私は今年、7月26日から9月2日までが完全バカンスという、なんとも贅沢な5週間バカンスを手に入れたのでした。「ゆっくりできなかった」とか「疲れがとれなかった」と言ってしまっては嘘になってしまいますね。旅行にも行けたし、自分の時間もとれたし、家の掃除もしたし、友達にも会えたし、医療ケアも受けたし、とても有意義なバカンスとなりました。
「ああ、これがもう終わってしまうの?」 というバカンス終盤症候群にかかっているのはいうまでもありません。
この「贅沢バカンス」 、あくまでもフランスでは特別珍しい話ではありません。一般企業でも有給などをうまくくっつけて一カ月まるごとバカンスという人はかなりいますし、教員に至っては、子どものバカンスと同じだけバカンスですから、私から見たら贅沢を通り越して「恐るべし」になってしまいます。
夏のほぼ2カ月の大バカンスだけでなく、秋には2週間のトゥッサンのバカンス、12月末はノエルのバカンス、2月、3月にかけて2週間の冬休み、そして4月、5月にも二週間のパックのバカンス。これらすべてがバカンスなのですから、年間3カ月以上がバカンス!?
ま、だからこそ教員の収入は日本の教員の比にならないほど悪いのですが、またそのあたりの話は別の機会にしましょう。
ご存知のように、2011年の東日本大震災発生以降、私はボランティア活動を展開してきました。東北被災地にも2度お邪魔しに行って、被災者の方々、被災地復興のために活動する団体の方々と出会ってお話をしている中で、現代の日本では想像をすることも難しいような状況、環境が生まれてしまったことを痛感しました。
この状況、環境は、やっぱり文字通り想像することも難しいほどのレベルなので、現状を理解するには現地に足を運ぶことが不可欠だということも私は痛感しました。
以前はたまに単発で数時間程度のボランティア活動、つまり報酬をうけない活動をしたことがあるかないかという、ごく普通の一般人だった私も、この活動を通して、自分の世の中を見る目がどんどんかわっていくことに気が付きました。
単に報酬がないというだけでなく、活動に時間をかければかけるほど、エネルギーをかければかけるほど、 自分の時間は無くなっていき、自分のエネルギーも消耗され、実質の出費も増えていくわけです。それでも活動するのはどうしてか?
それはやっぱり被災地の復興のためにはみんなが何かをしなくてはと思うのはもちろんですが、自分の求めるものがお金ではなくなってしまったことにも関係しているでしょう。自分にとって豊かさ=お金、あるいは豊かさ=物、ではなくなってしまったということでしょう。
高価なものをたくさん所有している人を見ても、いいなあ、うらやましいなあとは感じなくなってしまいました。
代わりに何が豊かかというと、それは「時間」だったり「空間」というものになってきました。
そしてもちろん心の豊かな人々です。
残念ながら世の中には心が豊かでない人、心が貧しい人がたくさんいることも知りました。
でも世界には、お金こそたくさんもっていないけれど、豊かな時間と空間に恵まれた心の豊かな人々もたくさんいることを知りました。
バカンス大国フランスにいながら、10年以上を日本流の働き蜂で過ごした私は、今、方向転換を図っています。
そういう意味では、5週間のバカンスを手にすることができたことは大きな前進です。
贅沢ですよね。
次の願いは、「ああ、二カ月完全バカンスがほしいな」 です。
もちろんそれはビーチに寝そべって二カ月過ごすためではなくて、いろいろな活動をするための二カ月ですけどね。
きっと世の中にはお金もあって時間にも恵まれているスーパーリッチもいるのでしょうが、私はとりあえず今の方向で続けていきたいと思います。
P.S. 広々とした青空と鮮やかな緑も豊かさの一つですね。
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