。
それもそのはず、だってこの劇場の歴史に大きく刻まれる一大イベント。しかもパリからもえらいさんたちがきて、テレビ放送に使うために最初から最後まできちんと撮影されるのですから。
そこへこういった環境にはなれっこのスペシャルゲストの俳優さんがやってきて、私に「ワルツでも弾いてよ。」と注文してくる。私もすぐには曲を変えれないから、「この曲が終わったら弾きます。」と言って待ってもらって、しかもワルツはさっき弾いたばかりで他には用意してきていなかったもんだから、4拍子の曲をむりやり3拍子にアレンジしてなんちゃってワルツを演奏。
すると俳優さんとディレクターさんが私の横でずんちゃっちゃと踊りだしました。
そんなこんなでようやくセレモニーの開始となりました。
さっきまで緊張していたディレクターさんのあいさつでスタートなので、私は演奏をフェイドアウト気味にシンクロナイズさせて終了。
こういった公式のセレモニーではどこの国でも同じ感じ。
来てくれた人を歓迎する言葉、お礼の言葉が続き、そして「jeune public」にかけるこのマグロンヌの劇場のモットーや情熱などを述べられて、えらいさん方のスピーチへと移りました。
ここでまた私のお役目。
ディレクターさんが、「マグロンヌの市長、○○氏!」と言うと、私はなんちゃっての短いオリジナルパッセージを弾いて、市長さんが壇上に上がるのに合わせて弾きます。
市長さんがスピーチを終えて拍手がわきあがると、またなんちゃってのパッセージで彼が自分の席に戻るのを音楽でお供。
モリエールの組織のえらいさんとかのスピーチもあって、計4回のなんちゃってパッセージ演奏。
これは我ながら気に入って面白がりながら弾いておりました。
なんせ、私一人舞台の閉じられたカーテンに隠れたままですから、気楽です。
4人目、最後のスピーチが終わると、いよいよ入賞作品の発表、紹介です。
ここで私が新たにピアノ演奏を始め、それと同時にカーテンが開かれました。
私とお客さんの出会いの瞬間です。
というか、お客さんにとったらカーテンの向うから聞こえていたピアノの主が黒い髪のアジア人だったというのは、意外とちょっとした驚きだったり予想がいのことだったりしたりするんでしょうか。
私の演奏と同時に小さな女の子4人が客席から壇上に上がってブランコに座ってこいで、舞台上のスクリーンにはココリコの花の映像が映し出されました。
この場面にディレクターさんが選んだ曲というのが、シューマンの子供の情景の第一曲「異国から」でした。私も慣れ親しんだ曲ですから暗譜で繰り返しとかも適当にしながらリラックスモードで終了。
ここで一旦私は引き下がりました。
舞台上では子供代表とスペシャルゲストの俳優さんが入賞作品を紹介。
アカデミー賞でも見られるように、作品名が読み上げられて、作品の抜粋がビデオ映像で紹介されました。
その間、私は舞台袖で舞台技術のお兄さんとなぜかそこにいたおちび二人とぼーっと待っていました。
おちびには「あなたがピアノを弾いていたの?」とか聞かれて、「そうだよ~。」と答えたり、何気ない会話をひそひそ声でしていました。
すると、おちびのうちの一人に出番がやってきました。
実はその子はパリから来たえらいさんの娘さんで、今夜の受賞作品の名前が入った封筒を舞台まで持って行くという大事なお役目があったのです!
白いワンピースを着た彼女が舞台に現れると、「あら~、かわいい!」と言った感じで笑いと拍手が沸き起こりました。
受賞作品が発表されて、出演者、スタッフが壇上に上がり、喜びのスピーチ。
会場は大いに盛り上がっているわけですけど、なんせ私は舞台のそでにいるので、誰の顔も見れないし、誰がなんだかまったくわからないまま時間が過ぎる。
そして打ち合わせではあまりはっきりしていなかったけれど、私の演奏でセレモニーが終了と言われていたので、もうすぐかな?もうすぐかな?とスタンバイ。
でも、「こうなったら舞台に出てきてね。」と言われていた状況にならないので、舞台袖にいた舞台技術のお兄さんにも質問。「あの~、私はいつになったら舞台にでないといけないのかわかりますか?」
彼は舞台正面の音響ミキサー室にいるチーフに質問。
結局、誰もはっきりとわかっていなかったうえに、舞台上の展開が予定と違う風になっていたもんだからてんでわからない。ここはもうフィーリングで、ということで、なんちゃっての私の再登場。
ピアノの席についたはいいけれど、「こうなったらピアノを弾いてね。」と言われていた状況になる気配がない。。。。。
しかも予定にはなかったのだけれど、「意見交換の場にしようではないですか!」と言いだした俳優さんのリードで、セレモニーはそのまま討論会の様相に。
「あれ?このままではどうしたらいいんかな???」と思いだしたところで、一応受賞作品のスタッフたちが舞台から降りようとしたのを見て、「いまだ!」とタイミングをとらえて最後のピアノ演奏に入った私。
するとそこで、「あら、そうだったわ!」と言わんばかりに、緊張してテンションあがりっぱなしだったホスト役のディレクターさんが、私のことを紹介してくれました。
私の演奏に合わせて、また俳優さんがディレクターさんをダンスに誘い、そんなこんなでセレモニーは終了。
演奏後には私にも温かい拍手をいただいたので、私も「どうも~。」とお辞儀をさせてもらいました。
さて、セレモニー自体が終了すると、今度は立食パーティーのソワレに突入です。
私は一人だったけど、うろうろとしながらワインやおいしいおつまみやデザートをいただいていると、左から右から、いろんな人が声をかけてきます。
モリエールの組織のえらいさんマダムもわざわざ私のところまでやってきてお礼を言ってくれました。
お客さんたちも「ブラボー。」とか「メルシー!」はもちろんのこと、「暖かくて素敵な演奏だったわ。」とか「素敵な選曲だったわ。」とかいうちょっとしたコメントをくれる人、さらには私の身の上話まで発展する会話を持ちかけてくる人も数人。さすがフランス人、さすが南フランス人。みんなおしゃべりの術にはたけてますよ。
子供からお年寄りまで、女の人から男の人まで、いろんな人がリアクションを見せてくれて、とてもいい感じのソワレとなりました。
中に一人、「よくぞ弾ききった!素晴らしい。こうでなくっちゃね。周りが予定と違うことを始めてもやるべきところでやらないとね。」と事情を知っているようなムッシューが声をかけてきました。態度や服装からしても、この業界のえらいさんぽいけど、私は誰が誰なのかまったくわからないまま。
幸い、オペラjrで一緒のEが、「あれはシャトー・ドーのディレクターよ。」と教えてくれました。
うん、やっぱり業界のえらいさんたちはいるところにいるもんです。
私がしていることも、どこで誰が見ているか、見てくれているかわからないもんだということか、と思いました。
飲み物の食べ物もひと通り頂いたところで、一人身だし、これ以上話すことも話す相手もいないし、ということで帰ることにした私。ディレクターさんをはじめ、えらいさん達にこの日のお礼を述べて会場を去りました。
0 件のコメント:
コメントを投稿