2011年2月28日月曜日

みんなハーフ

フランスで暮らしていて、一番感じる日本との違いの中に、民族の多様性というのがあります。
日本人にとって日本人であるということは、文化、言葉、国籍をひっくるめた日本人という民族のアイデンティティーを象徴する大事なことだと思うのですが、現代のフランス人にとって、フランス人であるということは「フランスで暮らす者」という認識にすぎないことがよくあります。
もちろん同じフランス人でも、保守派やナショナリストの人にとったら、日本人が考えるように、文化、言葉、国籍をひっくるめて、昔からフランスに住む家系の真正なフランス人とそうでないフランス人を区別する考えが主流です。そういった意味では、「日本人はすごいナショナリストだ。」という批判も、あながちウソではないと思ってしまいます。

日本社会でも、ここ数年、在日外国人の数が増えたとか、国際結婚が急激に増えたとか変化は見られますが、フランス社会の現状と比べたら、圧倒的に数のレベルが違うことがよくわかります。
ここフランスでは、民族、人種が混ざっていて当たり前と言えるでしょう。

その証拠に、私がここで出会った人々の多くが、両親のうちのいずれかが外国出身だったりします。
中でも圧倒的に多いのが、フランス―イタリアカップルの子供。そして、フランス―スペイン、フランス―イギリス、フランス―アルジェリア、フランス―チュニジア、フランス―アメリカ、フランス―アルゼンチン、フランス―ドイツ、フランス―オーストリア、フランス―トルコなどなど、例をあげていてはキリがありません。
はっきり言って、みんなハーフみたいなもんです。

それから、私自身が今のところフランスで暮らす日本人のように、外国人としてフランスで生活する人々の数もすごいものです。
私はモンペリエで生活をしていて、さまざまな国の出身の人々と出会いました。下手をしたら、日本にいたままでは耳にすることもなかったような国の人や、地図上で正確に場所を把握できない国の人もたくさんいます。そして、その出身国は世界各国に及びます。ヨーロッパ諸国はもちろん、アフリカ諸国、中東諸国、中央アジア諸国、スカンジナビアから北米、南米、そしてアジアとオセアニア圏の人々。
まさに世界中から来た人々が、フランスで暮らしています。
この点が、日本社会との決定的な違いの一つでしょうね。

そんなことから、私はモンペリエというフランスの一地方都市にすぎない街で暮らしていながら、「世界」をとても身近に感じているのです。

今年一緒に仕事をしている演出家のトニーは、スウェーデン人のお母さんとオーストリア系イタリア人のお父さんをもつ人。ヴェネチアに家をかまえているしイタリア語をしゃべるからイタリア人だと思いがちですが、じつはスウェーデン語はもちろん、数カ国語を操る人で、多国籍文化をもつ多国籍人と言える人です。
その点、私がお世話になってるTさんもそんな感じ。日本とフランスのハーフだけど、イタリア生活経験が25年に及んでいたから、日本、フランス、イタリアの3国の文化が彼の人となりを形成していて、多国籍人です。
最近一緒に仕事をしている振付師のレオナルドは、名字と名前からしてイタリア人と思いがちですが、実は単に彼のおじいさんがイタリア人だったというだけで、彼本人はアルゼンチン生まれのアルゼンチン育ち。彼はフランス語がとても堪能なので、彼を前にすると彼はイタリア系フランス人だと言われてもなんの違和感もありません。

こんな人々と接していると、日本人である私は生粋の日本人で、なんか単一単色な感じがするなあ、豊かさにかけるなあ、なんて思ってしまうこの頃でした。。。

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