日本では新年を迎える時刻が迫ってきていますね。
2018年にもいろいろなことがありました。自分の身にも、自分の周りの人たちの身にも。
世界はグローバル化、ネット化、4D化、5D化を唱えていますが、やっぱり人間であるからには、人間だからこそできることや、人間だからこそ感じられることとかを忘れてしまっては、バランスを失っていくことは必至ですよね。
人の心の温かさに触れる度にそんなことを思っている私ですが、この年の暮れにまた一つ、その思いを強くさせられることがありました。
それは私が住む町内にある一軒のお菓子屋さんのこと。
私たちの生活リズムとお店のオープン時間がなかなか合わないこともあって、普段は私の相棒が時々休みの日においしいパンオショコラなどを買いにいってくれている程度で、実は私自身が店に寄ったことはなかったのです。
けれど相棒は仕事で私は休みという今日、初めて私がこのお店に友人に贈るためのケーキを買いにいきました。
普通の住宅街にちょっとかわいらしい店構えでその店はあります。
大通りにも面していないし、町の中心地にあるわけではないので、普段人通りがあるわけではない通りです。
今時、どこの店でもレストランでもFacebookやサイトを通して、最新の細かい情報を載せるのが常となってきていますが、このお店はその方面に力をいれるでもなく、看板にしっかりと「Artisanale」書かれているように、昔ながらの職人によるお菓子作り、伝統的な手作りという言葉を誇りとしているように、ただ手書き看板がオープン時間を知らせているだけです。
しかも普段から、パン屋さんにありがちな「毎日オープン!」的なリズムでは開店しておらず、時間も朝と夕方に限られていて、日曜日と月曜日が定休日の店なのですから、マイペース感もあります。
その店がネット上で年の暮れの昨日と今日は特別にオープンしてますと知らせていない以上、知る人ぞ知るという形で、知っている人しか来るわけがないのです。
どうして私が今日のオープンを知ったかといえば、相棒が一昨日立ち寄って知ったからだったのです。
それでもお昼ごろ私が行ったときには、おじいさん、女の子、私と、まさに年齢層の違う三世代にわたる客が列を作り、私が品を受け取って店を出る時には10人ぐらいの列ができていました。
小さくてせまいお店には、10種類くらいのケーキに加え、クロワッサンやパンオショコラ、そして本格的なチョコレート、クッキー、ビスケット類が並び、私たちお客はところ狭しと楽しそうに品を選んでいます。
まったく気取ったところのないオーナー職人さんは、私とそう年が変わらない人です。ケーキの中身などを訪ねるお客さんに丁寧に答え、一目で、「ああ、この人はお菓子作りが大好きで、お客さんが自分の品を求めにくることがうれしくて、自分の職業を誇りに思っているんだな」と感じられる目をしていました。
一見さんに過ぎない私のことも笑顔で迎えてくれて、笑顔を「よいお年を!」と送り出してくれました。
お店の作りからしても、ネットを活用していない様子からしても、そしてお客さんとのやりとりから見ても、ビジネスとして儲けよう、ビジネス展開をしようなどという意図はまったく感じられません。
ただこの界隈のこの場所で、お客さんが喜んでくれるようなお菓子を作り続けようという意思が感じられます。
知らない人にまで売り込もうとしなくていい、知らない人にまで知ってもらおうとしなくていい。知る人ぞ知るというネットワークで常連さんに恵まれ、常連さんは迷うことなく、「モンペリエで一番のお菓子屋さん」と評すお店。
シンプルだけどおいしいお菓子、というだけでなく、このお店の精神に魅了されて、これからはどんどん宣伝していこうと自然と思った私でした。
人と人の直接のつながりと暖かさを痛感した一年。最後の日にもこのテーマを感じられてハッピー気分です。
どうぞ皆様、暖かい心とともに良い年をお迎えください。
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