もう8月も暮れ。
今年は凄まじい暑さの夏でしたが、各地で気温が下がり始めて、季節の変化を感じます。
フランスでは学校の年度が9月スタートなので、そろそろ新学期が近づくという事実もあるのですが、今のこの雰囲気、フランスでは何よりもまず「バカンスの終わり」を意味します。
「フランスと言えばバカンス大国」というイメージは、日本でも定着していると思いますが、あえてここでちょっと復習をしましょう!
まずは子供のバカンス(ヴァカンス)について。
毎年ある時期になると、翌年のバカンスのスケジュールが正式に発表されます。
おおまかに言って、夏の大バカンスが二か月、秋休みが二週間、クリスマス休暇が二週間、それとは別に冬休みが二週間、そして春休みが二週間。
そしてこれでも足りなかったと言わんや、数年前から5月末の連休が正式に確定確保されるようになりました。 (笑)
幼稚園から高校まで、子供は皆、このスケジュールで一年を過ごします。
私の記憶に間違いがなければ、日本の学校では、10日ほどの春休み、40日ほどの夏休み、そして10日ほどの冬休みがあったと思いますが、日仏の違いは一目瞭然ですよね。
フランスで学校がバカンスの間は、基本的に教職員にとってもバカンスです。様々な学校活動の世話までする日本の教職員と、フランスの教職員の勤務時間の差はすさまじいものです。お給料などにも違いがあるので、単純に比較することは難しいのですが、 まあこれだけのバカンスがあるとインプットしておいてください。
バカンス大国らしい決まりとして、バカンス時期ののゾーン分けというものがあります。
夏休みと秋休みと年末年始の休みの時期は、全国一律、全国一斉なのですが、2月ごろの冬休みと4月ごろの春休みは、A、B、Cの3つのゾーンに区切られて、それぞれバカンスのスタートを1週間ずつずらして設定してあります。
モンペリエはパリゾーンと一緒にCゾーンのグループです。
単純かつ、ややこしくなりそうな印象を与えますが、これは観光地の混雑を緩和させるためであったり、国の経済活動のバランスを保つためであったり、親が仕事で休みをとる時期のバランスをとるためだったりと、フランス社会の様々な面で貢献しているシステムなんです。
公平さを保つためにも、バカンスに入る順番は毎年順繰りで変わります。
例えば、今年4月上旬に春休みに入ったゾーンは、来年度では4月下旬にバカンススタートといった感じです。
いずれにせよ、毎年政府が検討したうえで、正式に発表されるこのスケジュールがフランス社会においては絶対的存在なので、発表されるやいなや、来年のバカンスの計画をたてるためにも、多くの人がこの基本スケジュールをチェックするし、世間では次のようなカレンダーが出回ります。
いつ、どのゾーンがバカンスに入るかが、一目でわかるカレンダーです。
1年を通して、色鮮やかな時期が多くて、バカンス中という時間が多いですよね!
正直、このシステムの中で育った子供が、日本を好きになって日本に旅立ち、大人になってから日本社会特有の仕事のリズムの中で働く、ということは、チャレンジにしても相当難易度の高いチャレンジだと思っています。
さて、フランスの大人はというと、基本的に年間5週間の有休が確保されています。
子供の生活リズムが、この大量のバカンスに支配されていますから、必然的に、子供をもつ親に生活リズムも、子供のバカンススケジュールに支配されます。
子供と同じ時に同じ量だけバカンスがあるという教職員カップルの家庭は、世界に類をみないジャックポット勝者。これまでにそういう家庭をいくつも見てきましたが、日本人から見たらただただ夢のような生活リズムとしか言えません。
ただし、金銭事情はまたちょっと別の事情ではあります。バカンスがたくさんあるからと言って、バカンスのごとにどこかに旅に出るとかそういうわけではないのです。
一方で、年間5週間の有休をもつ親にとったら、自分の仕事と子供のバカンススケジュールとやりくりするのはかなり難しいことなんです。
そのあたりのことは、また追って別の機会にお伝えしたいと思います。
今日のしめくくりに、バカンスに恵まれた子供が放った、嘘のようなホントの話のセリフをお届けします。
「自由時間がありすぎて、何をしたらいいかわからなくて、パニックになりそう!」
でした。(笑)
1 件のコメント:
このようなフランスの諸制度を本にしてください。興味があります。
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