すっかりご無沙汰してしまいました。
世界中がコロナ禍真っ只中。
一人一人がいろいろな状況にいて、様々な理由によって不安を抱えています。
今この地球上に暮らす人々の大半が、まさかウイルス性の感染症によって、世界が今のような状況になる日が来るとは思ってもいなかったことでしょう。たとえ大戦を経験した世代の人でも、現在紛争地域に暮らす人でも、衛生環境のよくない地域にくらす人でも、まさか国々が事実上国境を封鎖するようなことになるとは思ってもいなかったことでしょう。感染症の専門家たちですら、感染症の恐ろしさ、リスクは重々知っている身として、「恐れていたことが起きてしまった」という思いでいるのではないかと思います。
イタリア、スペイン、フランスのいわゆる「ラテン系」三か国での惨状の知らせも日本に伝わっていることと思います。イギリス、アメリカなどまだまだピークの中にいる国、そしてこれから爆発的に感染が広がってしまうであろう国々など、各国ともに自国のことで必死ですが、地球規模で考えれば不安はさらに増すばかりです。
できる限り被害を抑えて少しでも早く収束を迎えることを祈ることしかできませんが、本当の意味での「収束」がいつどうやってもたらされるのかと言えば、それがすぐやってくるわけではないと分かった今、せめてこの状況から学べることを学び、これから世界がよりよくなる方向に向かえるように一人一人が気付き、努力するほかないと思う毎日です。
この新型コロナウィルスCOVID-19には驚かされます。その驚異的な感染力、人体内での攻撃力といい、世界各地で毎日新しい発見がなされ、研究結果が報告されていますが、このウイルスの凄さはそれだけではありません。人間の弱点、人間社会の弱点、組織、機能で不具合があったところを片っ端からあぶりだしているように見えるからです。
人間の命に係わる健康の問題だけではありません。健康を守るための医療機関がまず強いダメージを受けます。設備の問題を重視する人もいますが、もちろんお医者さんや看護師、介助士と言った多くの人々がいなければ何にもなりません。設備が十分でなかったと気が付いたところで、それぞれのものを作ってくれていた工場や会社がストップしてしまっては、足りないものがどんどん足りなくなっていきます。
家庭も、学校も、職場もダメージを受け、全職種の業界がダメージを受け、経済のダメージを重視する人がたくさんいます。極論で「生命優先か経済優先か」などという論争も起こりがちですが、実際、人間の営みのすべてがダメージを受けている状況で、経済だけを最優先にしようとしてもみんなの問題は解決できないように思うのです。
外出禁止になった国々では、それぞれの住居環境の差によって外出禁止生活の困難さに大きな違いが出て、社会の問題点を見せつけられています。それは当然。広々とした家で大きな庭をもつ夫婦には、せまいアパートで4人の子供と暮らす夫婦の大変さは味わえないでしょう。このような困難な環境では子供の教育の面でも大きな差がでてしまっています。仕事に行けなくなって在宅になったことを大喜びする人がいる一方で、家庭内暴力などの問題に24時間向き合わなくてはいけない人もたくさんいます。そんな弱者をサポートする組織、人々もダメージを受けている現状では、被害者はますます苦しみの中に陥ってしまいます。
一つの社会の中でもキリがないほどの問題をあぶりだしているこのウィルス、世界全体を見渡せば、さらなる問題が見えてきます。グローバリゼーションと謳われて経済活動も拡大し、国と国の関係もより複雑なものになってしまっていましたが、気が付けばコロナ禍のなかで国境は実質絶たれ、人々の行き来だけでなく物資の行き来も滞りました。多くの国が人材費、生産費が安いからという理由で遠い国にものづくりの場を移動させた結果、自分たちはそこに頼りっきりで、いざというとき自立して行動をおこすことすらできないことに気が付いたのです。これには各国首脳、そして各国民が頭をガーンとなぐられたような感覚でハッとしたことでしょう。
方や、この騒ぎの中、世界中の大都市の排気ガスの問題が緩和され、空気がきれいになり、気持ちのよい青空を崇めることができるようになり、小鳥のさえずりに耳をかたむけることができるようになりました。
あれだけ環境問題に警鐘を鳴らし続けても何一つ効果的なことができなかった人間を誰かが遠くからあざ笑ってるようです。
大戦以降、地球規模では最大といわれるこの危機。人間はどうやって乗り越えるのでしょうか。人々は何かを学ぶのでしょうか。コロナ後の世界はこれまでよりもいい世界に変わるのでしょうか。
このウィルスがあぶりだした問題の数々を、これまで以上に見つめていきたいものだと思います。
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