2010年12月31日金曜日

Opera junior 合同コンサート : 変化の時

私が伴奏ピアニストを務めるOpera juniorには、7歳のちびっこから25歳の若者まで、総勢150人くらいが所属していて、4つのグループに別れてそれぞれが活動しています。

そのうちの一つはAtelier de création (アトリエ・ドゥ・クレアシオン)といって、年に一つのプロジェクトのために結成される外部から新たに加わった初心者だけのグループなのですが、それ以外の3つのグループは常時存在し、数年間在籍する者、新年度に新たに加わる者、年齢とともに一つ上のグループに進む者など、みんなそれぞれです。

基本的には、年齢に従ってレベルも違うわけですから、それぞれのグループが各自プロジェクトに取り組み、コンサートやスペクタクルを行っています。

しかし、昨年、新ディレクターに就任したジェロームは、それぞれのグループ外ではお互いをよく知らないメンバーを見て、ぜひとも合同で何かしたいと思ったのでした。

その彼のイニシアティブにより行われたのが、11月29日と12月1日に行われたオペラjr合同コンサート。

Atelier de créationを除いた3つの常時常設グループ、La Petite Chorale(6-9歳)、Le Choeur d'enfants(9-15歳)、そしてLe Groupe Vocal(16-25歳)によるコンサートです。


『初めての試み』といってはいますが、実際のところ、これまでにも何度か、年度末の小、中学校を対象とした教育的コンサートでは、いくつかのグループが参加してそれぞれが数曲歌うというプログラムを構成していました。ま、教育的コンサートと一般向けのコンサートでは意味が違うというところもあるのでしょうけど。

このコンサートは、今シーズンの発表の場のような形になり、Le Choeur d'enfants 以外は今年度末に発表する舞台作品の一部分をコンサート形式で歌うことになりました。

Le choeur d'enfants は10月末に「The Golden Vanity」を発表したばかりなうえに、今年度のプロジェクトであるオペラの準備は始めないといけないわ、モンペリエ・オーケストラによる元旦のコンサート「カルメン」に参加するためにその準備はしないといけないわ、で大わらわの中、この日のために4曲を準備してきました。
La Petite Choraleにしても、9月に入団したばかりのちびっこが、11月末にすでに舞台にたって歌を発表するというのは、かなりきついスケジュールです。

コンサート会場の点でも新たな試みがありました。
実は只今モンペリエのオペラ座は大がかりな改修工事のために閉鎖中。そのためいつもオペラjrがコンサートに使っていたSalle Molièreは使えません。代わりにゲットしたのがCORUMの中ホールSalle Pasteurと隣町のカステル・ノーの公民館のホールです。
以前から、教育的コンサートや、何かのイベントの一環でSalle Pasteur で演奏したことはありましたが、一般客対象のコンサートをSalle Pasteurでするのは初めてのこと。
11月29日の月曜日、ここで午後2時から小中学生を対象とした教育的コンサートと夜7時から一般客対象のコンサート。そして12月1日水曜日はカステルノーで、一般客対象のコンサート、合計3公演を行いました。

ディレクターであるジェロームが自らマイクを握って司会・進行を務め、曲紹介はもちろん、今シーズンのプロジェクトの紹介もしました。
おかげさまでいずれも満員御礼。
まあ変化に富んだコンサートとなったといえるでしょう。

プログラムはこちら :

La Petite Chorale : Isabelle ABOULKER作曲の子供による子供のためのオペラ「ATCHAFALAYA」(アチャファラヤ)より抜粋で数曲。

Le Cheour d'enfants : Sergei Rachmaninov作曲「Six Choeur」から抜粋で数曲、Claude Debussy作曲「Salut Printemps」。

Le Cheour d'enfantsとLe Grouうpue Vocal 合同 : Benjamin Britten作曲の「The Sally Gardens」と「Old Abram Brown」。

La Groupe Vocal : 6月発表予定の舞台「Musiques Americaine」のプログラムから、John RUTTER作曲「Praise Ye The Lord」、Gwyneth Walker作曲「I thank you God」、Richard Smallwood作曲「Total Praise」。

さて、実はオペラjrでは2年前から現在にいたるまで、変革・変化の微妙な時期を通過しています。

というのも、まずはオペラjrの生みの親である初代ディレクターの引退にともない、オペラjrとはなんのゆかりもなく、合唱指導とかには関わらない生粋のオーケストラ指揮者である新ディレクターの就任が
ありました。

創設者である前ディレクターは指揮者であり作曲家であるうえ、長年、子供による音楽舞台創作というジャンルで活動してきた人。オペラjrの活動をすべて直接指揮してきました。さらに事務面も彼がすべてを仕切っていたのはいうまでもありません。彼の生活=オペラjrだったわけです。

