今年のプロジェクションマッピングのイベントは、突然寒さが厳しくなった時期に重なりました。みんな防寒を意識して出かけている様子でしたが、10ヶ所あるスポットを全部見て回るには、結構時間もかかるし、寒さに耐えられるかも怪しい感じです。
私は早々に全部回るのはあきらめ、 いくつかピックアップして帰ろうと思っていました。
なかなか見ごたえのあるスポットから回り始めたので、同じく期待に応えてくれそうなところを見ようと思いながら向かった先は、カテドラル・サン・ピエールです。
タイミングよく、正面に近いところに陣取るところができました。
ここのスポットでは、二種類のプロジェクションという豪華二本立て。
一つ目のテーマは、今の時代の流れを受けて、フランスの歴史に名を残した10人の女性の紹介でした。フランス史上重要なフランス人女性と聞いて、皆さんは誰を思い浮かべますか?
今回紹介された10人の中で、日本人も知ってる人と言えば、この方ジャンヌ・ダルク。 やっぱり世界的にも知名度ではトップクラスの一人ですね。
日本人にとったら、フランス人かというとピンとこない人も多いだろうけれど、キュリー夫人の名で知られる、マリー・キュリーも紹介されました。
文化芸術の分野からは大女優サラ・ベルナール。
映し出された絵はミュシャの絵のスタイルで仕上げられています。というのも、サラ・ベルナールはフランスの「ベル・エポック」を象徴するような存在であり、同時にミュシャなどで知られる「アール・ヌーヴォー」運動の中心的人物でもあったからです。日本人の多くは、サラ・ベルナール本人のことよりも、ミュシャの絵の女性として思い浮かべるかもしれませんね。
また、一般的に皆が名前を知っている人ではないだろうけれど、偉業伝としては大事な人の一人が 、アリス・ギイ=ブラシェ (Alice Guy-Blaché)。
彼女は映画監督であり、脚本家であり、映画プロデューサーだったのですが、世界的に見ても史上初の女性映画監督であり、映画黎明期のパイオニアだった人です。しかもフランスとアメリカを活動の場所とした国際人。
私は以前、映画誕生の時代について少し勉強しているので、映画製作のパイオニアとしてリュミエール兄弟やメリエスだけが広く知られているのはおかしくて、アリス・ギイ=ブラシェの名前がもっと一般的に知られるようになるといいなと思っています。
さて、近現代のフランスで、彼女のことを尊敬しない人はなかなかいないだろうと思われるのがシモーヌ・ヴェイユ。2017年に亡くなり、今では彼女の生きざまが映画でも語られていますが、ホロコースト体験者であり、国務大臣、厚生大臣、憲法評議会委員を務め、さらには欧州議会の議長を女性として初めて務めた政治家です。まさに多くのフランス人が「偉大な女性」と敬う、知的で強く気高いマダムです。
この他にも、フランス人女性として初めて宇宙を旅したクローディ・エネレ(Claudie Haignere)や、ジャズシンガーのジョセフィン・ベイカー(Josephine Baker)などが紹介されていました。
ここで映し出されていた画像は、プロジェクションマッピングとしての質だけでなく、いろいろなスタイルを使って、そもそも「絵」としても充実しているなあと思いながら、楽しませてもらいました。
フランス史の復習にもなったし、 子供から大人までが楽しみながら学べる、そんな知的教育効果も大の優れたプロジェクションでした。
1 件のコメント:
いかにもフランスらしい文化度の高い内容ですね! 日本はほとんど花鳥風月です。
コメントを投稿