2022年8月28日日曜日

ATTAKUS / アタカス

私のブログは「ごえんのわ」というタイトルですが、不思議なご縁の輪が広がる様子をイメージしてつけた名前です。不思議というのは、広がるご縁に誰よりも私自身が驚いていて、かつ、そのつながりを楽しんでいるからこそのことです。

日本の大都市に慣れていた者としては、モンペリエは小さな街。

そんな街でふらっと出会う人々の中には、フランスを代表するどころか、世界クオリティーの人々もいて、彼らの道のりを知るたびに、「わぉ!」と言うしかないようなこともよくあります。

ブログに名前を付けてから、すでに十年以上が過ぎていますが、この驚きは今もまだまだ続いています。一つでもご縁のピースが欠けていたら出会わなかったであろう人がたくさんいるわけですが、これからまた少しずつ、そういった出会いについてもお伝えしたいと思っています。

今日はそんな出会いの一つをご紹介。

10年ほど前、私はフィギュアを作って販売している会社にお邪魔する機会を得ました。モンペリエでのことです。会社訪問をしたわけではなく、とあるパーティーに参加したら、二次会の会場がこの会社のアトリエだったんです。

「フィギュア」というと、フィギュアスケートを思い浮かべる人も多いかと思いますが、ここでいうフィギュアは、マンガやアニメ、映画、ゲームのキャラクターをかたどった立体的な人形のことを指します。

フィギュアを買う、フィギュアを集めるということは、誤解を恐れずに言えば、日本ではオタクの世界に入れられる分野で、アニメの登場人物の女の子のフィギュアを集める人々のイメージが定着しているように思います。

けれど実際には、フィギュアといってもその素材によっても違いがあるし、扱うキャラクターによって、日本のオタク文化とも違う、別のコレクターの世界にも広がります。

フランスではフィギュアのことをfigurine (フィギュリンヌ)といいますが、大まかに言えば、人形のことを指します。肩や腕のパーツが動かせるものだったり、素材が柔らかくて押せば形が変わるものなど、子供の玩具の人形のことだったりもします。

私がモンペリエで出会ったこの会社はATTAKUSという名前で、フランスでは「アタキュス」と発音されます。ネットリサーチによると、日本では「アタカス」と呼ばれているようです。

 

彼らが作っているのはフィギュアというよりはスタチュー/Statue。スタチューというと、人を象った銅像、立像、置物といったイメージですね。

つまり彼らが作るフィギュアは、パーツが動くとかやわらかい素材とかではなくて、置物として飾られるもの。

最初、フィギュアと聞いて、何かオタク向けの愛好家グループの人達かなあと思ったのが、私の正直な最初の想像でした。

けれど会社に行ってみると、そこは大きな工房のようであり、プロダクションの事務所のようであり、私の興味をそそるものでした。

しかも話を聞けば、個数限定のコレクターシリーズの話や、中国で生産しているとか、発注は世界中から来ているとか、ルーカス・フィルムのライセンスがどうとか、なんだか私の想像とは違って、スケールの大きな話でした。

実際のところ私にとっては、少しずつ情報を確認したりネットリサーチも経てから、彼らの実像がわかるに至ったわけですが、コレクターの世界では世界トップクオリティーを誇る、この分野のパイオニア的存在でもあったのです。

彼らのアトリエで私の興味をそそったのは、sculpteur、つまり彫刻家と呼ばれる工芸職人さんたちの存在でした。彼らの製品がトップクオリティーを誇るのも、こうして本格的彫刻家の手によって作られているスタチューだからなんです。

また、彼らはスターウォーズシリーズのスタチューでも知られています。正式にこんなビッグネームのキャラクターを扱うには、ライセンスの問題がありますが、もちろん正式認可を取得しての製品化。誰の認可を得たかといえば、それはまさにジョージ・ルーカス氏ご本人。

彼らはルーカスに招かれて、ルーカスフィルムの本拠地、カリフォルニアにあるスカイウォーカーランチに滞在して、タイアップについての契約や製品の詳細についての話し合いをしています。

日本ではそれほど知られていませんが、フランスの国民的キャラクターと言えばアステリックス。彼らはもちろんアルベール・ユデルゾAlbert Uderzoとも仕事をしています。

彼らの道のりを知れば知るほど、人生の大冒険だなあと感嘆します。

最初はパリで活動を始めた彼ら。2011年に本拠地をモンペリエに移す決断を下し、以来、モンペリエで活動しています。

そんな背景があってこそ、ここモンペリエで彼らと出会うことができた自分。

あれから10年、気が付いてみれば、彼らとは時々バーベキューやアペロをする仲となっていました。

この夏、また久しぶりに彼らのアトリエに行って会ってきたので、写真をブログにアップする許可をもらってきたので、少しご紹介します。

 


 

これは彫刻家さんたちのアトリエ。紙の上やパソコン画面でのデザインの試行錯誤の後、実際にお試しモデルを作って、最終的なサイズ、ポーズなどが決められていきます。

 


この日は休日で、彫刻チームはいませんでしたが、これまでに作業中にもお邪魔したことがあります。いつか時間がとれたら、企業研修のようなスターじゅをさせて欲しいと志願してある私です。

事務所のそこらじゅうには、すでに商品化されたものからお試しモデル、デザイン過程のものなど、たくさんのスタチューがところせましと並んでいます。

 




新製品の正式発表がまだ行われていないスタチューもありました。コレクターの人々にとったら、大興奮の情報であろう話を、すました顔でふむふむと聞く私。本当に不思議なご縁です。

日本にも顧客がいるということだし、日本向けの限定シリーズの話もしていたから、どんなものだろうと思ってネットリサーチをしてみました。(笑)

そしたらいらっしゃる、いらっしゃる!アタカスのファンの方々が!

ネットで見られた紹介文をあげさせて頂くと、

『スターウォーズ』やバンドデシネのスタチューなどでおなじみのフランス発の高級メーカー「アタカス」】

とか、

【 コレクター達の間では、そのクオリティーの高さと入手困難さから永く「幻」と呼ばれてきたフランスのメーカー、アタカス社製品。世界のメーカーの中でもまさに異端の存在です。】

など、まさに海を越えた遠い地のファンからも愛されているメーカーなんだなあと、実感せざるを得ません。

最近、これまでに発表された製品を一堂に並べていたそうなのですが、その片付けを始めたということで、残念ながら一部はすでに撤去された状態のパノラマ写真がこちら。



 

これだけの成功と成果をあげているメーカー。スタッフの核となるOとAは、働き者中の働き者。彼らのプロの姿勢を知れば、ああ、さすが、と言うしかありません。要求度の高さなどから言ったら、世界トップクラスそのものでしょう。しかもOはアタカスとば別に、出版社も抱えていて、Aは歌手でもあります。すごい人達。

それでもオフの時間となると、本当に気取らず、気さくで優しい人達。

彼らとの交流は今後も長く続きそうな気配なので、またこの先も話題にしていきたいと思います。ブログでネタにするというのも事前に伝えてあることだし!

フランス語ではありますが、興味のある人は彼らのサイトを覗いてみてください。彼らの冒険のヒストリーも、かなり詳しく語られています。

ATTAKUSのサイト

 

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