モンペリエにある美術館で中心的な存在となっているのは、Musée Fabre/ファーブル美術館。中心街のエスプラナード脇にあります。
この美術館の別館として、装飾美術品部門の建物「l'hôtel Cabrières- Sabatier d'Espeyran」が道を隔てて隣にあります。ここで言うl'Hôtelというのは、ホテルではなくて邸宅や館という感じの、かつての貴族やお金持ちの人々の住まいの建物のことを指します。
現在ここで、私も仕事で関わった展示会をやっているので、ご案内させてもらいます。
この展示会の名前は「À l'opéra chez les Despous !」。
les Despousというのはデスプス家のことで、19世紀末にこの建物を建てて、以後ここを住まいとしていた貴族の一家なのですが、モンペリエの街の有力貴族であるとともに、芸術文化を愛し、この分野の発展に貢献した大の保護者でもありました。
モンペリエのオペラ座コメディの現在の建物は、1888年にこけら落としを迎えているのですが、まさにその時代に活躍し、このオペラ座の建設にも大いに関わった人物であり、個人的にも音楽サロンやスペクタクルなどもプライベートでオーガナイズしていた音楽芸術ファンであったのが当時一家の主だったシャルルさん。
モンペリエの音楽史を語るに外せない人物で、かれら家族の日常空間を舞台に、当時のモンペリエの音楽シーンを再現しよう、というコンセプトの展示会となっています。
展示会は、ファーブル美術館とモンペリエオペラ座とモンペリエ市古文書館の協力によって準備されました。この三つの組織がそれぞれに、当時の資料や品などを保管してきているので、テーマに合わせてそれらを一同に並べる、しかも日ごろからこの家族の日常品などを展示しているこの邸宅の空間に展示するというのは、またとない機会。
この邸宅の内部は、とても保存状態がよく、当時の家具などがそのまま展示されているので、再現された空間というよりも、当時そのままの空間になっているのです。
今回はその空間に、オペラの衣装や楽譜、オペラ座コメディの当時の資料などを展示しました。
貴族というと、社会全体の一部分の人々には違いありませんが、当時の音楽界はそういった人々によって担われていたので、当時の雰囲気を理解し、感じ取るには、またとない機会となっています。
この展示会は6月25日に開幕し、11月6日まで開催されています。
興味のある方はぜひ、この機会にチェックしてみてください。
0 件のコメント:
コメントを投稿