2015年9月8日火曜日

ついにフランス人になってしまったかと感じたとき

こちらフランスでは、9月1日から新年度がスタートしました。

二ヶ月という長いバカンスを過ごした子供たちは皆そろって、友達に会いたい気持ちと、もっとこのまま何もしないでいいバカンスが続いて欲しいという気持ちの狭間で、激しいジレンマに陥ります。

バカンスが終わってしまうときの切ない気持ちは大人でも一緒。二週間のバカンス、三週間のバカンス、果ては教員のように二ヶ月丸ごとバカンスを過ごした大人たちだって、このままバカンスが続けばいいのに、、、と思います。

年中働き通しが「当然」とされる日本から来た私は、フランスに来た当初、年中バカンスを中心に国が回るフランスを、なんだか国民全員が子供みたいな国だなあと思っていたものです。

それが時がたった今、「あ、ついに私もフランス人になってしまったか。」と痛感せざるできごとがおきました。

それはこの新年度スタートという時期に、次のイラストとフレーズを見たとき。



「がんばれ!!あと10ヶ月残すのみ、そしたらもう夏のバカンス!!」と言うのです。

「え、二ヶ月ものバカンスを過ごしたばっかりじゃん!」というのが普通の突っ込みですが、もはや私の心境はまさにこのフレーズの通り。これから6月末までがんばったら次のバカンスシーズンが来るということしか頭にないようになってしまっていたのです。それまでの10ヶ月、がんばるしかないと。

これは大変!私が以前小バカにしていた「バカンスが生活の中心になっている」という状態ではないですか。

日本人とフランス人を比較して「フランス人らしい」というときに、基本中の基本となるポイントがこのバカンスの存在、そしてバカンスの重要さです。言って見れば「自分のための時間」。

日本の知り合いに言わせたら、そんなにバカンスがたくさんあっていいね、夢みたいだねと、うらやましがられますが、そもそも日本ではありえない話だから、うらやましいは半分で、実は怠け者を見る目で見られることも多いのが事実です。日本人にとってはあまり現実味がないものとして流されがちだったりもします。

でもバカンスがたくさんある人は、それだけ仕事をしていないのですから、絶対的にその分収入が減っていて、お金がそんなにあるわけではありません。いいことばかりがバカンスではないのです。
でもだからこそ、お金をかけないバカンスの過ごし方が本来のバカンスの過ごし方であって、そこにフランス人がもとめる豊かさがあるように思います。

「自分の時間」こそが豊かさのバロメーターであるのです。

バカンス中にはひたすら何もせずにごろごろする人もいるでしょう。大旅行に出かける人もいるでしょう。あるいは普段できない趣味や習い事に没頭する人もいます。新しい人生のプロジェクトに取り組む人だっています。
そう、「バカンス=旅行」というわけでは決してないのです。

日本人がなぜこんなに働くのか、という問いにはいろんな答えが見つかるでしょう。社会のしくみや企業の機能の仕方などいろいろあるのでしょうが、今のところ日本人が求めているものが、フランス人がバカンスに求めるそれとは違うということなんだろうと思います。自分の時間やプライベートの時間が最優先されていないことは明らかです。下手したら、日本人本人がそれを最重要視はしていないことも多いです。
家族が大事と発言する人も、大抵は子育て真っ最中で、その子育ての時間とエネルギーを指していることが多くて、自分だけの時間、特別なイベントも何もない中での家族と過ごす普通の時間を、仕事にとられる時間よりも確保している日本人なんて、まだまだ極小数派でしょう。
日本人でもフランス人でも、忙しくしている自分が好きな時期も人生ではあるでしょう。
でもこの年中、一生働きづめが普通の日本人にとって、この働きづめの状態が果たして社会のせいなのか、会社のせいなのか、それとも自分自身の価値観のせいなのか、そこをぐっと掘り下げてみて考えてみるのもよいことではないかと思います。たとえいろいろとしがらみの多い日本社会でも、自分さえこうしようと決めたら、意外といろんな生き方が実践できると思うのです。

あ、念のために言えば、もちろんフランス人でもあまりまとまったバカンスがとれない人もいます。そんな中で私はこの夏、ほぼ二ヶ月に近い休みがとれました。これは健康問題にもからんでの対処だったので、自発的に確保した二ヶ月ではなかったのですが、それでも素晴らしい機会でした。
学生時代は休みと言えばバイトにあけくれていた私なので、こんな休みはめったとないこと。そういえば、フランスに来て始めての夏はまだ仕事を本格的にしていなかったので、長い休みを初めて知ったものでした。
仕事をしていながらも、こんなに長い休みがとれたことはラッキーなことですね。お正月にも一ヶ月お休みが欲しいなんて愚痴ってる私ですから、ほんと贅沢なことです。

これまで何かきっかけがある度に、「ああ、もうleonardoもすっかりフランス人だね。」とフランス人にからかわれてきましたが、今回ほど自分自身が「あれ、フランス人みたいになっちゃった。」と思ったことはありませんでした!

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