一方、新ディレクターは指揮者としての活動を続けながらのポスト就任。オペラjrでの職務は彼の活動の一部にすぎないわけです。

当然、組織としては大きな変化を迎えました。

まあ、それでも組織の頭が代わっても、内部のメンバーが同じならばある種の継続性も保てたわけですが、15年間にわたって子供や若者を直接指導してきた合唱指導・指揮のヴァレリーが組織を離れるという事態になってしまいました。この件はまだ一件落着に至っていないので、こうして話すもの微妙な話なんですけどね、、、。

ディレクターを除けば、もともと常時事務スタッフが4人もいて、常時アーティストは2人しかいないというアンバランスな組織。後は常に単発で参加してくれる外部アーティストばかりだったのです。

常時アーティスト二人というのは、合唱指導・指揮者とピアニストのこと。そう、これまではヴァレリーと私だったのです。

私もオペラjrで働きだして早8年目。

その間オペラjrの活動は発展を続ける一方だったので、活動量も当然増え、私とヴァレリーは常にすべてのグループに関わり、それぞれのプロジェクトのアーティストたちとともに活動してきました。

彼女が15年前からいるということ、合唱指揮という立場にいること、そしてカリスマ性はもちろんですが、フランス人女性としてもとびぬけて我の強い女性であることから、当然ピアニストである私は、外国人であるうえ、まだ若かったし、純粋に「ピアニスト」という職に専念していました。

が、今年の9月、ヴァレリー不在で新シーズンを始めなくては行けなかったオペラjrは、急きょ、二人の合唱指導者を招き、仮の新チームで活動をスタートさせました。
4つのグループが抱えるプロジェクトももりだくさんです。

そんなあわただしい変化の中で、気がついたら、プロジェクトのために現場で働くスタッフで唯一の常時アーティストは私であり、一番の古参者というのも私であるということになっていました。

以来、私は現場にいる誰にとっても大事な「つなぎ役」あるいは「パイプ役」を背負うことになったのです。

「ただのピアニスト」ですが、「されどピアニスト」です。

だって、現場を知っている唯一の者。そしてこれまでの流れを知っている唯一の者。子供や若者たちと直接コンタクトがあり、お互いよく知っている関係にいる唯一の者。etc. etc.

言い出したらきりがありませんが、あらゆる理由から、私は新ディレクターにとって大事な人物、新たに加わった新・合唱指導者にとっても大事な人物、今年度のプロジェクトのために来てくれる外部アーティストにとっても大事な人物、そして以前からいる子供達、若者たちにとって大事な人物となりました。

私は外国人で、他の誰よりもまだ若く、日本的感覚で言ったら大人しく「ピアニスト」の任務だけをこなすことも可能だったのでしょうけど、ここはフランス。そして私は私で、こちらでの生活のおかげか、もともとの性格というのもあってか、大事なところでは主張をする日本人となっていました。さらに音楽教育というものにはかなり個人的にはっきりとしたビジョンをもっています。

そのために、言葉のハンディもなんのその、文化の違いもなんのその、オペラjrのさらなる発展を願うからこその行動をとるようになっていきました。

そんな中、いろいろな問題ごとというのは次から次へと発生するもので、この9月から12月の時期は、オペラjrにとって波乱万丈怒涛の時期となりました。
ブログで書きたいことはたくさん。
まあ今日のところははしょらせてもらうとして、とにかく結果として、この4カ月で私が消費した体力的エネルギーはもちろん、精神的エネルギーは相当なもので、誰が見ても心身共に疲れ果てたleonardoという無残な姿になっていました。実際、いろんな活動のかけもちのせいで、完全な休日というのはごくまれだし、、、。

周囲の人に心配をかけてしまったし、自分でも「ああ、このままではいかん。」とわかっていたのですが、問題の真っ最中にいるときって、どうにも変化をつけようがありませんよね。

普段土曜日も日曜日もなく働いてきましたが、幸い、12月21日から一週間の休みがとれて、ここは逃してはいけないと、バカンスへと旅立ってきました。

日ごろのモンペリエ生活から離れて、久しぶりに友達と再会したりして、心身リフレッシュができました。
ねらった通りのバカンス効果を得られて私も満足。

新しい年を迎えるわけですし、これを機にいろんなこともリセットして、私の生活もちょっとずつ変化させていこうかな、なんて思っています。

実はこのオペラjrのコンサートでも、私にとってとびきり大きな出来事がありました。って私が勝手に「とびきり大きなこと」なんて認識してるだけですが。ぜひとも近いうちにブログで書きたいと思っています。

いつも空から降ってきたような出会いに恵まれてきた私。

2011年はどんな出会いがあるのでしょうか。楽しみです。

只今フランス時間2010年12月31日17時。

日本ではもうすでに2011年を迎えましたね。

地球の裏側のみなさん、どうぞよいお年を。

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